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1804-B-0244
低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例

 当社は売買の媒介業者であるが、昨今、空家の売却依頼の相談が増加している。空家は老朽化している物件や、依頼物件が遠方にあったりするなど、通常の売却に比べ、調査等に要する経費がかかり規定の報酬では採算が合わないことが多い。

事実関係

 当社は郊外部で営業している売買の媒介業者である。近年、当地では空家が増加している。築年数の古い建物も多くあり、売買取引は停滞気味である。相続された物件も目立つが、相続人は通勤や通学に便利な立地に居を構える傾向にあり、親が居住していた地域に住むことを敬遠しているようだ。当地は自然環境もよく子育てには最適と考えている。しかし、物件価格は低廉で売買の媒介をするにも経費がかかり、規定の報酬額の範囲では営業活動を妨げられ、利益も見込まれず、同業者も取引に積極的でないことも低価格帯の取引が低迷している原因の一つである。
 この度、国土交通省は、空家流通の促進策の一環として、媒介報酬額の特例を新たに設けた改正告示を施行したが、告示について具体的な内容を知りたい。

質 問

1.  低廉とされる不動産売買の取引価額はいくらか。
2.  改正告示により受け取ることのできる報酬額の上限はいくらか。
3.  改正告示により受け取ることのできる取引の相手方は、買主も含まれるのか。

回 答

1.  結 論
 400万円以下の金額の宅地又は建物の取引が対象である。
 報酬告示の規定額と現地調査等に要した費用相当額を合計した金額で、上限額は18万円とその消費税額である。
 特例により受け取ることのできる相手方は売主に限られ、買主から受領することはできない。
2.  理 由
⑵⑶について
 国土交通省は、宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬額に関し、平成29年12月に告示改正を公布し、平成30年1月1日から施行した。消費税の創設や税率変更を除き、48年ぶりの改正である。
 近年、既存住宅の流通市場活性化が課題となっているが、今後も増加が予想される空家の流通は喫緊の課題の一つとされている。空家はその取引価額は低額帯が多く、媒介業者の受け取る報酬額は調査費用等の経費を含み、成約しても実質の報酬額では営業効率が低く、赤字にさえなることもあることから取引の停滞を生じさせている。空家流通の促進と低額取引の成約報酬の低収益性を背景に、業界団体の要請もあり、報酬規定の改正に踏み切った。
 改正内容は、売買又は交換の媒介物件価格が400万円以下(消費税相当額を除く。)の低廉な空家等の土地または建物が対象で、取引に際し、通常の売買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについて、告示既定の報酬額に調査費用相当額の加算ができるものである。ただし、宅建業者が受領することのできる報酬額と費用相当額の合計金額は、18万円(消費税相当額を除く。以下同様。)が上限額である。受け取ることのできる相手方は、空家等の売主または交換を行う者である依頼者に限られ、買主または交換の相手方からは特例による報酬を受けることはできない。現地調査等に要する費用相当額は、人件費等を含み、宅建業者は、媒介契約の締結時に、あらかじめ報酬額について空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に対して説明し、宅建業者と依頼者間で合意する必要があるので留意を要する。なお、媒介又は交換の代理の場合も同様に売主等からは受領できるが、買主等から受領することはできない。(【報酬に関する告示第7・第8】、【宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 告示第7・第8関係】参照)。依頼者との媒介契約書の締結に際し、「依頼者は、現地調査等に要する費用相当額を支払う」旨の記載が望ましいと考える。また、実際の費用請求に当たっては、費用額の根拠となるものの提示が必要となろう。
 取引金額が200万円の場合に規定報酬額に超えて具体的に受領できる費用相当額の上限額は、8万円となる。報酬と費用相当の合計上限額の18万円から、規定の報酬額を差し引いたものになる。同様に取引額が300万円のときは、費用相当額は4万円が上限額となる(【低廉な不動産売買における媒介報酬額の特例による受領可能な費用上限額】参照)。

参照告示等

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
 (国土交通省告示第1155号 平成30年1月1日施行)
 第7 空家等の売買又は交換の媒介における特例
 低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)が400万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下「空家等」という。)の売買又は交換の媒介であって、通常の売買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の媒介に関して依頼者(空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る。)から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、第2の規定にかかわらず、第2の計算方法により算出した金額と当該現地調査等に要する費用に相当する額を合計した金額以内とする。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は18万円の1.08倍に相当する金額を超えてはならない。
 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
 告示第7(空家等の売買又は交換の媒介における特例)関係
 この規定は、宅地建物取引業者が宅地若しくは建物の売買又は交換の媒介に関して受けることのできる報酬額の特例として、空家等の売買又は交換の媒介であって、通常の売買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、告示第2の規定にかかわらず、告示第2の計算方法により算出した金額と当該費用に相当する額を合計した金額以内で報酬を受けることができることを定めているものである。
 この規定に基づき宅地建物取引業者が受けることのできる報酬は、空家等の売主又は交換を行う者である依頼者から受けるものに限られ、当該空家等の買主又は交換の相手方から受ける報酬については、告示第2の計算方法による。
 「当該現地調査等に要する費用に相当する額」とは、人件費等を含むものであり、宅地建物取引業者は、媒介契約の締結に際し、あらかじめ報酬額について空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に対して説明し、両者間で合意する必要がある。
 告示第8(空家等の売買又は交換の代理における特例)関係
 この規定は、宅地建物取引業者が宅地若しくは建物の売買又は交換の代理に関して受けることのできる報酬額の特例として、空家等の売買又は交換の代理であって、通常の売買又は交換の代理と比較して現地調査等の費用を要するものについては、告示第3の規定にかかわらず、告示第2の計算方法により算出した金額と告示第7の規定により算出した金額を合計した金額以内で報酬を受けることができることを定めているものである。
 この規定に基づき宅地建物取引業者が受けることのできる報酬は、空家等の売主又は交換を行う者である依頼者から受けるものに限られ、当該空家等の買主又は交換の相手方から受ける報酬については、告示第3の規定による。

<低廉な不動産売買における媒介報酬額の特例による受領可能な費用上限額>

取引価額 報酬上限額
(告示第2)
受領可能な
費用上限額
100万円 5万円 13万円
150万円 7万5千円 10万5千円
200万円 10万円 8万円
250万円 12万円 6万円
300万円 14万円 4万円
350万円 16万円 2万円
400万円 18万円 0円

※消費税相当額除く。

監修者のコメント

 上限額が18万円というのは、評価が分かれるところであるが、このような特例が認められたのは、空家、空地の流通促進のために一歩前進であることは間違いがない。

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