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賃貸事例 1406-R-0134
居住用定期建物賃貸借契約の再契約における条件変更内容の是非

居住用定期建物賃貸借契約の再契約にあたり、次のような条件変更をすることは、法的に問題ないか。

 契約期間を3年から2年に短縮すること。
 借主からの解約予告期間を1か月前から2か月前に変更すること。
 エアコン、床暖房、トイレの修繕義務者を借主とすること。

事実関係

 当社は賃貸借の媒介業者兼管理業者であるが、居住用の定期建物賃貸借契約の再契約にあたり、貸主から次のような条件変更案が出されたが、これをそのまま再契約の条件にした場合、法的に問題がないかどうか心配である。
 なお、この定期建物賃貸借契約においては、再契約については、賃貸借契約書に、「貸主・借主協議のうえ、再契約をすることができる。」とだけ定められている。

 契約期間を3年から2年に短縮すること。
 借主からの解約予告期間を1か月前から2か月前に変更すること。
 貸主所有のエアコン、床暖房、トイレの修繕義務者を借主とすること。

質問

1.  上記【事実関係】にあるような条件で再契約を締結しても、法的に問題がないか。
2.  もし問題があるとすれば、それはどのような点で、どのようにしたら問題がなくなるか。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 上記条件のうち、①は問題ないが、②については問題があり、③については一律に定めることはできない。
 質問2.について ― 上記条件②については、200m²未満の建物の場合は、借地借家法第38条第5項の規定に抵触し無効となるので(同条第6項)、変更することはできない。また上記条件③については、いずれの設備も借主にとって生活上重要な設備であることから、修繕内容のいかんにかかわらず、その修繕義務者をすべて一律に借主とすることは、賃料を大幅に下げるなどの特段の事情がない限り、民法第606条の規定(貸主の修繕義務に関する規定)の趣旨に照らし、信義則上許されないと解される。したがって、どうしても一律に借主を修理義務者にしたいのであれば、いわゆる小修繕のみを借主負担とする一般的な特約条項を定めるべきであろう。
   
2.  理 由
     建物賃貸借契約における建物の修繕義務については、民法第606条にその基本的な考え方が定められており、貸主は、その契約の目的に沿った建物の維持・修繕を行うように定められている。したがって、建物の維持・修繕義務者は、基本的には貸主なのであるが、この民法第606条の規定は任意規定であるから、これを当事者の特約で、変更することもできる。
 しかし、いかに変更できるといっても、賃料が特別に安いとか、そのために修繕義務者を借主に変更したのだといえるような特別な事情でもなければ、建物の利用に不可欠な重要な設備の修繕についてまで、民法の原則を変更する特約を定めることは、信義則上許されないとされるケースが出てくると考えられる(民法第1条第2項)。したがって、そのような場合には、いかに特約として定めたとしても、その特約は無効な特約として法的に効力をもたないものになってしまう可能性があるからである(消費者契約法第10条)。

参照条文

 民法第1条(基本原則)
 (略)
 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行われなければならない。
 (略)
 民法第606条(賃貸物の修繕等)
 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
 (略)
 消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

監修者のコメント

 定期建物賃貸借契約の再契約は、新規の契約と同じであるから、契約期間を伸ばしたり、短くすることは合意により自由である。
 解約予告期間については、居住用建物で200m²未満のものの借主が転勤その他やむを得ない事由があるときは、1か月の予告期間で中途解約ができることとされており(借地借家法第38条第5項)、これは強行法規として保障されているので、②の解約予告期間を2か月前に変更することは、この限りにおいて無効である。
 修繕義務の負担者については、いわば定式的に大規模修繕は貸主が負うが、小修繕は借主負担の特約は有効、中修繕はケース・バイ・ケースと考えられているが、賃料の額との関係も考慮しつつ、修繕内容すなわちエアコンであれば室外機の取替えまで行うか、機器の部品の一部取替えで済むのかケース・バイ・ケースで判断しなければならない。要するに、具体的な「修繕」の内容が問題であって、取り替えに近い修繕であれば原則として貸主の負担とし、そうでない修繕であれば借主負担の特約も問題ないということができる。

より詳しく学ぶための関連リンク

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