HOME > 不動産相談 > 売買 > 任意売却中の新たな仮差押えの登記とその対応いかん

不動産相談

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208111:00〜15:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==

不動産のプロフェッショナル

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

2102-B-0285
任意売却中の新たな仮差押えの登記とその対応いかん

 当社は、任意売却における第2順位の抵当権者との債権回収額の減額交渉中に、その物件に新たに仮差押えの登記がなされたことを知ったが、そのことを抵当権者に伝えずに、そのまま減額交渉を進めた。
 このような場合、当社はその事実を第2順位の抵当権者に伝えるべきであったか。当社は、今後どのように対応したらよいか。そもそもこの仮差押えの登記というのは、どのような登記なのか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、先日ある任意売却物件の売却のために、第2順位の抵当権者との間で債権回収額についての減額交渉をしていたところ、その交渉中にその物件に対し他の債権者が仮差押えの登記を行ったという連絡が勤務先から入った。

質 問

1.  当社は、その場ではそのことを抵当権者に告げずに減額交渉を行い帰社したが、それでよかったか、それとも告げるべきであったか。
2.  このような場合、当社は今後それらの債権者との間でどのように対応したらよいか。
3.  そもそもこの仮差押えの登記というのは、どのような登記なのか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 強いて言えば、告げた方が交渉が早く、スムーズにいくと考えられるが、内容的には大差はないと考えられる。
 質問2.について ― 一般的には、仮差押債権者の債権額も考慮し、再度減額交渉を行うということになろうが、ケースによっては仮差押債権者の回収額がいわゆる「ハンコ代」程度の額でまとまるということもあろうし、また逆に、第2順位はもとより、第1順位の担保権者にもある程度の減額協力をしてもらうということもあり得よう。要は、任意売却による売却予定価額と競落予想価額および仮差押仮権者の債権額等のいかんにより対応が異なる。
 質問3.について ― 仮差押えとは、その仮差押債権者が有する金銭債権の将来の強制執行(強制競売など)を保全するために、裁判所が暫定的に、債務者にその財産(本件の場合は「不動産」)の処分の禁止を命ずる民事保全法上の手続であり、その仮差押えの執行は、不動産については「登記」または「強制管理」の方法により行うことになっており(同法第47条第1項)、その「登記」は、裁判所の書記官が嘱託により行うことになっている(同条第3項)。
2.  理 由
⑵について
 任意売却における事前の抵当権者等との債権回収額の減額交渉は、【回答】の結論⑵で述べたとおり、任意売却による売却予定価額と競売になった場合の競落予想価額との比較の中で、抵当権者等が任意売却によった方が結果的に回収額が増え得策であると判断したときにまとまるのである。したがって、本件の場合に任意売却を行う業者がどのように対応すべきかという判断においても、全体の債権額いかんによっては、常に第1順位の担保権者が満額回収できるとは限らないし、そして本件のような仮差押債権者を含めた後順位債権者のプッシュが強ければ強いほど、第1順位の担保権者においてもその回収額を減ずる余地があると考えられるからである。
 要は、この問題は債権者全員がメンツとか表面的な債権額にとらわれずに、実質的な債権回収という判断の中でどうやって折り合いを付けるかという問題であるから、その場合の任意売却を行う業者の調整能力のいかんによってはまとまる話もまとまらなくなるということもあるので、十分な情報収集を行ったうえで、慎重な対応が必要となろう。
について
 抵当権者が債権を回収するには、その登記されている抵当権を実行(競売申立)すればよく、すぐに回収手続に入れるが(民事執行法第181条第1項第3号)、抵当権等の登記を経由していない債権者(一般債権者)の場合には、通常、判決などの「債務名義」を得てその債務者が有している財産を差し押え、それを競売(強制競売)に付して債権を回収することになる(民事執行法第22条、第43条第1項、第45条第1項)。したがって、この一般債権者が行う強制競売の手続の開始までにはかなりの時間を要するため、債務者がその間に主要な財産を処分してしまうことも考えられる。
 そこで、その一般債権者の将来の強制執行を保全するために、暫定的に(急いで)その措置を講じておくというのが、本件の仮差押えの手続である(民事保全法第20条)。
 そのため、一般的な仮差押えの手続としては、その債権の存在についても、その存在を証明するというより、疎明(注)できるだけのものがあればそれを認めるという裁判官の審尋手続を経て、一定の保証金(担保)の供託を条件に仮差押えが認められている(民事保全法第13条、第14条)。
 (注)「証明とは、裁判官がその証明を要する事実の存在につき確信を得た状態のことをいうとされるが、「疎明」とは、その事実の存在が一応確からしいとの認識を持った状態をいうとされている。したがって、「疎明」でもよいとする場合は、本件の仮差押えの手続のように、原則として明文で定められている場合に限られ(民事保全法第13条第2項)、速やかな処理を必要とする場合などに認められる。

参照条文

 民事保全法第13条(申立て及び疎明)
   保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
   保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。
 同法第14条(保全命令の担保)
   保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てさせることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。
   (略)
 同法第20条(仮差押命令の必要性)
   仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
   (略)
 同法第47条(不動産に対する仮差押えの執行)
   民事執行法第43条第1項に規定する不動産(中略)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
   (略)
   仮差押えの登記は、裁判所書記官が嘱託する。
  ・⑤ (略)
 民事執行法第22条(債務名義)
   強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
     確定判決
     仮執行の宣言を付した判決
     (略)
     仮執行の宣言を付した支払督促
    の二 (略)
     (中略)公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
     (略)
     確定判決と同一の効力を有するもの(略)
 同法第43条(不動産執行の方法)
   不動産(中略)に対する強制執行(中略)は、強制競売又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
   (略)
 同法第45条(開始決定等)
   執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、(中略)、債権者のために不動産を差し押える旨を宣言しなければならない。
  ・③ (略)
 同法第181条(不動産競売の要件等)
   (中略)担保権の実行としての競売(以下この章において「不動産競売」という。)は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
    、二  (略)
     担保権の登記(仮登記を除く。)のされている登記簿の謄本
     (略)
  〜④ (略)

監修者のコメント

 本件の質問に対しては、回答に付け加えるべきことはないが、任意売却について成約した場合、約定した媒介報酬をもらえることは当然としても、債権者との減額交渉や各債権者間の調整について特別の報酬(手数料)をもらうことは、弁護士法上の「非弁行為」(同法第72条)になることに留意されたい。

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208111:00〜15:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

更に詳しい相談を希望される方は、
当センター認定の全国の資格保有者へ

不動産のプロフェッショナル

過去の事例(年別)

  • 賃貸
  • 売買

ページトップへ