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売買事例 1202-B-0146
埋立地における天災地変の場合の瑕疵担保責任免責条項の有効性

 当社が10年前に分譲した建売住宅が、このたびの大震災で被災した。被災の内容は、土地が埋立地であったことによる不同沈下であるが、このような場合に備えて定めた「天災地変による場合には、売主は瑕疵担保責任を負わない。」という特約は有効か。品確法上の瑕疵担保責任については、消滅時効の適用があるか。品確法上の瑕疵担保責任は、土地の瑕疵については負わないと考えてよいか。

事実関係

 当社は、10年前に数10棟の建売住宅を分譲したが、このたびの大震災でそのうちの何棟かに被害が生じた。被害の内容は、土地が埋立地であることによる建物の不同沈下であるが、当社としてはこのような事態に備えて、あらかじめ売買契約書に瑕疵担保責任の免責条項として、「天災地変による場合には、売主は瑕疵担保責任を負わない。」と定めている。
 ただ、本件の建売住宅の分譲にあたり、建物の敷地が埋立地であることについては、買主には告知していない。

質問

  •  このような売主の瑕疵担保責任免責条項は、有効か。
     なお、本件の建売住宅の分譲にあたっては、宅建業法上の「引渡しから2年」、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律。以下「品確法」という。)上の「引渡しから10年」の瑕疵担保責任の期間の定めは、売買契約書上に明定しており、本件の特約は、その「ただし書き」として定めている。
  •  品確法上の売主の瑕疵担保責任については、10年間の責任期間が満了したあとに、更に10年間の消滅時効の適用があるのか。
  •  品確法上の瑕疵担保責任の範囲には土地の瑕疵は含まれていないので、物件の引渡し後10年を経過したあとは、地盤の瑕疵について担保責任を負うことはないと考えてよいか。

回答

1. 結論
   質問1.について ― 本件の特約の趣旨が、文字どおり天災地変による場合には、売主は、瑕疵があっても瑕疵担保責任を負わないという趣旨であれば、その特約は宅建業法上も品確法上も無効と解さざるを得ないが、単に売主が天災地変による被害については責任を負わないという趣旨であれば、その特約はその限りにおいて有効であると解される。
 ただ、本件の場合には、土地が埋立地であることから、その埋立地特有の問題(地盤沈下や液状化=これが「隠れた瑕疵」であると認定された場合)から生ずる損害についても責任を負わないという趣旨で定めたとも考えられ、もしそうであれば、その特約は無効であると解さざるを得ない。
 しかし、分譲後10年を経過した現在においては、宅建業法上の特約として瑕疵担保責任の期間を2年間と定めた場合には、宅建業法上も品確法上も、その瑕疵担保責任の期間が満了しているので、本件特約の有効・無効を論ずる実益はない。
   質問2.について ― 品確法上の瑕疵担保責任は、その責任を負う期間が引渡しから10年間と法定されており(品確法第95条第1項)、その期間が満了すれば売主(貴社)が責任を負うことはないので、その後に時効の問題が生じることはない。
   質問3.について ― 考えてよい。
2. 理由
    ⑴について
     売主の瑕疵担保責任は無過失責任であるから、売買された物件に隠れた瑕疵がある以上、その隠れた瑕疵について売主は責任を免れることはできない。したがって、今回の分譲物件に隠れた瑕疵があり、その瑕疵が原因で建物が不同沈下したり、毀損した場合には、仮に今回の地震がその引き金になったとしても、売主はその責任を免れることはできないので、そのような場合にも売主が責任を負わないとする特約は、宅建業法上も品確法上も無効と解さざるを得ない。
    ⑵について
     瑕疵担保責任に関する時効の問題は、当事者間でその責任期間を定めなかった場合に、民法第570条が準用する民法第566条第3項の規定(瑕疵を発見した時から1年以内に損害賠償等の請求をしなければならないとする規定)が適用されるので、その場合に物件の引渡し後いつまで瑕疵担保責任を追及することができるのかが問題となり、そのことについて平成13年に最高裁が、「瑕疵担保責任に基づく損害賠償等の請求権は、物件の引渡し後10年で消滅時効にかかる。」と判示したことにより、一定の結論が出ている問題である。つまり、本件の場合には品確法により10年という責任期間が定められているので、買主は売主に対し、その10年の間に損害賠償等の請求をすればよく、その代わりにその期間が満了すれば責任追及はできなくなると解されるので(後記【参照判例】参照)、それ以降は時効の問題は生じないということである。
    ⑶について
     (略)

参照条文

民法第566条(地上権等がある場合における売主の担保責任)
   売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
   (略)
   前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。
民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
   売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
民法第572条(担保責任を負わない特約)
   売主は、第566条から前条までの規定による担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
宅地建物取引業法第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限)
   宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
   前項の規定に反する特約は、無効とする。
住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特則)
   新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(中略)から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第570条において準用する第566条第1項(中略)に規定する担保の責任を負う。(以下、略)
  、③  (略)

参照判例

最判平成4年10月20日民集46巻7号1129頁
   本条(民法第566条)3項に定める1年の期間制限は除斥期間であり、民法第570条による瑕疵担保責任の損害賠償請求権を保存するには、裁判上で権利行使する必要はないが、少なくとも、売主に対し、具体的な瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の算定の根拠を示すなどして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある。
最判平成13年11月27日民集55巻6号1311頁
   瑕疵担保による損害賠償請求権は、売買契約に基づき法律上生ずる金銭支払い請求権であり、民法167条1項にいう「債権」に当たるものであり、また、買主が瑕疵に気付かない限り右請求権が永久に存続するものと解することは、売主に過大な負担となって妥当でない。したがって、瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当である。

監修者のコメント

 本ケースの「天災地変による場合には、売主は瑕疵担保責任を負わない」という契約条項は、その条項自体が有効かどうかは一律には判断できない。その意味が、天災地変によって生じた現象は、その物件の瑕疵が原因でも免責されるというのであれば、宅建業法の適用を受ける売買については同法第40条により無効である。これに対して、その意味が、純粋な意味での天災地変すなわち不可抗力による現象については免責されるというのであれば、そもそも瑕疵が原因ではないのだから、当然のことを言ったまでで、もちろん有効である。その契約文言の有効かどうかが重要なことではなく、具体的に発生した現象・事象がたとえ天災地変時に生じたことであっても、物件の瑕疵が原因で生じたものかどうかが重要なことである。もっとも、その認定はかなり困難である。
 時効などの問題は回答のとおりである。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「地盤と基礎」

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