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2402-B-0330
埋蔵文化財包蔵地内の土地で、人骨が発掘された場合の告知義務

 周知の埋蔵文化財包蔵地内の土地を媒介するが、事前の調査で人骨1体分が発掘された。出土品の中には、江戸時代のものと思われる貨幣や宝飾品もある。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、今回当社が媒介しようとしている土地(約500㎡)は周知の埋蔵文化財包蔵地内にある土地で、昔からの地主が所有している土地であるが、そのまま売却したのでは土地の購入者(マンション分譲業者)がマンションを建てるときに、文化財保護法による土木工事等のための発掘に関する届出をし、遺跡の調査をしなくてはならないので(文化財保護法第93条)、その結果、売買契約が解除になることも考えられる。
 そこで、そのようなことがないように、売却する前に売主側で遺跡の調査をしておこうということで、現在建っている古い建物や工作物の解体撤去に合わせて届出をし(文化財保護法第92条)、調査を実施したところ、地中から江戸時代のものと思われる貨幣(小銭)と女性の宝飾品のほか、人骨1体分がいずれも同じ場所で発見された。
 現在、その発見された貨幣(小銭)や宝飾品は教育委員会で、人骨はお寺でそれぞれ保管しているが、このままでは土地を売却することができないのではないかと心配である。

質 問

1.  当社は、この土地の媒介にあたり、人骨1体分が発掘されたことを、重要事項として買主に告知する義務があるか。
2.  出土品に関する所有権の帰属先や当局との連絡窓口などについて、買主に説明しておく必要があるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 義務まであるかどうかはにわかには判断し難いが、少なくとも人骨が出土されたことは告知しておいた方がよいと考えられる。
 質問2.について ― 特に説明しておく必要はないと考えられる。
2.  理 由
について
 本件の調査で出土した埋蔵物が江戸時代のものと思われることと、人骨1体分がそっくり同じ場所で発見されたという事実から、その発掘された場所は江戸時代の墓地であった可能性がある。したがって、もし教育委員会の方も同じような見解であれば、いかに江戸時代の古いものであるといっても、取引する土地の一部が墓地であった可能性があるということと、人骨が発掘されたという事実だけは、信義上も告知する必要があると考えられる。
 したがって、このような土地の媒介にあたっては、人骨の処理はもとより、跡地の処理についても、現在の所有者においてそれなりの処置をしておかないと土地の取引そのものが難しくなると考えられる。
について
 本件のような周知の埋蔵文化財包蔵地内の遺跡の発掘に際しては、上記⑴のような種々の埋蔵物の発見が考えられるが、実務においては、それらの埋蔵物については、当局が土地の所有者等に対し、原則としてそれらの所有権を放棄するように求めているので(後記【参照資料】参照)、その後の土地の購入者がそれらの埋蔵品の所有権の帰属先として係わることは、原則としてない。

参照条文

 文化財保護法第92条(調査のための発掘に関する届出、指示及び命令)
   土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、(中略)発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければならない。(以下、略)
   (略)
 同法第93条(土木工事等のための発掘に関する届出及び指示)
   土木工事その他の埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝塚、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、前条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日前」とあるは、「60日前」と読み替えるものとする。
   (略)

〔参照資料〕

参照資料

監修者のコメント

 物件にまつわるある事実について、媒介業者が告知義務を負うかどうかは、法律理論としては、受任者としての善管注意義務の中にそれが包含されるかどうかという観点から具体的事案についてケース・バイ・ケースで判断せざるを得ない。しかし、その際、認定の参考となり得るのが宅建業法第47条1号の「重要な事項の告知義務」の規定である。同号は「故意の不告知、不実の告知」の対象事項を具体的に列挙しているが、そのポイントは「宅建業者の相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」、これを平たく言えば、顧客等が契約を締結するかどうかの判断に影響を及ぼす事実は、告知義務の対象であるということである。
 本ケースにおいて、買主の購入目的がマンション建設で一戸建住宅用地ではないので微妙ではあるが、人骨が出てきたこと、昔に墓地であった可能性があることは、やはり一般人・平均人にとっては契約締結の判断に影響を及ぼす事実と考えられる。仮に法的には告知義務がないとしても、媒介業者が知っていたのに、あえて言わなかったということをめぐる紛争に発展する可能性があるので、いずれにせよ告知しておいたほうがよい。
 なお、文化財保護法の「周知の埋蔵文化財包蔵地」であることは、宅建業法第35条1項の法令上の制限の説明事項とされておらず(同法施行令第3条第28号参照)、また説明事項ではないとした下級審判例もあるが、紛争回避の観点からは、そのような土地であることを説明しておくことが望ましい。

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