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賃貸事例 0806-R-0036
長期・短期の定期借家契約における民法等の関係法規との関係

 定期借家における長期・短期の賃貸借契約は、民法や借地借家法上の長期・短期契約に関する諸制度とどのような関係になるか。

事実関係
 当社は、建物賃貸借の媒介を主業務とする宅建業者であるが、長期・短期いずれの賃貸借契約も定期借家の方式で定めることができると聞いたが、以下の点について確認したい。
 
質問
(1)  民法第604条には、期間が20年を超える賃貸借契約は締結できないと定められているが、定期借家の場合には、借地借家法に期間の上限が定められていないので、20年を超えるものも締結できると考えてよいか。
(2)  短期の建物賃貸借として、従来は、期間が3年以下のものは、抵当権に劣後する賃借権であっても、競売の場合に一定の保護が受けられたが、今後(平成16年4月1日以降の契約から)は、定期の短期賃貸借の場合であっても保護の規定の適用がないということか。ということは、普通借家の場合と同じように、一律に6か月間の引渡し猶予の規定の適用しかないということか。
(3)  期間が1年未満の定期借家は認められるのか。
(4)  期間が1年未満の定期借家は、完全に「一時使用」のための賃貸借と考えられるが、だとすると、借地借家法の適用がないものになるが(同法第40条)、それでも定期借家として認められるのか。
 
回答
1.結 論
(1)  質問1.について — 期間が20年を超える建物賃貸借契約であっても締結できる点については、そのとおりである。しかし、その根拠については、借地借家法に期間の上限が定められていないということもそのひとつではあるが、その直接的な規定として、借地借家法の第29条第2項に、「民法第604条の規定は、建物の賃貸借には適用しない。」と定められているので、建物賃貸借の期間に上限がないということは、定期借家に限らず、普通借家の場合にもいえるということになる。
(2)  質問2.について — そのとおり。いかに短期の定期借家の場合といえども、短期賃貸借の保護の制度が廃止された以上、普通借家の場合と同じように、6か月間の引渡し猶予の規定の適用しかない。しかも、定期借家の場合には、その期間が満了すれば、「更新」がないので、賃借人はその時点で「無権原占有者」((注))となり、直ちに建物を明渡さなければならないということになる(民法第395条第1項柱書き)。
(3)  質問3.について — 認められる(借地借家法第38条第1項後段)。
(4)  質問4.について — 期間が1年未満の定期借家も認められる。ただ、期間が1年未満の普通の建物賃貸借は、「期間の定めがない」賃貸借とみなされるのであって(借地借家法第29条第1項)、「一時使用」のための賃貸借とみなされるのではない。また、それが定期の賃貸借であるからといって、(再契約ができるケースもあるので)必ずしもすべての契約が「一時使用」のための賃貸借であることが明らかなケースばかりだとはいえない(同法第40条、後記【参照判例】参照)。
 
参照条文
  ○ 借地借家法第29条(建物賃貸借の期間)
(1)期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
(2)民法第604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。
○ 同法第38条(定期建物賃貸借)
(1)〜(3) (略)
(4)第1項の規定による(定期の)建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合においては、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(中略)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物賃借人に対抗することができない。(以下(略))
(5)〜(7)(略)
○ 同法第40条(一時使用目的の建物の賃貸借)
  この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
 
参照判例
  ○ 最判昭和36年10月10日民集15巻9号2294頁(要旨)
 
借家法第8条(借地借家法第40条)にいわゆる一時使用のための賃貸借といえるためには、必ずしもその期間の長短だけを標準として決せられるべきものではなく、賃貸借の目的、動機、その他諸般の事情から、その賃貸借契約を短期間内に限り存続させる趣旨のものであることが客観的に判断される場合であればよく、その期間が1年未満の場合でなければならないものではない。
 
監修者のコメント
 【回答】にある借地借家法第29条2項の規定は、定期借家制度が創設された同法の平成12年改正の際に新設された。
 【質問】の問題点については、【回答】のとおりで、付け加えるべきことはないが、定期借家契約については、期間満了時における再契約も許されないと考える向きもあるので、それは誤解であることを強調しておきたい。当初の契約で再契約する旨を約定することは、定期借家の本質に反するが、期間満了時に、当事者間の合意で改めて賃貸借契約をすることは、何ら問題なく有効である。

より詳しく学ぶための関連リンク

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