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賃貸事例 1202-R-0098
賃貸マンションのユニットバスの交換と造作買取請求権の放棄

 当社は賃貸管理業者であるが、先日賃貸マンションの借主から、「ユニットバスを新しいものに取り替えて欲しい」という要求がなされ、それに対し貸主からは「自分の費用で取り替えるのであれば認める。その代わり、借主は造作買取請求権を放棄して欲しい」という回答がなされた。このような場合、管理業者としてはどのような対応をしたらよいか。

事実関係

 当社は賃貸管理業者であるが、先月築30年近い賃貸マンションの入居者から、「バスルームが古いので、新しいバスルーム(ユニットバス)に取り替えて欲しい」という申入れがなされた。
 それに対し、貸主からは「取り替えるつもりはない。どうしても取り替えたいのなら自分の費用でやって欲しい。この場合、借主はあらかじめ造作買取請求権を放棄して欲しい」という回答がなされた。

質問

 上記当事者のやりとりについて、管理業者としてはどのように対応したらよいか。

回答

1. 結論
   賃貸管理業者としては、バスルームの現状をよく調べたうえで、もし現在のバスルームが新築時のオリジナルのままであれば、そのユニット全体にかなりの傷み(ヒビ割れなど)や汚れがあると思われるので、この際、次の入居者のことも考えて、貸主の費用負担でユニットバスを取り替えたうえで、その付加価値の増加分を賃料で調整するという方法で解決を図るよう説得するのが適当ではないかと考える。
2. 理由
   本件の賃貸マンションは築30年近いマンションだということであるから、バスルームの古さからみて、そのユニットバスはおそらく新築時のままのものであろう。もしそうであれば、結論で述べたとおり、そのユニットバスにはかなりの傷み(ヒビ割れなど)や汚れがあるであろうし、給排水管の交換周期(30年=マンションの「長期修繕計画作成ガイドラインコメント」(国土交通省))との関係からも、耐用年数的にも限界に来ているのではないかと思われる。したがって、賃貸管理業者の対応としては、いずれは発生する修繕義務との関係で、事前に貸主がその費用を負担し、その付加価値の増加分を賃料で調整するという方法をとることが適当ではないかと考えられる。
 なお、今回貸主から出された造作買取請求権放棄の要求については、確かに借地借家法の上では造作買取請求権の規定は任意規定であるから(同法第33条、第37条)、その規定だけを見れば、その放棄特約は有効であると考えることもできるが、そもそも本件のようなもともと貸主の費用で賃貸借物件に取り付けられていた設備(ユニットバス)の取り替えの場合にも造作買取請求権の規定が適用されるのかという問題があり、いずれにしても、本件の問題が本来は貸主がその費用を負担し、修繕・完備すべき設備の取り替えの問題なのかどうかもはっきりしない段階では、この問題は上記結論以外に、容易に答えが出せない問題である。

参照条文

民法第601条(賃貸借)
 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
民法第606条(賃貸物の修繕等)
 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
民法第608条(賃借人による費用の償還請求)
 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
借地借家法第33条(造作買取請求権)
 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
借地借家法第37条(強行規定)
 第31条、第34条及び第35条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。

監修者のコメント

 質問である管理業者の対応方法としては、回答のとおりで差し支えないが、法律的観点からいえば、本ケースはいくつかの問題点が含まれている。第1に、ユニットバスが賃貸人の修繕義務を生じさせるほどのものではないか、第2に修繕義務があるとまではいえない場合、その賃借人が賃借した当時のユニットバスの状態はどうだったのか、すなわちその状態を容認して入居したといえないのか、それとも入居後に変化が生じたのか、第3に賃借人の費用で行うとした場合、そのユニットバスが造作買取請求権のいう「造作」なのか、建物の構成部分とならないのか(構成部分であれば、有益費の償還請求の問題となる)、それは新しいユニットバスがどういうものかによって決定される。いずれにせよ、このような難しい問題があるので回答のような解決が望ましい。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「造作買取請求権」

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