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賃貸事例 1602-R-0155
シェアハウス事業の事業形態と問題点

 シェアハウス事業とは、どういうものか。何か問題点もあるようであるが、それはどのようなことか。

事実関係

 最近、シェアハウス事業を営む経営者が増えていると聞くが、それはどのような事業形態の事業なのか。通常の賃貸借なのか、一時使用目的の賃貸借なのか、それとも旅館業的な事業形態なのか、よくわからないことが多い。
 聞くところによると、過去に何か問題があって、国土交通省から指導があったようであるが、それはどのようなことか。

質 問

1.  そもそもシェアハウスというのは、どのような居住形態になっているのか。
2.  シェアハウス事業というのは、どのような契約形態の事業なのか。
3.  シェアハウス事業に関し、過去に国土交通省から指導があったと聞いているが、それはどのような指導なのか。

回 答

 質問1.について ― シェアハウスというのは、一つの住宅を複数の人が共同で利用して生活する居住形態またはその賃貸住宅のことをいうとされている。したがって、その居住の形態としては、建物の構造・設備等のいかんによって、寝室だけを個室としたり、寝室以外にバス・トイレを付けた個室としたり、あるいは多少の居住空間は個室内にあるが、それ以外の大広間的なロビー空間のようなものは共用スペースとするなどの種々のタイプがある。もちろん、2人以上で共同利用する個室もある。
 設備については、ベッドや家具、テレビ、冷蔵庫、エアコンなど必要最小限のものは個室内に設置されるが、ロビー内にも大型テレビや洗濯機などの電化製品が設置されるというのが一般的のようである。
 質問2.について ― シェアハウスの場合は、通常定期建物賃貸借契約という定期の契約で締結されているものが多いようである。それは、入居者が一定の共同生活をすることになるので、入居者間のトラブルを避けるために、問題のある入居者には早期に退居してもらうことができるよう、定期の契約形態にしているといわれている。
 なお、期間が1年未満の短期の賃貸借であっても、定期借家とすることができるので(借地借家法第38条第1項)、強いて一時使用目的の賃貸借とする必要性はあまりないと思われるが、1か月未満の宿泊など、旅館業的な契約形態をとっている事業者はほとんどないと思われる。なぜならば、旅館業を営むとなると、消火設備や衛生設備のほかに、フロントの設置など安全・安心面のほかにサービス面の追加投資をしなければ許可が得られないからである。
 質問3.について ― それは、平成25年9月6日に国土交通省が、シェアハウスを建築基準法第2条第2号の「寄宿舎」としての基準を適用して指導するよう全国の自治体等に通知し、専用の居室部分すなわち特定の居住者が就寝する等居住する一定のプライバシーが確保されて独立して区画された部分については、同法上の「居室」(同法第2条第4号)に該当すると通知したということである。
 これにより、シェアハウスにおいては、一般の住宅や事務所より防火性の高い間仕切壁を設けること(同法施行令第114条第2項)や、専用の居室部分に採光窓を設けること(同法第28条第1項)が義務付けられることになったが、その後平成27年7月に同施行令が改正され、防火上支障がない部分にある防火上主要な間仕切り壁については、防火規制が緩和された(後記【参照資料】参照)。

参照条文

 借地借家法第29条(建物賃貸借の期間)
 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
   (略)
 同法第38条(定期建物賃貸借)
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
  ~⑦ (略)
 建築基準法第2条(用語の定義)
 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   (略)
   特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
   (略)
   居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。
  ~三十五 (略)
 同法第28条(居室の採光及び換気)
 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては7分の1以上、その他の建築物にあつては5分の1から10分の1までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
   居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
  、④(略)
 同法施行令第114条(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)
 長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
   学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
  ~⑤ (略)

参照資料

 防火上支障がない部分の概要(「東京都建築安全条例に基づく寄宿舎に係る建築基準等についての見直しの考え方」から抜すい)

「東京都建築安全条例に基づく寄宿舎に係る建築基準等についての見直しの考え方」

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監修者のコメント

 シェアハウスは、欧米諸国では、かなり普及している居住形態で、通常の賃貸住宅より安い家賃で比較的便利な立地条件の場所にあるため、わが国でも近年若年層の間にその利用が広まっている。
 ただ、一部のシェアハウスには、消防法や自治体の建築安全条例等が共同住宅に対して求める基準に適合しないものがあり、マスコミでは「脱法ハウス」として取りあげられた。
 なお、この入居者を募集する行為は、建物(の一部)の媒介であるので、宅建業法の適用を受けることはもちろんである。
 また、消防法や条例に適合しない建物を仲介することがないように注意すべきである。

より詳しく学ぶための関連リンク

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