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掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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賃貸事例 1110-R-0095
借地契約更新時の借地期間の短縮の可否

 旧借地法時代の期間が30年になっている借地契約の更新事務を担当するが、その契約は「鉄骨造」の建物の建築を目的としているため、「堅固な建物」としての旧借地法第5条第1項の規定の適用はなく、更新される期間が20年になるという考え方は正しいか。更新契約が期間20年で成立した場合、当社は契約当事者に対し、相応の報酬請求ができると思うが、どうか。

事実関係

 当社は、このたびある地主から、旧借地法時代の借地契約の更新事務を依頼された。更新する契約は、「鉄骨造」の店舗併用住宅の建築を目的とする期間が30年の借地契約であるが、地主としては、この際に借地期間を20年として更新したいと考えている。その理由は、本件の借地契約は期間が30年となっているが、「鉄骨造」の建物建築を目的としているため、「堅固な建物」の建築を目的としているとはいえない。したがって、更新後の借地期間については、旧借地法第5条第1項の「堅固な建物」としての期間30年の適用はなく、「その他の建物」としての20年ということになるので、この際20年の借地契約として更新をしたい、というものである。

質問

  •  このような地主の考え方は正しいか。
  •  当社が行う更新事務は、賃貸借契約の更新契約の媒介をすることになるので、当社は宅建業に準じ、契約の当事者に対し、相応の報酬請求ができると思うが、どうか。

回答

1. 結論
   質問1.について ― 地主が、更新時の期間が当然に20年になると考えているとすれば、その考え方は正しくない。
   質問2.について ― 直接の依頼者である地主に対しては、相応の報酬請求は可能と考えられるが、直接の依頼がない本件の借地人に対しては、事前の合意がない場合には、請求は難しい(請求が不可能という意味ではない)と考えるべきであろう。
2. 理由
  について
     地主は、更新の対象になっている借地契約について、更新後の期間については、その借地の目的である建物の構造が「堅固な建物」になっていないので、旧借地法第5条第1項の規定により、20年になると考えているようである。
 確かに、建物の構造が「鉄骨造」というだけでは、「堅固な建物」であるとはいえないと考えられるが(後記【参照判例】参照)、だからといって、本件の借地契約が更新後は当然に20年になるわけではなく、この旧借地法第5条第1項の規定は、合意で契約の更新はしたが、更新後の期間を定めなかった場合の規定であり、もし当事者が話し合いで期間を定める場合には、その期間を30年にすることも、40年にすることもできるわけであるから(同法第5条第2項)、本件の場合は、借地人が更新後の期間を20年とすることに同意しない限り、現行の30年ということになる(同法第11条)。
  について
     地主が借地契約の更新事務を宅建業者に委託し、宅建業者がその受託事務を処理することは商行為であるから、商人である宅建業者は、商法第512条の規定に基づいて、委託者に対し「相当の報酬」を請求することができる。しかし、「相当の報酬」がいくらであるかについては法定されていないので、受託者が報酬をスムーズに受領するためには、その額や支払方法等について、委託者との間で事前に取り決めをしておくことが望ましい。
 一方、直接の委託者でない借地人に対する報酬請求については、相手がその請求を予期していない場合もあり、特に本件のような借地人に不利となる定めをするケースの場合には、トラブルになる可能性もあるので、報酬についての事前の合意がない場合には、報酬の請求は難しいと考えるべきであろう。

参照条文

借地法第5条(合意による契約更新)
   当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ三十年、其ノ他ノ建物ニ付テハ二十年トス此ノ場合ニ於テハ第二条第一項但書ノ規定ヲ準用ス
   当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ
借地法第11条(強行規定)
   第二条、第四条乃至第八条ノ二、第九条ノ二(第九条ノ四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス
商法第512条(報酬請求権)
   商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

参照判例

「堅固な建物」にはあたらないとされた事例
  ・鉄骨・ラチス柱・ラチス梁構造のもの―東京地判昭和41年8月8日東高時報17巻176頁
  ・軽量鉄骨造の建物―宇都宮地判昭和37年11月7日下級民集13巻11号2244頁、東京高判昭和59年12月27日判時1158号203頁、大阪地判平成8年8月21日判タ938号252頁

監修者のコメント

 更新後の契約期間についての考え方は、回答のとおりである。更新事務の報酬については、更新事務の依頼者に対して当然に報酬請求ができるが、たとえ反射的利益を受けても、依頼していない当事者に請求することはできない。報酬請求の根拠はあくまでも委任を受けたからであって、委任されない者に対して商法512条を根拠に請求できるわけではない。
 なお、賃貸借契約の「更新事務」は、宅建業法の範囲外の業務であって、仲介手数料の制限規定(同法第46条)の適用を受けない仕事である。

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