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2208-R-0251
定期建物賃貸借契約において、賃貸人に説明義務のある「事前説明」を、媒介業者が重要事項説明と併せて説明することの可否

 当社は賃貸の媒介業者として定期建物賃貸借契約を扱うことが増えてきたが、賃貸人から、賃貸人に義務付けられている事前説明が煩わしいと言われることがある。媒介業者が行う重要事項説明に事前説明の内容を記載し、媒介業者が説明することができないか。

事実関係

 当社は賃貸の媒介業者である。最近、定期建物賃貸借契約を希望する賃貸人が徐々に増えている。定期建物賃貸借契約締結の際は、賃貸人は賃借人に対して、当該契約は契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了する旨の事前説明をする必要がある。
 当社は、定期建物賃貸借契約に限らず契約の際は、賃貸人と賃借人との顔合わせも兼ね、できるだけ賃貸人にも契約締結に同席いただいている。特に、定期建物賃貸借契約では賃貸人にも契約内容を確認いただくのと同時に、賃貸人から賃借人へ定期建物賃貸借契約である旨の事前説明をお願いしている。賃貸人が同席できない場合は、当社が賃貸人の代理人として事前説明書を交付し説明している。賃貸人の中には、契約に同席してもよいが、事前説明をするのは煩わしいといった声がある。賃貸人は高齢の方も多く、確かに賃貸人に負担がかかることは否めず、何とか賃貸人の負担を軽減したいと考えている。

質 問

 定期建物賃貸借契約を締結する際に、媒介業者が、重要事項説明書に事前説明の内容を記載し、重要事項説明と併せて説明することはできないか。

回 答

1.  結 論
 媒介業者が、重要事項説明書で定期建物賃貸借契約である旨を説明しただけでは、借地借家法の要件を満たさず、更新がない旨の約定は無効となる。しかし、一定の要件を満たせば、重要事項説明書に事前説明の内容を記載し、重要事項説明とあわせて説明することで事前説明とすることができる。
2.  理 由
 定期建物賃貸借契約は、公正証書等の書面で締結する必要があるが(借地借家法第38条第1項)、その契約が、契約の更新がなく、期間の満了により終了するには、賃貸人は賃借人に対して、予め、その旨を記載した事前説明書を交付し、かつ説明をする必要がある(同法第38条第2項)。事前説明書を交付しない、また説明をせずに、賃貸借契約書に契約の更新がない旨を定めても、その定めは無効となる(同法第38条第3項)。契約書を定期建物賃貸借契約としても、契約は一般借家契約となり、更新が容認され、期間満了になっても契約は終了しない。賃貸人が賃借人の建物明渡しを予定していても、賃借人が合意しないかぎり、賃貸人は賃借人に対して契約終了を主張することができない。
 賃貸借契約の媒介では媒介業者は賃借人に対して、重要事項説明書の交付・説明義務があり、定期建物賃貸借契約では、賃貸人が賃借人に対し、事前説明書の交付・説明を行うことが求められるが、事前説明と重要事項説明は、それぞれ別個の説明義務である。ただし、賃貸人の説明を、賃貸人から代理権を付与された媒介業者が重要事項説明とは別に説明することも可能である(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方第35条第1項第14号関係・省令事項9号後段)。
 一方、一定の要件を備えれば、媒介業者が、事前説明を重要事項説明と併せて実施することが可能である。国土交通省の通知によれば、賃貸人から代理権を授与された宅地建物取引士が重要事項説明を行うことで、事前説明書の交付及び事前説明を兼ねることができる。そして、重要事項説明書に、①当該賃貸借契約は、借地借家法第38条第1項の規定に基づく定期建物賃貸借であり、契約の更新がなく、期間の満了により終了すること。②本重要事項説明書の交付をもって、借地借家法第38条第2項の規定に基づく事前説明に係る書面の交付を兼ねること。③賃貸人から代理権を授与された宅地建物取引士が行う重要事項説明は、借地借家法第38条第2項の規定に基づき、賃貸人が行う事前説明を兼ねることを記載した重要事項説明書を交付する旨を記載する。また、後日のトラブル防止のため、賃借人から、上記説明を受けたことについても、記名押印を得ておくことが望ましいとされている(平成30年2月28日国土交通省通知)。具体的な記載方法等については、後記「重要事項説明書における定期建物賃貸借に係る記載例」も示されている。
 なお、同国土交通省通知で、賃貸人は、宅地建物取引士に対し、定期建物賃貸借の期間よりも長期にわたって、契約締結に係る業務についての代理権を授与することも可能であり、この場合、当初の定期建物賃貸借の期間満了後、再度、定期建物賃貸借の契約を締結することとなったときにも、当該再契約時にも代理権が有効であることを明確にするため、委任状等に代理権が授与されている期間等を明記し、交付しておくことが望ましいとしている。
 なお、定期建物賃貸借契約の事前説明書に関し、「定期建物賃貸借契約において、賃貸人が賃借人に対し、あらかじめの書面を交付して説明しなければならないというその書面は、たとえ賃借人が契約の更新がなく期間満了により終了すると認識していたとしても、契約書とは別個独立の書面であることを要し、その書面がない定期建物賃貸借契約は無効であって、普通の建物賃貸借契約となる」との裁判例がある【参照判例】参照)。普通賃貸借契約になると、定期建物賃貸借契約で更新がないこととする旨の約定は無効となる。媒介業者は事前説明書の重要性を認識すべきであろう。

参照条文

 借地借家法第38条(定期建物賃貸借)
   期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
   (略)
   第1項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
   (略)
   建物の賃貸人が第3項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
  ~⑨ (略)
 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
第35条第1項第14号関係
法第35条第1項第14号の省令事項(規則第16条の4の3)について
   宅地の売買又は交換の契約に当たっては以下の1から3を、建物の売買又は交換の契約に当たっては1から6までの事項を、宅地の貸借の契約に当たっては1から3まで及び8から13までの事項を、建物の貸借の契約に当たっては1から5まで及び7から12までの事項を説明することとする。
  1 ~8 (略)
  9  定期借地権、定期建物賃貸借及び終身建物賃貸借について(規則第16条の4の3第9号関係)
 定期借地権を設定しようとするとき、定期建物賃貸借契約又は終身建物賃貸借契約をしようとするときは、その旨を説明することとする。
 なお、定期建物賃貸借に関する上記説明義務は、借地借家法第38条第2項に規定する賃貸人の説明義務とは別個のものである。また、宅地建物取引業者が賃貸人を代理して当該説明義務を行う行為は、宅地建物取引業法上の貸借の代理の一部に該当し、関連の規定が適用されることとなる。
  10 ~13 (略)
 国土交通省通知(平成30年2月28日国土動第133号及び国住賃第23号)に基づく重要事項説明書における定期建物賃貸借に係る記載例
  国土交通省通知(平成30年2月28日国土動第133号及び国住賃第23号)に基づく重要事項説明書における定期建物賃貸借に係る記載例

参照判例

 最高裁平成24年9月13日 ウエストロー・ジャパン(要旨)
   借地借家法第38条第1項の規定に加えて同条第2項の規定が置かれた趣旨は、定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って、賃借人になろうとする者に対し、定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ、当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず、説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。
 以上のような同法第38条の規定の構造及び趣旨に照らすと、同条第2項は、定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って、賃貸人において、契約書とは別個に、定期建物賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上、その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。そして、紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると、上記書面の交付を要するか否かについては、当該契約の締結に至る経緯、当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく、形式的、画一的に取り扱うのが相当である。
 したがって、同法第38条2項所定の書面は、賃借人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

監修者のコメント

 定期建物賃貸借契約に関して媒介業者として最小限知っておく必要のある事項は、終了通知のことと借主からの中途解約の要件のほか、本相談ケースの事前説明の関係である。事前説明の件では、回答にある重説関連の国土交通省通知の正確な把握と事前説明書面は、借主の認識いかんにかかわらず、別個独立の書面でなければならないという最高裁判例の知識である。定期建物賃貸借契約の媒介業者のウッカリミスによって、その契約が普通借家契約として扱われることになれば、貸主にとって重大問題であり、媒介契約の債務不履行としてその責任を免れることができないので十分注意すべきである。

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