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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1406-B-0180
汚染土地における瑕疵担保責任免責特約の有効性いかん

 土壌汚染の可能性のある土地を売買する場合、「瑕疵担保責任を負わない」という特約をしても、その特約が必ずしも有効とは限らないという同業者がいる。この同業者の指摘は正しいか。瑕疵担保責任を負わない特約は、民法第572条に定められているケース以外は有効だと思うが、その対応自体も間違っているということになるのか。このような問題は、汚染土地以外にもあり得るのか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、最近同業者の間から、瑕疵担保責任の免責特約は必ずしも有効でないという話が持ち上っている。それは、「土壌汚染」の問題を取り上げて言っているのであるが、なぜそのようなことになるのか、その理由がよくわからない。

質問

1.  瑕疵担保責任を負わない特約は、売主が瑕疵のあることを知りながら買主に告げなかった場合など、民法第572条に定められているケース以外は有効だと聞いているが、その対応自体も間違っていることになるのか。
2.  瑕疵担保責任の免責特約が必ずしも有効でないということは、その特約が有効の場合もあるし、無効の場合もあるということか。
  3.  このような問題は、「汚染土地」以外にも発生するのか。

回答

1.  結 論
 質問1.2.について ― そうではなく、その同業者が言っているのは、瑕疵担保責任を負わないという(一応有効な)特約をしている場合であっても、後日、その効力を消滅させてしまうような重大な瑕疵が発見された場合には、その有効性が喪失してしまうことがあるということを言っているものと考えられる。
 質問3.について ― 「汚染土地」以外にも発生する。
   
2.  理 由
   売主が宅建業者等の事業者で買主が一般の消費者であるとか、物件が築後1年以内の未入居の新築住宅であるといった一定の場合を除き、瑕疵担保責任を負わないという特約は、民法第572条に定められているケース以外は、法的に有効である。
 しかし、その特約が法的に有効だとされるのは、その瑕疵が、当事者の予想していた、あるいは通常の注意をすれば予想し得る範囲内の瑕疵であった場合に限られ、その瑕疵が当事者の予想をはるかに超える瑕疵であった場合には、その「瑕疵担保責任を負わない」という特約が、当事者の合意の範囲を超えるものとして、特約そのものが無効になる、あるいはその予想の範囲を超える部分の瑕疵について効力が否定されることがあり得るということであろう。したがって、汚染された土地の浄化あるいは封じ込めの費用の額が、その土地が普通の土地であったとした場合の価額を上回るとか、それに近いといったケースの場合には、おそらく当事者の合意の範囲を超えるものとして、「瑕疵担保責任を負わない」という特約そのものが無効とされ、あるいはその予想の範囲を超える部分について無効とされる可能性があるということであろう。
 このことは、「汚染土地」の場合に限らず、一般の土地についても、たとえばその土地が陥没したとか、著しく軟弱であった場合、あるいは地中埋設物の混入などの場合にもあり得る。ただ、その場合の考え方としては、瑕疵担保責任の問題とは別に、その特約が「錯誤」により無効あるいは一部無効となるということだといえようが(民法第95条)、実際に無効になるかどうかについては、個々の事案ごとに判断される問題であり、一概にはいえないので、このような問題に直面した場合には、すぐに弁護士などの法律の専門家に相談をするなりして、慎重に対応することが肝要である。

参照条文

 民法第95条(錯誤)
 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
 民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
   売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実および自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

監修者のコメント

 瑕疵担保の免責特約は、回答にある民法第572条と消費者契約法第8条第1項第5号及び住宅品質確保法第95条の適用のある場合を除き、原則的には有効である。しかし、現実の裁判例の中には、免責特約があっても、具体的事案について、信義則あるいは公平の観点からその効力を否定するものもある。たとえば、会社間の土地の売買契約で、免責特約はあったが、売主、買主双方の担当者がまったく予想もしていなかった地下室等のコンクリート塊が存在したケースで、その部分までは免責特約の効力が及ばないとするものである。このような裁判例は、決して特殊なものではないが、あくまでも例外的事象に特約の効力を否定するものであるから、売主がある事情から瑕疵担保責任を負いたくないという場合は、免責特約は原則的には有効であるから規定しておく意味はある。
 なお、宅建業者が売主で、買主が宅建業者でない売買では、免責特約は無効であることはもちろんである(宅建業法第40条)。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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