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2006-B-0275
不動産売買契約条項に定められた違約金が減額されることはあるか

 当社は売買の媒介業者である。売主業者の建売住宅の売買を媒介したが、買主は決済日に残代金の支払いをしないため、売主は買主に対して契約解除を通知し、約定に従い違約金として代金の20%を請求したが、買主は違約金が多額であるとして支払いを拒んでいる。

事実関係

 当社は不動産売買の媒介業者であり、業者売主・買主個人の建売住宅の売買契約を媒介した。契約は、手付金は売買代金の5%で、当事者が債務不履行で契約解除する場合の違約金を20%とする約定とした。建物は建築中であるが買主は住宅ローンを利用しないため、建物完成前であるが、残代金決済日を2か月後に設定した。しかし、買主は、決済日になっても残代金を支払わないため、売主は1週間後までに残代金の支払の催促をしたが、1週間後も支払われなかったため、売主は当社を介して買主に契約解除を申入れ、買主も契約解除に応じる意向を示した。買主が残代金の支払いをしなかったのは、家族の中に建売住宅を購入することに反対者がいたためのようである。売主業者は、契約の違約金特約に基づき、20%の違約金の支払いを買主に求めたところ、買主は、建物は完成しておらず、違約金の20%は多額であり、また、多額の違約金を約定した契約は消費者契約法に抵触する等の理由で支払いを拒み、いまだに支払われていない。
 建売住宅は複数区画があり、地元では人気のある物件で全区画販売済みになっていた。売主が契約解除を通知して間もなく、当社は、当該分譲住宅を希望していたが購入できなかった顧客に当該住宅を紹介したところ、その顧客は購入を決め、売買契約を締結した。売買契約を締結したのは、売主が買主に対し契約解除の通知をしてから3週間後であった。

質 問

1.  売主である業者が売買契約で売買代金の20%の違約金を約定することは問題ないか。
2.  業者が売主で消費者が買主の場合、売買契約で約定した違約金の額が減額されることがあるのか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 宅建業者が売買の売主のときに違約金(債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額)を20%とすることができる。
 質問2.について ― 原則は、減額されないが、違約金の額が不当に過大である等の事情のあるときは、減額される場合がある。
2.  理 由
について
 売買契約における違約金特約は、損害賠償額の予定と推定され(民法第420条第3項)、買主に契約の不履行があり、売主業者がこれを理由に本契約を解除したときは、業者売主は、買主に対し、損害の発生、損害額を証明することなく、約定の違約金の支払を請求することができる。なお、違約金の額が過大等の事情を勘案し減額されることもある。
 宅建業者が自ら売主になる売買契約では、違約金の額を売買代金の20%を超える定めは禁止しており、20%を超える特約は超える部分を無効と規定しており(宅地建物取引業法第38条)、相談の違約金の額を20%と定めた特約は宅建業法に違反せず、通常の取引でも20%の約定がされている。また、消費者契約法は、民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる(消費者契約法第11条第2項)とされ、消費者契約法は適用されない。
について
 業者売主の場合に売買契約の違約金の額を20%とすることは、前記法律に照らしても約定することができる。しかしながら、特別な事情があるときは、違約金条項の一部を無効としたり、その額が減額される場合がある。相談ケースのように、買主は、残代金決済日には建物は未完成であり引渡を受けておらず、売主の履行はされず、通常の取引では手付解除に該当するとも考えられる。また、売主の契約解除通知後、短期間で当該物件を第三者との契約を締結していることは、売主の実質的損害額は軽微で、それに比べ違約金の額は代金の20%と過大であるともいえる。裁判例では「約定の内容が当事者にとって著しく苛酷であったり、約定の損害賠償の額が不当に過大である等の事情のあるときは、公序良俗に反するとまではいえないとしても、約定の内容、約定に至った経緯等の具体的な事情に照らし、約定の効力をそのまま認めることが不当であるときは、信義誠実の原則により、その約定の一部を無効とし、その額を減額することができるものと解するのが相当である。」とし、違約金の額を手付金に手付金相当額を加えた額(代金の10%相当)としたものがある(【参照判例】参照)。
 違約金の約定が代金の20%とすることは一般的であるが、その額に争いが生じたときは、裁判により減額される場合もあることを、宅建業者は認識しておきたい。

参照条文

 民法第1条(基本原則)
   (略)
   権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
   (略)
 同法第420条(賠償額の予定)
   当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
   賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
   違約金は、賠償額の予定と推定する。
 同法第557条(手付)
   買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
   (略)
 消費者契約法第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
   次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
   当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
   (略)
 同法第11条(他の法律の適用)
   (略)
   消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
 宅地建物取引業法第38条(損害賠償額の予定等の制限)
   宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
   前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。

参照判例

 福岡高裁平成20年3月28日 判時2024号32頁(要旨)
 本件違約金特約は、損害賠償額の予定と推定される(民法第420条第3項)ところ、買主において本件契約の不履行があり、売主業者がこれを理由に本契約を解除したことは前記のとおりであるから、業者売主は、買主に対し、損害の発生、損害額を証明することなく、約定の違約金の支払を請求することができ、裁判所は違約金の額(損害賠償の額)を増減することができない(同法同条第1項)ものとされる。
 しかしながら、約定の内容が当事者にとって著しく苛酷であったり、約定の損害賠償の額が不当に過大である等の事情のあるときは、公序良俗に反するとまではいえないとしても、約定の内容、約定に至った経緯等の具体的な事情に照らし、約定の効力をそのまま認めることが不当であるときは、信義誠実の原則により、その約定の一部を無効とし、その額を減額することができるものと解するのが相当である。

監修者のコメント

 消費者契約法9条1項を要約すると、損害賠償額の予定(違約金)が定められた場合に、同種の契約において解除に伴い平均的に生ずると考えられる金額を超える部分は無効ということである。回答掲載の参照判例の事案は、新築マンションの分譲で、代金3,640万円、手付金200万円、違約金代金の20%というものであったが、買主が残代金を払えなくなり、売主業者が約定違約金728万円を請求したところ、買主側が消費者契約法9条1項を根拠として、マンション分譲の取引において買主側の債務不履行により解除されたからと言って売主業者に728万円の損害が平均的に生ずる訳がないとして、その違約金条項の無効を主張したケースである。福岡高裁は、まず代金の2割まで有効とする宅建業法38条と平均的に生ずる額は無効とする消費者契約法9条1項の関係について、回答にあるとおり消費者契約法11条2項を理由に宅建業法を優先適用させ、消費者契約法9条1項を適用しないとした。そうするとその事案において理論的には728万円が有効となりそうであるが、その具体的な事情では、契約解除したその部屋が間もなく次の顧客に売れてしまったため、728万円の支払いを命ずることは信義則上、認めることはできないとして、あと200万円の支払い、すなわち手付金と合わせて400万円の違約金が妥当と判断したものである。要するに、約定の違約金は合意した以上有効であるが具体的な事情によっては信義公平という一般条項により減額されることもあるということである。
 本相談ケースも、契約解除後3週間後に他の顧客に売れたというのであるから、仮に裁判になれば回答のとおり減額される可能性が高いと言えるであろう。

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