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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1302-R-0113
賃貸借契約における自動更新条項の修正と解約申入れ条項の削除

 当社は賃貸の媒介業者であるが、貸主からの要請で、建物賃貸借契約書の自動更新の規定を、貸主からの意思表示だけで自動更新されるかどうかが決まるように修正したり、借主からの解約申入れ条項を削除してしまうことはできるのか。何か法的に問題が生じないか。
 もし自動更新条項について、貸主だけが何らの意思表示をしないときに自動更新されるように修正した場合、貸主が、契約の更新に際し、賃料の増額に借主が同意しない場合は契約を更新しないと意思表示をし、それに対し借主が同意しないと意思表示をしたら、契約はどうなるか。

事実関係

 当社は賃貸の媒介業者であるが、このたび賃貸マンションの貸主から、当社所定の賃貸借契約書の自動更新の規定を、次のように修正して欲しいという要請があり、併せて借主からの解約申入れ条項も一切削除して欲しいという要請を受けた。
 (自動更新条項の修正文言)
 「本契約の期間満了までに、貸主から何らの意思表示がないときは、本契約は更に2年間同一条件をもって更新される。」

質問

  •  自動更新の規定を、貸主の要請どおりに修正した場合、その規定は有効か。
  •  本件の自動更新の修正文言について、「貸主から何らの意思表示がないときは、」の文言を、「貸主および借主から何らの意思表示がないときは、」の文言に変更しないと無効になるという意見があるが、その意見は正しいか。
  •  もし貸主が自動更新の規定を【事実関係】にあるように修正した上で、契約の更新に際し、賃料の増額に借主が同意しない場合は契約を更新しないと意思表示をし、これに対し借主が同意しないと意思表示をしたら、契約は、同一条件では更新されないということか、それとも更新自体がなされないということか。もし貸主に「正当事由」があった場合は、どうなるか。
  •  本件の建物賃貸借契約において、借主からの解約申入れ条項を、貸主の要請どおり削除した場合、どういう問題が生じるか。そもそも削除することは、消費者契約法第10条の規定に抵触することになるのではないか。

回答

 質問1.について ― 修正文言自体は有効である。しかし、その趣旨が、契約の更新にあたって、貸主が何らの意思表示をしないときは借主からの賃料の減額請求などもできないという趣旨のものであるとすれば、その限りにおいて無効と解さざるを得ない(借地借家法第30条、第32条)。
 質問2.について ― 修正文言についての紛争を防止する意味からは、正しいといえる。
 質問3.について ― 同一条件での自動更新(合意更新)がなされないということであり、更新自体は法定更新される(借地借家法第26条第1項本文)。したがって、法定更新後は期間の定めがない賃貸借となる(同法同条第1項ただし書き)。ただし、貸主に「正当事由」があった場合には、その貸主からの更新拒絶が期間満了1年前から6か月前までの間になされている限り、その更新拒絶の意思表示は有効となるので、期間の満了と同時に賃貸借が終了する(同法第26条第1項、第28条)。
 ただ、そうは言っても、実際には貸主に「正当事由」が認められるケースは稀であることを認識しておく必要がある。
 質問4.について ― 契約を締結する前の段階で契約書から削除するのであれば、法的には問題ないが、一般的な契約書には借主からの解約申入れ条項が定められているので、それを削除する場合に、その削除の理由やそれによる借主の不利益等について事前に説明をしておかないと、トラブルになる可能性が高いので、よほどの注意が必要である。

参照条文

借地借家法第26条(建物賃貸借契約の更新等)
 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知または条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
、③ (略)
同法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
 建物の賃貸人による第26条第1項の通知または建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(中略)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
同法第30条(強行規定)
 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
同法第32条(借賃増減請求権)
 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向って建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
、③ (略)
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

監修者のコメント

 「期間満了までに貸主から何らの意思表示がないときは、契約は……更新される」との文言は、それ自体は有効であるが、それが借主の意思にかかわりなく、更新されるという意味まで含んでいるとすれば、おそらく借地借家法第30条により、その限りにおいて無効と解される。
 借主からの期間途中の解約権を認めないこと、すなわち解約申入れができないとすることは何ら問題がないが、期間満了時において貸主の意向だけで契約の更新ができるとすることは、借主の更新しない権利を封ずることであり、民法第90条(公序良俗)、信義則(民法第1条第2項)、借地借家法の理念のいずれからみても無効であろう。また、居住用建物を個人が借りている場合は、消費者契約法第10条により無効であろう。

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