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売買事例 0903-B-0097
地主が数人に土地と私道の持分を譲渡した場合等における通行権の性質

 地主が、数人の者に土地を譲渡する際に、その前面道路(私道)のうち幅員3m部分を持分で譲渡し、幅員1m部分を自己名義で残した場合、購入者には、私道全体についてどのような通行権が生じるか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、このたび建築基準法第42条第2項のいわゆる「2項道路」(私道)に面している土地の売買の媒介を行う。
 ところが、この「2項道路」は、幅員はすでに4mあるが、その所有者内訳が下図のように複雑になっているため、他の私道所有者から通行承諾等を取り付けることによって、無用のトラブルが発生するのを避けたいと考えている。

 なお、下図の「2項道路」のうちの幅員3mの部分は、元の地主(すでに死亡)からA〜G7名の先代がそれぞれ共有持分で譲り受けたものであるが、1mの部分は、元の地主がその3mの部分の通路の開設に合わせてみずからの所有権を分筆したものである。
 
質問
1.  A〜G7名の共有名義になっている私道部分については、Bみずからも共有者の1人であるから、他の共有者から通行承諾等を取り付けなくてもよいと思うが、どうか。
2.  元地主の名義になっている私道部分についても、強いて相続人から通行承諾等を取り付けなくてもよいと思うが、どうか。
回答
  1.結 論
(1) 質問1.について — そのとおり、原則として通行承諾等の取り付けは必要ないが、少なくとも、私道についての固定資産税等の負担の有無、私道の維持管理を市が行うのか、それとも私道の共有者等が行うのか等についての調査はしておく必要がある。
(2) 質問2.について — 原則的にはそのとおりであるが、念のため、他の共有者からの聞き込み等により、過去に元地主の相続人から承諾を取り付けなかったためにトラブルが起きなかったかどうか等の調査はすべきである。特に、学校の裏門への通路となっている市有地に対する通行の可否が重要である。
 
2.理由
   本件の幅員3mの共有私道および幅員1mの元地主名義の私道は、いずれもその元地主がA〜Gの先代に土地を譲渡した際に築造されたものと認められる。したがって、その元地主は、いわば今でいう道路付きの「宅地分譲」をしたものといえるので、その道路と宅地を購入したA〜Gの先代は、いずれもその私道全体について通行地役権を取得したものということができる(後記【参照判例】参照)。

 ただ、その元地主が、なぜ幅員1m部分だけをみずからの名義のままにしておいたのかについては定かでないが、おそらく学校用地あるいは学校用通路との関係で、そのようにしたものと思われる。したがって、その学校用道路への一般通行のほか、車の乗り入れなどについても可能か否かについて、市当局に確認をしておく必要がある。
 
参照判例
  (1)  分譲者が分譲地取得者のために私道を開発し、その私道敷を分割して各分譲地買受人に分属させた場合 — 譲受人間に通行地役権設定契約が成立しているとみるもの(東京高判昭和48年6月28日判時714号191頁ほか)。
(2)  譲渡人と譲受人との間で地役権設定契約が成立しているとみるもの(東京地判昭和51年1月28日判時821号126頁ほか)。
(3)  私道敷の所有権を分譲者が留保した場合には分譲者との間に地役権設定契約が成立しているものとみるもの(名古屋地判昭和57年8月25日判時1065号161頁ほか)。
 
監修者のコメント
 敷地の道路付けに関しては、紛争が多いが、なかでも道路位置指定を受けていない私道を利用する敷地については、その権利関係をめぐってトラブルになっている案件も多く、そのためイヤ気がさして、売却に出すこともある。したがって、回答のとおり慎重な調査をする必要がある。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「他人の私道の通行・掘削同意」
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