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売買事例 1608-B-0217
土地・建物の所有者が異なる一体の不動産を売買するときの契約方法と留意事項

 当社は、妻が所有の土地に夫名義の建物が建っている一戸建ての売買仲介をすることになった。この場合、契約書は土地と建物それぞれに分けたほうがいいのか、それとも一つの契約にしたほうがいいのか。また、今回のように土地と建物の所有者が異なる物件の売買契約をすすめる場合、どのようなことに気をつけなければいけないか。

事実関係

 当社は、妻名義の土地上に、夫の単独名義で建てた住宅がある物件を一体で売却する売買契約をすすめている。買主は第三者で、土地・建物を一括で購入する。売主側の土地と建物の所有者が異なる売買は時々あるが、契約書は所有者別に分けたほうがいいのか、それとも土地・建物一体の取引であるのだから、1つの契約として取り扱うべきなのか。今回は、売主の意向により1つの契約書を作成しているが、迷うことが多々ある。
 また、今回のように土地・建物の所有者が複数いる場合、売主から受領できる報酬額は、土地と建物それぞれの価額を計算基準にしていいのかも、悩むところである。

質 問

1.  土地と建物の所有者(売主)が異なる場合、契約書は別々にすべきか、それとも一つの契約書にまとめるべきか。また、その際、どんなことに留意すべきか。
2.  仲介報酬は、土地と建物の各売主に、売買価額を基準とした報酬規定の金額をそれぞれ受領することができるか。売買金額合計で計算した場合と各々で計算する場合とでは上限額が異なるが、構わないか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 土地と建物の所有者が異なるときの売買契約書は、1つの契約書でも、土地と建物とで別々の契約書にしても構わないが、場合によっては所有者ごとに別々に作成したほうがいいこともある。
 質問2.について ― 土地と建物それぞれの売買価額を基準として、手数料額が算定できる。
2.  理 由
について
 土地と建物の売主(所有者)が異なっている場合、買主からみると購入する目的物は土地・建物一体であり、たまたま売主が2人いるだけである。売主から見ると土地・建物の所有者は分かれているが、買主は1人である。よって、たとえ契約書を単独あるいは複数にしたとしても、契約の効果に問題は発生せず、売買という目的は達成できる。
 ただし、1つの契約、複数の契約にするにしても、所有者のうちの一人が債務を履行できないときは買主の目的が達せられないため、契約書には「複数の売主は、連帯で債務を負い、履行の請求を1人にした場合は他方にも効力が及ぶ」旨の連帯で不可分の債務であることの特約を定め、複数売主の債務は共に履行しなければいけないことを規定しておくことが必要である(民法第432条、同法第434条参照)。
 本事例の場合、1つの契約として契約書を作成するときは、特記事項に土地価額と建物価額をそれぞれ記載しておくことが必要である。譲渡所得税申告には価額を明らかにしておくことは必須であり、所得税特別控除の判定にも関係するからである。売主の署名の前または後に、土地売主、建物売主の記載もしておくことが必要である。
 なお、売却にあたり、複数売主のいずれかの所有者が当該物件に居住していないときは、税制における控除額が適用にならないことがあるので、税金の計算や説明には注意が必要である。
 土地と建物を二人以上の別の所有者が売却する売買契約は多い。本事例のような夫婦の場合や、土地所有が親で建物所有が子といった事例などは、親族間の所有であるため、売却に関して合意ができている限り問題は起こらないだろう。実務での対応としては、所有者が親族間でそれぞれが所有している、1つの契約としておいたほうが、簡便で分かり易いと思われる。
 親族がそれぞれ所有する本事例とは異なるパターンだが、土地建物の所有者が複数いるケースとして、底地権と借地権の同時売買がある。借地権設定者である地主と借地権者の借主が第三者に同時に売却をするもので、購入者は土地・建物の所有権を取得する。このような売買の場合には、底地権(土地)売買と、借地権付き建物売買の契約は、それぞれ分けておいたほうがいいであろう。なお、この場合も上記に記載した連帯債務にしておくことも必要である。
について
 仲介報酬は依頼者から規定の報酬額(上限)が受領できる。土地と建物の売主が異なる場合には、売却の客体はそれぞれであるため、仲介報酬は売主ごとに受領できると解される(国土交通省告示172号参照)。

参照条文

 民法第432条(履行の請求)
 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
 同法第434条(連帯債務者の一人に対する履行の請求)
 連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。
 国土交通省告示第172号 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
第二 売買又は交換の媒介に関する報酬の額(一部中略)
 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該売買に係る代金の額又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。

監修者のコメント

 わが国の不動産法制は、土地と建物の登記簿が別々に編成されていることからも判るように、土地と建物は全く別個の不動産として扱っている。したがって、質問のケースは、回答のとおり、2つの契約があることになる。そして、2つの契約を同一の契約書で締結する場合でも、別々の契約書で締結する場合でも、最も重要なことは、2つの契約が一体不可分のものとして扱うことである。そのため、回答のとおり、売主側の債務を連帯債務とする方法もあるが、2つの契約の一つでも消滅した場合、もう一つの契約も自動的に消滅するという条件付きであることを明確にしておくことである。
 仲介報酬については、土地と建物が一体として売買される場合、特別の計算をしなければならないという内容の大臣告示はないので、回答のとおり、別々に計算してよいが、当然に法定上限額の請求ができるわけではないので、媒介契約において、土地と建物の約定報酬額を決めておかなければならないのは当然である。

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