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1906-B-0261
売買契約書に記載されていなかった消費税課税対象物件の消費税等相当額を売買価額とは別途に授受することはできるか

 当社は、売買の媒介業者であるが、契約時には売主は課税事業者ではないと思っていたが、契約後に課税事業者であることが判明した。売主は、契約後に買主に消費税等相当額の負担を請求している。

事実関係

 当社は、売買の媒介業者である。マンション1室の売買の媒介依頼を受けた。査定のため当該マンションを内見したところ、部屋には家具等の搬出も終わり、ハウスクリーニングも済んでおり、きれいに片付けされていた。当社担当者は、このマンションは居住用であり、依頼者は自宅を住換えるのであろうと思っていた。
 当社は、売却価額は取引事例を基に計算して依頼者に提案したが、依頼者は駅に近く、建物も築8年で売却がしやすく、ハウスクリーニングも済ましてあるとの理由で、提案価格より10%を上乗せした価額で依頼者と媒介契約を締結した。当社の営業エリアでは、当該物件の人気は高く、売却物件があれば購入したいという以前から当社に登録している顧客に紹介したところ、物件を気に入り、価額も想定の範囲ということで、2週間後に、ほぼ売出価格で、決済は2か月後の約定で売買契約をすることができた。
 契約から1か月後、売主が来社し、売主が税理士と譲渡所得税の件で打合せしたところ、マンションの売買価格には消費税等相当額が反映されていないことを指摘されたとのこと。当社は、売主から、売買代金の決済時には、建物価格に相当する消費税等相当額を買主に支払ってほしいとの依頼を受けた。売主から事情を聴くと、売主はコンサルタント業の個人事業を営んでおり、消費税の課税事業者であることが判明した。また、売却のマンションは、自宅として使用していたのではなく、賃貸で第三者に賃貸し、契約終了になったので、資産入れ替えのための売却であることも分かった。
 売買にあたり、当社からは売主が課税事業者であるか否かは確認しておらず、売主も課税業者であることは当社に告げることはなかった。契約前に売買金額を確認したときも消費税等相当額についての言及はなかった。

質 問

1.  消費税の課税事業者である売主は、居住用マンションを売却する場合、建物の価格に対して消費税が課税されるのか。
2.  売主に消費税が課税される場合、売買契約書に消費税等相当額を取り決めてなかったときは、買主は売買価額とは別途に消費税等相当額を支払う必要はあるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 売主が個人事業者であっても課税事業者の場合、事業として使用していた建物を譲渡したときは、その建物の売却価額に消費税が課税される。
 質問2.について ― 不動産売買契約において本体価格と消費税等相当額を明らかにしていない場合は、その不動産の売却価額には、消費税等相当額を含んでいるものと解されており、特段の事情がない限り、買主は約定した売買価額以外に消費税等相当額を支払う必要はない。
2.  理 由
⑵について
 消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡に対して課税される(消費税法第4条)ため、事業者が事務所、店舗、工場等の事業用資産および収益用に資する不動産である居住用マンションも対象となる。消費税課税は土地については非課税となっており、建物の価格に消費税が課されることになる。納税義務者は、課税資産を譲渡した事業者である(同法第5条)。
 事業者は法人等に限らず個人であっても事業者で、かつ消費税課税事業者であれば譲渡する事業用資産は消費税課税の対象である。なお、事業用資産に課税されるため、個人課税事業者が居住用(生活用)資産を売却した場合には、消費税は課税されない。
 不動産売買契約においては、消費税等相当額は、代金の額の一部となるものであり、かつ、代金に係る重要な事項に該当するため、代金の額の記載に当たっては、当該売買について課されるべき消費税等相当額を明記することとなっているが、消費税等相当額が明記されておらず、売買価格総額のみ記載されている場合には、消費税等相当額は売買代金の額の一部に含まれるものとして取り扱うことになっている(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方・その他の留意すべき事項2)。
 裁判例でも「売買契約等において本体価格(税抜き価格)と消費税等相当額とを明らかにしていない場合には、その課税資産の譲渡等の対価は、消費税等相当額を含んでいるものと解すべきである」としている(【参照判例】参照)。
 不動産売買の媒介の際は、依頼者である売主が個人であっても消費税課税事業者に該当するか否かの確認をし、売主が課税事業者であるときは、売買代金について、本体価格と消費税等相当額を明確にしておくことが必要である。

参照条文

 消費税法第4条(課税の対象)
   国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第3項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
   (以下略)
 同法第5条(納税義務者)
   事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第30条第2項及び第32条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
   (略)
 同法第28条(課税標準)
   課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下この項及び第3項において同じ。)とする。ただし、法人が資産を第4条第5項第2号に規定する役員に譲渡した場合において、その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは、その価額に相当する金額をその対価の額とみなす。
  〜⑤ (略)
 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
 その他の留意すべき事項
  1  (略)
  2  消費税等相当額の扱いについて
 法第32条、第38条、第39条、第41条及び第41条の2等の規定の適用に当たっては、売買、賃借等につき課されるべき消費税等相当額については、「代金、借賃等の対価の額」の一部に含まれるものとして取り扱うものとする。なお、割賦販売については、法第35条第2項の規定に基づき、現金販売価額と割賦販売価額が区分されている場合で、契約書に分割支払に係る利子額を記載したときは、その利子の額については、非課税となる。
 また、法第37条第1項第3号又は第2項第2号の規定により、宅地建物取引業者は、契約を締結したときは、遅滞なく、「代金の額」又は「借賃の額」を記載した書面を交付しなければならないこととされているが、消費税等相当額は、代金、借賃等の額の一部となるものであり、かつ、代金、借賃に係る重要な事項に該当するので、「代金の額」又は「借賃の額」の記載に当たっては、「当該売買、貸借等につき課されるべき消費税等相当額」を明記することとなる。また、交換については、「交換差金の額」に関する事項として、「当該交換につき課されるべき消費税等相当額」を明示することとなる。同様に、法第34条の2第1項第6号又は法第34条の3の規定により、媒介又は代理契約を締結したときは、遅滞なく「報酬に関する事項」を記載した書面を交付しなければならないこととされているが、その記載に当たっては、当該報酬の額に含まれる消費税等相当額に関する事項についても記載することとなる。
 なお、譲渡、賃貸等に課されるべき消費税等相当額は、法第47条第1号の重要な事項に該当することとなるので、宅地若しくは建物の売買、交換又は貸借の各当事者に対して故意に事実を告げず、又は不実のことを告げた場合には、法第47条違反となる。
 また、消費税法第63条の2の規定により、不特定多数の一般消費者に対して物件価格、賃料等を表示する場合は、譲渡、賃貸等に係る消費税等相当額を含んだ額を表示しなければならないことに留意すること。
  3  (以下略)

参照判例

 那覇地裁平成12年4月25日 金商1095号44頁(要旨)
 消費税法第28条第1項には、「課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課税されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。)」と規定されており、売買契約等において本体価格(税抜き価格)と消費税額とを明らかにしていない場合には、その課税資産の譲渡等の対価は、消費税を含んでいるものと解すべきである。

監修者のコメント

 本相談事例では、買主は消費税相当額を支払う必要はなく、その理由は回答にあるとおりである。
 しかし、本件では媒介業者の業務遂行に大きな手落ちがある。不動産という高額の取引においては、消費税の額も相当多額になるのであるから、その問題に無関心なまま媒介をしたこと自体過失ありと言わざるを得ない。
 関与する売買に消費税が課されるか否かは、媒介に当たり注意すべき重要な事項であり、現に契約後遅滞なく交付すべき業法37条書面(実務では契約書)の記載事項である「代金の額」(同条1項3号)の記載に当たっては、「消費税等相当額」を明記しなければならないこととなっているが、これも怠っていることになる。
 本ケースは、売主がコンサルタント業というプロであるので、自らの手落ちを棚に上げて、媒介業者に消費税相当額の損害賠償請求をできるかどうかは疑問であるが、少なくとも紛争に発展する可能性はある。

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