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賃貸事例 1208-R-0105
事業用定期借地における借地権譲渡等の場合の保証金返還請求権

 事業用定期借地契約において、借主からの中途解約を認めない代わりに借地権の譲渡を認める場合、貸主は借主に対し、一定の承諾料を支払うよう定めることは法的に可能か。その場合、借主が貸主に差し入れている保証金の返還請求権は譲受人に移転することになるのか。万一、契約期間中に貸主(地主)に相続が発生し、相続人が底地を売却するような場合には、保証金の返還請求権はどうなるのか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、事業用の定期借地契約を締結する場合、そのほとんどの借主が中途解約条項を定めるよう求めてくるという。そのような場合に、貸主がその申入れを断ることが法的に可能なのか。もし可能だとした場合、中途解約を認めない代わりに借主に借地権の譲渡を認める方法もあると聞くが、そのような場合には保証金の承継問題がどうなるのかなど、わからないことが多い。

質問

  •  事業用定期借地の場合には、定期借家の場合と異なり、借主からの解約申入れを認めないという条項を定めても法的に問題ないか。
  •  貸主が、借主からの中途解約は認めないが、その代わりに借地権の譲渡は認めるという場合、貸主が譲渡を認める対価として、一定の承諾料を請求できると定めることは法的に問題ないか。
  •  貸主が、借地権の譲渡を認めた場合、借主が貸主に差し入れている保証金の返還請求権は譲受人に移転することになるのか。
  •  契約期間中に貸主(地主)に相続が発生し、相続人が底地を売却するというような場合、借主が貸主に差し入れている保証金の返還請求権はどうなるのか。

回答

 質問1.について ― 問題ない。ただし、実際にはその交渉はかなり難しいし、仮に中途解約を認めても、その場合にはペナルティを定めることも可能なので、貸主にとってはそれほど大きなデメリットにはならないと考えられる。
 質問2.について ― 問題ない。ただし、一般的にはその額は借地権価格の5%~15%程度となるので、あまり高額な承諾料を定めることは望ましくないであろう。
 質問3.について ― 保証金返還請求権は、当事者間に移転させる特約があるなど特段の事情がない限り、借地権の譲受人には移転しない(後記【参照判例①】参照。)したがって、事業用定期借地契約の中に移転させる旨の定めをしなかったような場合には、貸主と譲受人との間で新たに保証金の授受をすることになろう。
 質問4.について ― 「敷金」としての性格を有する保証金については、借主は新所有者に対し返還請求をすることができるが(後記【参照判例②】参照)、それ以外の性格を有する保証金(たとえば、いわゆる宅地整備のための「建設協力金」など)については、旧所有者(旧貸主)と借主との間の債権債務関係として残ってしまう可能性があるので、そのような性格の保証金を契約時に授受するようであれば、そのようなことがないようにあらかじめ事業用定期借地契約において、新所有者に全部の保証金返還債務を承継させる旨を定めておく必要があろう。

参照判例①

  最判昭和53年12月22日民集32巻9号1768頁
 賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転され、賃貸人がこれを承諾したことにより旧賃借人が賃借関係から離脱した場合においては、敷金交付者が賃貸人との間で敷金をもって新賃借人の債務不履行の担保とすることを約し、または新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、敷金に関する敷金交付者の権利義務は新賃借人に承継されるものではない。

参照判例②

  大判昭和6年5月29日新聞329号18頁(要旨)
 賃貸不動産の所有者に変更があった場合、特約がない限り、賃借人・新所有者間に、従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続する。

監修者のコメント

 定期借地の場合は、定期借家の場合と異なり(借地借家法第38条第5項参照)、中途解約を認めるか否かは、契約自由の原則の範囲内の問題で、合意で決めることができる。もし、何も決めなかったときは、借主は中途解約はできない。
 借地権譲渡の承諾料も、合意で決められることであり、よほどの暴利的なものでない限り、自由に決めることができる。
 保証金の返還請求権に関する問題は、「回答」に付け加えることは、ひとつもない。

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