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賃貸事例 1104-R-0088
定期借家以外の方法による円満立退きの方法

 築年数の経過している賃貸物件の立退きを円滑に行うため、次の更新契約において、借主から解約の申入れがあれば、一定の額の立退料を支払うという特約をしたいが、そのような特約は有効か。貸主からの6か月前の予告と、一定の額の立退料の支払いにより、解約ができるという特約についてはどうか。

事実関係

 当社は、ある人から2棟の貸家(住宅)の賃貸借の媒介と管理を委託されているが、いずれの建物も築30年と古く、すでに1軒は昨年の段階で期間満了に伴い、明渡しが完了している。
 ところが、残りの1軒については、昔からの入居者で、家賃も比較的安いので、なかなか解約に応じてくれない。かと言って、貸家が「住宅」であるうえ、貸主が平成10年以前からの入居者であるために、定期借家に切り替えてもらうこともできない(良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法附則第3条)。

質問

  •  このような場合、貸主の同意が得られれば、次の更新契約(2年契約)において、借主が期間満了までに解約の申入れをしてくれれば、一定の額の立退料を支払うという特約をしたいと思っている。このような特約は有効か。
  •  借主が解約の申入れをしない場合に備え、貸主からの6か月前の予告と、一定の額の立退料の支払いをもって解約ができるようにする特約は有効か。

回答

1. 結論
   質問1.について ― その一定の額が、更新時の賃貸借契約書に明記されるなど、立退料の額についての具体的な合意があるのであれば、特約は有効と解される。
   質問2.について ― 特約は無効と解される。
2. 理由
  ⑴について
   期間の定めのある賃貸借の場合は、貸主・借主とも、原則として契約期間中は解約することができない。
 しかし、借主については、契約により解約権を留保することはできるので、本件のように、借主みずからが解約の申入れをするケースの場合には、借主の有効な権利行使に基づく解約による建物の明け渡しであるから、その特約は有効と解される。
  ⑵について
   貸主からの解約申入れについては、借地借家法の規定により「正当の事由」が必要とされており(同法第28条)、これに反する特約で建物の借主に不利な特約は無効とされている(同法第30条)。したがって、今回の貸主からの立退料の支払いが「正当の事由」を補完するものとしての解約合意であるとしても、その合意内容をあらかじめ契約書に定めておくというようなことは、法の趣旨からも、許されないものと解される。

参照条文

  良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法附則第3条
   第5条の規定の施行前にされた居住の用に供する建物の賃貸借(中略)の当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同一の建物を目的とする賃貸借をする場合には、当分の間、第5条の規定による改正後の借地借家法第38条の規定(定期建物賃貸借の規定)は適用しない。
  借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
   建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
  同法第30条(強行規定)
   この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

監修者のコメント

 契約期間を定めた賃貸借契約は、相手方の債務不履行による信頼関係の破壊などがなければ、期間内解約はできない。そして、期間内解約ができる旨の特約は、賃借人からできる旨の特約は有効であるが、賃貸人からできる旨の特約は、たとえ一定の予告期間を設けても、借地借家法の強行規定に抵触し無効である(同法第30条・片面的無効)。このことは、一定額の立退料の支払いを約する場合も同様である。もし、一定の予告期間と一定額の立退料の支払いにより、解約申入れや更新拒絶が認められることとすると、同法において「正当事由」の制度を設け、両当事者のあらゆる事情を総合して判断しようという趣旨が崩れてしまうからである。質問1の特約は借主の自主的判断が前提であれば有効と解されるが、質問2の特約は、たとえ借主がそれでよいとしても借地借家法に抵触し無効である。そのことは、立退料の額いかんにかかわらない。

より詳しく学ぶための関連リンク

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