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賃貸事例 1206-R-0102
事業用定期借地において、倒産した借主に土地の明渡しを確実に履行させる方法

 事業用定期借地契約で、借主である会社が倒産し、経営者が建物を撤去しないまま行方不明になるケースを防止するためには、どのような方法があるか。借地人である会社が倒産した場合、借地上に残った建物の所有権は誰のものになるのか。借地上の建物は、どのようにすれば法的に撤去することができるのか。その場合の撤去費用は誰が負担するのか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、このたび期間30年の事業用定期借地契約の媒介をする。ところが、地主(貸主)は以前にもある会社に土地を貸したが、その会社が事業に失敗し、経営者が夜逃げをしたために、借地上の建物を解体撤去するのに大変な苦労をしたという経験をもっている。そのため、地主(貸主)は今回の事業用定期借地契約の締結については、そのあたりのことについて事前に予防措置を講じたうえでないと土地を貸せないと言っている。

質問

  •  地主(貸主)が心配しているようなことについて、何か良い方策はないか。
  •  借主(会社)が倒産し、その経営者が会社の清算手続(借地上の建物の処分などを含めた債権債務の処理など=株式会社の場合:会社法第481条)をとらないまま行方不明になってしまった場合には、借地上の建物の所有権はどうなってしまうのか。
  •  会社の経営者が行方不明になったときは、誰を相手に、どのような手続で借地上の建物の撤去を求めることになるのか。その場合、最後まで相手が行方不明だったら、借地上に残された建物は誰が撤去することになるのか。その場合の費用は誰が負担することになるのか。

回答

 質問1.について ― 基本的にはそのような心配のない企業なり個人に土地を借りてもらうしかないのであるが、考えられるひとつの方策としては、借主に、あらかじめ建物の撤去費用相当額プラス数年分の地代相当額の保証金(敷金)を差し入れてもらい、さらに信用のある保証人を立ててもらったうえで、その保証人に対し、借主に賃料の不払い等があったときの保証金の管理処分権限を付与するとともに、借地契約が解除されたときの建物の撤去義務を課すことについて、これを公正証書に記載することにより借地上の建物の収去と土地の明渡しが事実上円滑に進むように措置するのが適当と考えられる。
 なお、この場合、借地上の建物の収去と土地の明渡しについては、借主のほかに、保証人に対しても強制執行の相手方としての手続がとれるように措置しておくことが適当であろう。
 質問2.について ― 会社の清算が結了するまでは、引き続き会社の所有物として残る(株式会社の場合:会社法第476条)。
 質問3.について ― 会社の代表者あてに公示送達手続で、借地契約の解除に伴う建物の収去と土地の明渡しを求める裁判を提起し、その確定判決を得て、執行官に強制執行の申立てをすることになる(民事訴訟法第110条~第113条、民事執行法第168条)。その場合の建物の撤去作業は代替執行という手続で裁判所が行うことになるが(民事執行法第171条第1項)、その費用は貸主(地主)が立替えて支払うことになる。したがって、貸主(地主)としてはあとからその費用を借主(会社)から回収するということになるが、実際にはその回収は事実上不可能であろうから、最終的には貸主(地主)が損金で処理をせざるを得ないということになろう。

参照条文

会社法第476条(清算会社の能力)
 前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
会社法第478条(清算人の就任)
 次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
一 取締役(以下、略)
二、三 (略)
会社法第481条(清算人の職務)
清算人は、次に掲げる職務を行う。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の分配
民事訴訟法第110条(公示送達の要件)
 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二~四 (略)
、③ (略)
同法第111条(公示送達の方法)
 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
同法第112条(公示送達の効力発生の時期)
 公示送達は、前条の規定による掲示を始めた日から2週間を経過することによって、その効力を生ずる。(以下、略)
、③ (略)
同法第113条(公示送達による意思表示の到達)
 訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、第111条の規定による掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。(以下、略)
民事執行法第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
 不動産等(中略)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
~⑨ (略)
同法第171条(代替執行)
 民法第414条第2項本文又は第3項に規定する請求に係る強制執行は、執行裁判所が民法の規定に従い決定をする方法により行う。
、③、④、⑤、⑥ (略)
民法第414条(履行の強制)
 (略)
 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。(以下、略)
、④ (略)

監修者のコメント

 回答の建物の撤去義務を公正証書にすることは、もちろんそれなりの意味はあるが、それは直接の債務名義にはならないことに注意されたい。公正証書に執行認諾文言がついている場合、判決をとらずに強制執行ができるという強制執行の債務名義になるのは、金銭の一定額の支払または有価証券・代替物の一定の数量の給付を目的とする請求権に関するものに限られるからである(民事執行法第22条第5号)。
 質問3のような借主が行方不明になるというケースは、しばしば見られるが、法律的には、やはり回答のように裁判手続を進めるしかない。そして、執行までの費用を含め、事実上貸主が諸費用を負担せざるを得ないのが実態である。それゆえにそれらの費用を見込んで保証金(敷金)を可能な限り、多めに預かっておくことが重要である。

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