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2308-R-0267
賃貸借契約において連帯保証人を複数人立てたときの極度額上限の如何。

 賃貸借契約の媒介をするが、連帯保証人予定者が設定予定の極度額に難色を示しているため、2人の連帯保証人を立て、一定の極度額を確保したいと考えている。

事実関係

 当社は、賃貸の媒介業者である。最近、賃貸借契約に際し、借主が連帯保証人を立てられなかったり、令和2年4月施行の改正民法による極度額設定に連帯保証人が設定額に難色を示し連帯保証人となることを躊躇するケースが散見される。当社では、連帯保証人の個人根保証の極度額を賃貸人と相談しながら賃貸条件として賃借人に示している。極度額は賃料にもよるが、おおむね月額賃料の1~2年相当分としている。賃借人が、連帯保証人を立てられないときは家賃保証会社を利用するが、賃借人に保証料等の費用がかかるので、その負担を避ける賃借人もいる。
 民法改正前の連帯保証人の保証額は、上限がなくいわば青天井だったが、改正後は保証額の上限である極度額を設けることにより連帯保証人の実質の負担は軽減されたといってよいが、具体的な金額を目にすると、賃借人が滞納等をしなければ負担することはないにも関わらず、極度額に抵抗を表わす者もいる。
 連帯保証人の極度額の抵抗感を軽減するために、当社では複数の保証人を立てることを検討している。複数保証人を立てることで、個々の保証額は軽減され、抵抗感も薄れると考えている。連帯保証人を2名とすると保証額が賃料の2年相当分とした場合、連帯保証人の1人は1年相当分の極度額、もう1人も1年相当分とし、極度額は変わらずに各保証人の負担感は軽減される。また、連帯保証人の年収や資力により、割合を変えて、合計で2年相当分とすることも考えられる。

質 問

1.  賃貸借契約の連帯保証人を複数立てることはできるか。
2.  複数の連帯保証人を立てたときの連帯保証人の極度額は、各人の合計額が極度額の上限になるのか。極度額の多い連帯保証人の額が上限になるのか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 連帯保証人を複数人立てることは可能である。
 質問2.について ― 連帯保証人の極度額を複数人に設定したときは、それぞれの極度額の合計額が賃借人債務の保証額の上限となる。
2.  理 由
⑵について
 金銭消費貸借契約や賃貸借契約において、債務者が支払い義務を履行しない場合の担保として賃貸人は保証人を要求するのが一般的である。保証人には、保証人と連帯保証人がある。保証人は、主たる債務者である賃借人が金銭等の債務を履行しないときに、その履行をする責任を負っている(民法第446条)。連帯保証人は、保証人と異なり、主たる債務者である賃借人に債務が発生すれば、連帯して保証することになる。保証人の場合は、2つの抗弁権がある。保証人に債務を請求する前に主たる債務者である賃借人に先に督促するよう要求できる「催告の抗弁権(同法第452条)」と保証人が、賃借人に資力があることを証明したときは賃借人に対する強制執行を要求できる「検索の抗弁権(同法第453条)」である。しかし、連帯保証人には、その2つの権利はない(同法第454条)。したがって、債権者は、賃借人が債務を履行しないときは、直ちに連帯保証人に直接債務の履行を求めることが可能なのである。
 保証人が複数の場合、保証人が履行する債務は等しい割合で支払い義務を負うとしている。これを「分別の利益」という(同法第456条)。連帯保証人が複数の場合でも連帯保証人には分別の利益は適用されず、それぞれが全額について支払いの義務を負う。
 改正民法により、賃貸借契約の保証人(ただし個人の場合)の根保証契約の保証債務の額は、極度額を上限として履行責任を負うこととなった。この個人根保証契約は極度額を定めなければ保証契約そのものが無効になる(同法第465条の2)。
 相談ケースのように、連帯保証人を複数人立てたときは、債権者である賃貸人との間の根保証契約は、それぞれ別個の契約となり、各連帯保証人は、それぞれが設定した極度額の負担義務を負うことになる。例えば、契約者の滞納賃料が250万円のときに、連帯保証人2人の極度額が各200万円とした場合は、賃貸人はそれぞれ200万円、合計400万円を限度として請求できることになる。1人に200万円を請求し、他方に滞納額との差額50万円を請求することができ、滞納額の半分125万円をそれぞれに請求することもできる。連帯保証人の極度額が各々100万円の場合は、合計200万円であり、滞納額の全額の回収はできないことになる。
 賃貸借の媒介業者は、賃借人に複数の連帯保証人はいるが、それぞれの資力が十分でない場合には、保証人を複数人立て、設定予定の極度額を各連帯保証人に割り振ることも検討の余地があろう。

参照条文

 民法第427条(分割債権及び分割債務)
   数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
 同法第446条(保証人の責任等)
   保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
   保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
   (略)
 同法第452条(催告の抗弁)
   債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
 同法第453条(検索の抗弁)
   債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
 同法第454条(連帯保証の場合の特則)
   保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
 同法第456条(数人の保証人がある場合)
   数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第427条の規定を適用する。
 同法第465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)
   一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
   個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
   第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。

監修者のコメント

 通常の保証でも連帯保証でも保証人となるのは、債権者と保証人となる者の間の個別の保証契約に基づくものであるから、極度額も個々の保証人単位で決めることになる。したがって、複数の連帯保証人がいる場合の極度額は債権者からみれば、回答のとおり各人の極度額の合計額が上限となる。
 なお、「連帯」の語がつかない保証と連帯の語がつく連帯保証の違いについては、世上、圧倒的に後者のほうが多いこともあって、意外に正確に理解されていないように感じられる。この機会に回答にある両者の違いを再確認されたい。

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