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2312-R-0272
ガレージ(車庫)の賃貸借の借地借家法適用の有無

 8年後に本格的な土地有効活用を検討している地主から、その間の短期的な土地活用を依頼された。宅建業者である当社は、地域内に供給の少ない鍵付きガレージの運営を提案したいが、8年後には全室の明渡しが完了している必要がある。

事実関係

 当社は、賃貸の媒介業者である。住居や店舗の媒介と管理及び月極駐車場の斡旋・管理業務を行っている。扱っている駐車場の多くは、いわゆる青空駐車場で更地や砂利敷きにロープ等で区画割りをしたものやアスファルト舗装に塗装やラインテープで駐車位置を示す簡易なものである。この度、長年懇意にしている地元の地主から未使用の土地の活用の相談があった。その土地は住宅街にあり、幹線道路に近く、いずれ賃貸マンションまたは商業ビルの建築を考えているようだ。地主は他にも不動産活用をしており、金融機関からの借入金もあって、借入金の返済が軽減される8年後頃に事業化を予定している。
 当社は、この地域で比較的供給が少なく、希望者の多い大型バイク用ガレージの賃貸を提案しようと考えている。ガレージは5台のバイクが個別に収納できる鍵のかかるシャッター付きが需要に適していると思われる。ガレージ運営は、初期費用も抑えられ、8年後に取り壊しても青空駐車場に比べ高い賃料が見込まれ、十分採算が合うと見込んでいる。大型バイクは高額なものが多く、青空駐車場に駐車するには傷みも早く、かといってバイク用カバーを都度被せるのは手間がかかる。また、いたずらや盗難のおそれもある。鍵付きガレージであれば高級バイクでも安心して保管が可能である。
 ガレージの賃貸借契約は、期間2年とし、期間満了後に更新を可能とする予定である。また、次の事業化に合わせて建築に取り掛かることを考慮し、8年後に全5室の契約解除時期を合わせるため、賃借人からの中途解除を退去日の1か月前通知とし、賃貸人のからの解除を3か月前通知とする契約条項を考えている。

質 問

 バイクを個別に収納できるガレージの賃貸借契約は、利用契約として貸主からの契約解除も可能と考えてよいか。

回 答

1.  結 論
 目的物が壁等で囲まれ、かつ施錠ができる独立した各室の賃貸借契約は借地借家法が適用になり、賃借人からの解除条項は有効であるが、賃貸人からの中途解除は原則認められないと解される。したがって、契約形態は、定期建物賃貸借契約とすべきと考える。
2.  理 由
 駐車場の賃貸借には様々な形態がある。事業者等が複数の自動車を駐車するための土地の賃貸借は、借地借家法に定められた借地権が適用されない民法上の賃貸借である。同じ複数自動車が駐車する独立した建物は借地借家法が適用になる建物賃貸借である。青空駐車場といわれる、土地上に駐車位置をペンキやロープ等で区画された駐車スペースの賃貸借は、土地の賃貸借でなく、駐車スペースの利用契約と解されており、当然に借地借家法の及ばない契約であり、契約期間や契約解除条項は、当事者の合意により自由に設定することができる。
 問題になるのは、建物や構築物の駐車場の賃貸借が借地借家法の適用がある借家契約か否かである。建物全体が駐車場用途で独立性が認められれば、借地借家法が適用になる。しかし、建物あるいは構築物である立体駐車場や多くのビルトインガレージで、壁に囲まれておらず独立性の認められない駐車スペースは、青空駐車場同様、利用契約になる(【参照判例①】参照)。
 相談のケースのような、複数個のガレージで各室が壁に囲まれ、鍵がかかるものであれば独立性を有すると認められ、借地借家法が適用になる可能性が高い。借地借家法上の建物は、その用途を居住用や店舗・事務所等と限定する規定はなく、壁等で囲まれ、独立した“空間”であれば同法の適用があると考えられている。裁判例でも「建物の一部であっても、障壁その他によって他の部分と区画され、独占的排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、借地借家法にいう「建物」であると解す」としている(【参照判例②】参照)。
 借地借家法が適用になると、賃貸人は更新拒絶を賃貸借期間の満期6か月までにする権利はある(借地借家法第26条)ものの、契約解除するためには賃貸人の正当事由が要件(同法第28条)となる。正当事由はハードルが高く、ガレージ跡地を事業化する事由は該当しないであろう。賃貸人からの明け渡し要求に、賃借人は従う義務はなく、賃借人に退去に応じてもらうためには、賃貸人から賃借人に対する立退料の金銭提供の合意を得て合意解除するのが一般的である。
 媒介業者は、賃貸人が独立・排他性のある建物の賃貸借契約の媒介をする際に、全室の明渡し時期をそろえる希望があるときは、更新のない契約形態である定期建物賃貸借契約の締結を助言する必要があろう。定期建物賃貸借契約であれば、当初から期間8年の契約が可能であり、途中で空室になっても8年後までの残存期間を契約期間としての契約締結が可能であり、8年後には全室揃って明け渡される状態が実現できる。

参照条文

 民法第601条(賃貸借)
   賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
 借地借家法第1条(趣旨)
   この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
 同法第26条(建物賃貸借契約の更新等)
   建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
   前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
   (略)
 同法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
   建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
 借地借家法第38条(定期建物賃貸借)
   期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
  〜⑨ (略)

参照判例①

 最高裁平成31年2月13日 ウエストロー・ジャパン(要旨)
 本件駐車場は、屋根こそあるものの、周壁を有しておらず,隣の駐車場と壁によって客観的に区別されているとはいえないし、また、本件建物の居住者であれば誰でも本件駐車場を通って本件建物を自由に出入りし得る状態にある以上、被告の独立的、排他的な支配が可能であるともいえない。そうすると、本件駐車場は、本件建物の一部を構成するものではあるが、借地借家法の適用を受ける「建物」に該当するとはいえない。

参照判例②

 最高裁昭和42年6月2日 判タ209号133頁(要旨)
 建物の一部であっても、障壁その他によって他の部分と区画され、独占的排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、借家法1条(現、借地借家法第1条)にいう「建物」であると解す。

監修者のコメント

 契約の目的物(対象)が「建物」に該当すれば、借地借家法の建物賃貸借として賃借人は同法により保護され、「建物」に該当しなければ民法のみの適用となり、特に保護されない。その「建物」該当性の判断基準は、回答に紹介されている昭和42年の最高裁判例が現在でも活きている。下級審の裁判例や学説には、さらに詳細な説明をするものもあるが、この昭和42年判例を否定する見解は、見当たらない。そこにいう「独占的排他的支配」というのは、①使用上の独立性・排他性と②効用上の独立性・排他性の2つを総合的に考慮するということである。
 本相談ケースの結論は、「回答」の詳細かつ明快な解説に付け加えるべきことがない。

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