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2106-R-0234
共有不動産を賃貸することは、共有者全員の合意が必要な処分行為又は共有者の過半数で決めることができる管理行為のいずれに該当するのか。

 賃貸の媒介業者である当社に商業ビルの賃貸依頼があった。ビルは兄弟3人の共有であるが、2人は賃貸に合意しているが、1人が反対している。

事実関係

 当社は、賃貸の媒介業者である。兄弟3人の共有である商業ビルの事務所1室の賃貸を長男から相談されている。ビルは、2年前に所有者であった父親が死亡し、長男と二男及び妹の3人が、それぞれ持分3分の1を兄弟で相続したものである。事務所1室の賃借人が退去したため、長男は、新たに入居者を募集したいと考えている。妹も賛成しているが、二男は、いずれ自分の事業の拠点として事務所を使用したい思惑があり、入居者の募集には反対している。
 長男は、共有の事務所を賃貸するには、過半数の同意があれば可能だと思っているが、二男とは揉めるのは避けたいと考えている。

質 問

 共有の建物を賃貸借契約する場合、共有者の持分の過半数の同意があれば賃貸することができるか。

回 答

1.  結 論
 共有不動産の賃貸は、相当の事情があるときは、持分の過半数で可能な場合もあるが、原則、共有者全員の同意が必要である。
2.  理 由
 共有物について、各共有者は持分に応じた使用ができる(民法第249条)が、共有不動産を持分に応じて使用することは現実的には難しいであろう。共有不動産が一戸建ての場合、共有者が3分の1ずつ使用するのは物理的に困難であり、土地やアパート・賃貸マンション等の場合は、物理的には3等分の使用もできるかもしれないが、それぞれが使用する土地の位置や部屋の条件が異なり、公平な使用が妨げられる恐れが強い。
 不動産に限らず共有物の現状を変える行為の内容により必要な共有者の同意割合が変わる。共有物に変更を加える場合は、共有者全員の同意が必要である(民法第251条)。変更行為は、共有者全員に影響を与えるため、共有者の単独又は共有持分の過半数の合意があっても変更することができない。不動産の変更行為には、共有土地の造成や建物建築、大規模な建物改造や建替えなども該当するが、このような物理的な性質・形状を変える行為のみならず、売買や抵当権設定等の法律的な処分行為も該当する。
 また、変更に該当しない共有物の管理行為は共有持分の過半数によって管理が可能である(同法第252条前段)。共有物の性質を変えない範囲内の利用・改良行為は変更とはいえず管理行為に該当する。賃貸借契約の解除及び賃料変更の合意や土地賃貸人として賃借人に対する賃借権譲渡の承諾も含まれると解されている。
 変更及び管理に当たらない共有物の保存行為は各共有者が単独で行うことができる(同法第252条但書)。保存行為は変更行為のように共有物の性質等が変化するものでなく、他の共有者の不利益になるものでなく、むしろ価値の維持につながる行為である。共有物の修繕や不法占有者に対する明渡し請求などが管理行為に該当する。
 相談ケースの賃貸人として共有建物を賃貸借契約する行為は、契約期間が短期賃貸借契約(同法第602条)で、同法の期間を超えない場合は、管理行為であるとの考え方もあるが、裁判例では、契約期間が短期間であっても「借地借家法が適用になる契約では更新が原則とされており、事実上契約期間は長期にわたって継続される蓋然性が高く、共有者による使用、収益に及ぼす影響は、同条の期間を超える賃貸借契約と同視できると考えられ、借地借家法等の適用がある賃貸借契約の締結も、原則として、共有者全員の合意なくしては有効に行い得ない」として、共有物の賃貸借契約の締結は、変更行為として共有者全員の同意が必要であると解するものがある。
 しかし、共有の商業ビルの賃貸借契約において、他の共有者が利用する必要がないときに、商業ビルの賃貸による収益が各共有者に還元される場合、「持分権の過半数によって決することが不相当とはいえない事情がある場合には、長期間の賃貸借契約の締結も管理行為に当たる」としている(【参照判例】参照)。

参照条文

 民法第249条(共有物の使用)
   各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
 同法第251条(共有物の変更)
   各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
 同法第252条(共有物の管理)
   共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
 同法第602条(短期賃貸借)
   処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする。
   樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
   前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
   建物の賃貸借 3年
   動産の賃貸借 6箇月

参照判例

 東京地裁平成14年11月25日 判時1816号82頁(要旨)
 一般に、共有物について賃貸借契約を締結する行為は、それが民法第602条の期間を超える場合には、共有者による当該目的物の使用、収益等を長期間にわたって制約することとなり、事実上共有物の処分に近い効果をもたらすから、これを有効に行うには共有者全員の合意が必要であると解されるのに対し、同条の期間を超えない場合には、処分の程度に至らず管理行為に該当するものとして、持分価格の過半数をもって決することができるというべきである。しかし、仮に契約上の存続期間が同条の期間を超えないとしても、借地借家法等が適用される賃貸借契約においては、更新が原則とされ事実上契約関係が長期間にわたって継続する蓋然性が高く、したがって、共有者による使用、収益に及ぼす影響は、同条の期間を超える賃貸借契約と同視できると考えられる。したがって、借地借家法等の適用がある賃貸借契約の締結も、原則として、共有者全員の合意なくしては有効に行い得ないというべきである。
 (中略)共有物の変更及び処分に共有者全員の同意が必要とされるのは、これらの行為が共有者の利害関係に与える影響の重大性にかんがみ、これを過半数の持分権者によって決し得るのが不相当であるからと解される。したがって、持分権の過半数によって決することが不相当とはいえない事情がある場合には、長期間の賃貸借契約の締結も管理行為に当たると解される。

監修者のコメント

 共有物についての賃貸借契約の解除は、民法252条の管理行為に当たり、持分価格の過半数で決することができるというのが、最高裁判例であるが、賃貸借契約の締結そのものも管理行為だという最高裁判例はない。高裁の判例では、共有地への賃借権の設定を管理行為と判断したものがあるが(大阪高判昭和34年8月29日判例時報205号14頁)、学説では、賃借権の設定は処分行為と解し、共有者全員の同意が必要という見解が有力で、回答掲記の地裁判例も同じ考えである。したがって、法律理論として見解が分かれている以上、媒介業者としては紛争回避の見地から、より慎重な全員の同意が必要とのスタンスで仕事を進めるのが賢明である。

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