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売買事例 1612-B-0222
破産管財人からの任意売却依頼を引き受けるための予備知識

 同業者から、ある弁護士から破産管財人としての不動産の任意売却依頼に協力して欲しいと依頼された場合に、それを引き受けるための予備知識としては、どのようなものが必要か。

事実関係

 当社は、このたびある同業者から、「知り合いの弁護士から、破産管財人としてある不動産を任意売却したいので、協力して欲しいとの依頼を受けている。ついては、貴社にも協力して欲しい」という依頼を受けた。
 その際、弁護士が言うには、その物件に設定されている抵当権の被担保債権の残債務額が、固定資産税評価証明書の価格を超えているので、まずはその物件の価格査定を複数の業者にしてもらい、そのうえで改めて売却依頼をしたいということであった。
 このような同業者からの依頼に対し、当社としても引き受けたいが、そのためには、そのための多少の予備知識を持っておきたい。

質 問

1.  そもそもこのような任意売却のための物件の査定は、複数の業者がやらなければならないものなのか。
2.  当社も物件の査定に協力する以上、当社には当然に任意売却に参加(共同仲介)する権利があるということか。
3.  任意売却により、売主(破産者=破産管財人)から約定の報酬が確実に受け取れるという保証はあるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 必ずしも複数の業者が査定しなければならないものではないが、その破産事件が、破産手続の異時廃止事件(注)となる可能性のある事案の場合には、複数の業者の査定が必要になる場合がある。
(注) 後記2.理由⑴および後記【参照条文】破産法第217条第1項参照。
 質問2.について ― 当然に共同仲介に参加できる権利があるということではない。あくまでも、破産管財人から直接依頼を受けた同業者と話し合ったうえで、共同仲介をすることについて破産管財人の許諾を得ることが必要である。
 質問3.について ― 保証はないが、貴社らが約定の売却依頼価額で任意売却ができれば、破産管財人から約定の報酬額が受け取れる可能性があるということである。
2.  理 由
について
 破産法によれば、破産財団すなわち破産者の財産をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められるときは、裁判所は、破産手続の開始決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならないとされている(同法第216条第1項)。そして、その破産財団をもって破産手続費用を支弁するのに不足すると認められるときとは、破産管財人の費用も支弁できない場合をいうとされている。これを「同時廃止」という。
 これに対し、破産者が不動産を所有している場合には、通常その価格が破産管財人の費用を上回ると考えられるので、実務上裁判所の判断として、裁判所により異なるが、その不動産に設定されている抵当権の被担保債権の残債務額が不動産の固定資産評価証明書の価格の1.2倍ないし1.5倍を超えない場合には、原則として同時廃止事件とせず、破産手続開始決定をする。
 ただ、その被担保債権の残債務額が固定資産税評価証明書の価格の1.2倍ないし1.5倍を超えない場合でも、複数の不動産業者が作成した査定書などにより、被担保債権の残債務額がその査定額を大幅に上回っている場合には、異時廃止事件とされる可能性があるからである。
について
 前述⑴のとおり、複数の業者が価格査定書を作成した結果、異時廃止事件となる場合もあるので、貴社が査定書を作成したからといって、貴社が当然に任意売却のための共同仲介の権利を取得するというものではない。あくまでも、元付業者である同業者との話し合いのうえで、破産管財人の許諾を得て決められるものである。
について
 いかに破産事件絡みの任意売却であっても、仲介業者の報酬の支払まで裁判所が保証するものではない。あくまでも、破産管財人との間の媒介契約に基づいて約定の報酬額を受け取ることができる可能性があるということである。
 なお、本件の任意売却は、破産事件を処理するための1つの方策として行われるものであるから、当然に裁判所も関与しており、その中には仲介業者への支払予定報酬額についての許可も含まれている。したがって、破産者の残債務額と不動産の価格いかんによっては、宅建業法で定められている報酬額の上限の報酬を約定してもらえるとは限らない。なぜならば、その不動産の売却代金から配当される予定の債権者は、本件の抵当権者以外にもいる可能性があるからである。

参照条文

 破産法第2条(定義)
①~⑧ (略)
⑨ この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第65条第1項の規定により行使することができる権利をいう。
⑩~⑭ (略)
 同法第65条(別除権)
 別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。
   (略)
 同法第186条(担保権消滅の許可の申立て)
 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。以下この節において同じ。)が存する場合において、当該財産を任意に売却して当該担保権を消滅させることが破産債権者の一般の利益に適合するときは、破産管財人は、裁判所に対し、当該財産を任意に売却し、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める額に相当する金銭が裁判所に納付されることにより当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができる。ただし、当該担保権を有する者の利益を不当に害することとなると認められるときは、この限りでない。
一、二 (略)
  〜⑤ (略)
 同法第187条(担保権の実行の申立て)~第192条(商事留置権の消滅) (略)
 同法第216条(破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定)
 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。
  〜⑥ (略)
 同法第217条(破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定)
 裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければならない。この場合においては、裁判所は、債権者集会の期日において破産債権者の意見を聴かなければならない。
  〜⑧ (略)

監修者のコメント

 破産の同時廃止のときは、そもそも破産管財人が選任されないので、本ケースは同時廃止とならずに、破産手続が開始されたものと思われる。しかし、一旦破産手続が開始された場合でも、破産管財人の調査によって、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する」、すなわち一般破産債権者に配当を行うことができないことが判明したときは、裁判所は破産管財人の申立て又は職権で、破産手続廃止の決定を行う。これを「異時廃止」という。
 破産事件の約9割は、「同時廃止」で手続が終了してしまうのが現実であるが、税金、社会保険料あるいは未払賃金など財団債権といわれる破産債権より優先する債権が多額にのぼったり、また破産に至るようなケースでは不動産に抵当権等の担保権がついていないことは殆んどなく、回答にあるとおり、抵当権は破産手続上「別除権」として、破産手続によらず行使できる。このような事情を背景に、破産手続開始後に異時廃止となることも少なくない。
 したがって、任意売却が功を奏することもないではないが、必ずしも円滑に進行するとは限らないので、破産管財人と密に連絡することが肝要である。

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