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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1712-B-0237
増築未登記のある土地建物売買における重要事項説明方法と取引における留意事項

 当社は、このたび一戸建ての売却の媒介をするが、不動産の調査を進めていたところ、1階の部屋が増築されていた。登記事項証明書を確認したところ、増築されている部分については登記されていないことが判明した。重要事項説明書はどのように記載し、説明すればいいか。また、媒介をするにあたり、重要事項説明書以外にどのようなことに留意しなければいけないか。

事実関係

 当社は不動産の売買と賃貸の媒介を営んでいる宅建業者である。
 このたび、当社が売却の依頼を受ける一戸建て物件を調査したところ、売主から聞いていた面積よりも登記事項証明書に記載されている面積の方が小さいことが判った。
 売主は個人で、対象不動産は5年前に相続で取得したものである。先代が一階部分の母屋につなげて小部屋を増築し、書斎として使用していたとのことである。
 売主が説明した建物面積は、固定資産税等の課税明細書に基づく現況面積であって、同明細書には、当該増築部分は未登記と記載されていた。
 なお、増築により、本物件は指定の建蔽率、容積率を共に若干上回る状態であった。

質 問

1.  重要事項説明書には事実をそのまま記載すればいいのか。
2.  売買契約書には、未登記の増築部分について、売主が行うべきこと等に関する特約を設ける必要があるか。
3.  売主と媒介契約を締結し、物件広告をする場合に、当該増築部分についてはどのように表示したらいいか。

回 答

1.  結 論
 事実のみの記載だけでなく、次の2点について重要事項説明書に記載する必要がある。
 未登記の内容について、建物の表示欄には登記事項証明書の公簿面積を記載し、備考欄に未登記部分の位置・面積・部屋の形状、増築時期等を記載する。
記載例:  「上記記載の公簿の床面積のほか、増築未登記部分(1階東南側洋室部分)が約15㎡あります。増築時期平成○年△月。建築確認通知書による。」
 建蔽率・容積率オーバーについて、その旨の記載と、規模や用途などにより行政から処分が下される可能性(後記【参照条文】B参照)の記載が必要である。
記載例:  「対象建物の建築面積及び延べ面積はそれぞれ建蔽率、容積率の指定制限を超過しており、監督官庁より是正命令等を受ける可能性があります。また、建替える際は、現況の建物と同規模の建物は建てられません。」
 なお、自治体が増築を認識していない場合には、増築部分の表題変更登記により固定資産税等が増額されることがあるので、その旨の説明も必要となる。
記載例:  「建物の表題変更登記の実施により、固定資産税及び都市計画税が増額することがあります。」
 未登記の建物については、売主が所有者であるかどうか一義的には特定できないため、真の所有者が別にいて所有権を主張しないとも限らない。取引の安全性確保、特に買主のリスクを軽減するため、未登記部分の表題変更登記等を行った上で、買主に対し所有権移転登記を行うことが多い。この場合、売主が建物表題変更登記を行う特約を売買契約に追加記載することになる。
記載例:  「売主は、平成○年△月□日までに、売主の責任と負担において、本物件建物の未登記部分の表題変更登記*1を完了するものとする。」
*1 増築した建物の種類等によって、新規建物としての表題登記と所有権保存登記をする場合、または付属建物としての登記をする場合もある。
 また、金融機関は、一戸建ての場合の融資において土地及び建物に抵当権を設定して融資するが、その際、未登記部分も抵当権の対象であることを明確にするために、当該部分の表題変更登記等を要請されるのが通例である。多くの買主は不動産購入に当たり住宅ローンを利用することから、未登記部分の登記が必要になる。
 なお、違法建築物(建蔽率・容積率オーバー等)については、原則、融資をしないとする金融機関もあるので、融資の可否に関して金融機関への事前確認が必要である。
 不動産広告を行う際には、建物の面積欄に実際の面積を記載し、備考欄に未登記部分があることに加え、未登記部分の位置・面積・部屋等を表示する(後記【参照条文C参照)。増築の時期が判っているのであれば、その年月日も記載しておくことが望ましい。
記載例:  「建物面積には、増築未登記部分(1階東南側・洋室部分)約15㎡を含みます。増築時期・平成○年△月。」
2.  理 由
 登記された建物についても、新築後の部屋の増築や、離れ・小部屋・車庫・物置等の建築によって、形状等が登記記録と異なっている場合や、床面積が増加している場合がある。あるいは、建物の一部取り壊し等で面積が減少していたり、登記された建物が存在しなかったりすることもある。中古住宅では、建物面積が登記記録と現況とで異なることは多くみられるので、取引にあたっては注意が必要である。
 増築後の面積は、建築確認通知書があればそれにより容易に判るが、確認を受けなかったり、10㎡以下の増築で確認不要(後記【参照条文】A参照)だったりする場合は、直ちには面積の確認ができない。
 また、自治体が増築を把握していれば、固定資産税課税台帳あるいは明細書により面積を確認できるが、把握していない場合には面積は不明となってしまう。
 前述の通り、重要事項説明書には、増築部分の面積を記載する必要があり、面積が不明の場合、建物表題変更登記*2をする前提であれば、土地家屋調査士の測量により面積が確定できる。しかし、測量前に売買契約をするのであれば、仲介業者がおおよその面積を計測し、重要事項説明書に記載することになる。
 なお、増築により床面積が増加した場合、建蔽率・容積率が指定制限を超過していないかの確認も必要である。オーバーしているのであれば、重要事項説明書にその旨の記載もしなければならない。
 また、取引上のその他の留意点としては、不動産広告において未登記床面積を記載すること、買主の融資利用を予想して、売主に建物表題変更登記等の実施を義務付ける特約を売買契約書に記載する場合があること等がある。
*2 表題変更登記=表示変更登記ともいう。

参照条文

 建築基準法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)
 建築主は、第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第1号から第3号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、(中略)、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(以下略)
 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときについては、適用しない。
 (略)
 同法第9条(違反建築物に対する措置)
 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。(以下略)
 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。
〜⒁ (略)
 建物の面積(マンションにあっては、専有面積)は、延べ面積を表示し、これに車庫、地下室等の面積を含むときは、その旨及びその面積を表示すること。ただし、中古マンションにあっては、建物登記簿に記載された面積を表示することができる。(以下略)

監修者のコメント

 中古マンションの売買において、売主が購入した当時の分譲パンフレットには存在しなかったルーフバルコニーの違法増築部分(約6畳の一部屋)があることについて、たとえ買主がその増築部分を知って契約を締結したとしても、それが違法建築物であることを説明しなかった客付仲介業者の告知義務違反による損害賠償責任を認めた裁判例がある。
 本ケースにおいても、買主が物件を現実に見ることだし、登記記録より実際の建物のほうが大きいのだからと、つい説明が不十分となりがちである。面積等について客観的事実さえ説明すれば足りるのではなく、それが建築基準法に違反していることを購入予定者に知らせることが必要であり、回答にあるような丁寧な説明が必要である。

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