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売買事例 1606-B-0216
買主の代理人に対する媒介業者からの重要事項説明の際の問題点

 宅建業者が取引の媒介をする際に、買主に代理人が立つときは、その代理委任状を事前に確認するが、その際、その委任状に、「買主○○は、右代理人に対し、末尾表示不動産の売買に関する一切の権限を授与する。」という記載があるだけでは取引上問題が生じることがあるという指摘をする人がいる。この指摘は正しいか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、先日ある同業者から、我々宅建業者が売買の媒介をする際に、買主に代理人が立つときは、委任状に注意しないといけないと言われた。その注意をしなければいけないというのは、委任状の内容が、「買主○○は、右代理人に対し、末尾表示不動産の売買に関する一切の権限を授与する。」という記載だけでは問題で、その中に、「重要事項説明の受領権限も授与する」旨の記載がないと、あとでトラブルになる可能性があると言うのである。その理由は、委任状の中に重要事項説明の受領権限に関する記載がないと、代理人がその説明内容を正しく買主に伝えることができなかったときに、媒介業者が、説明受領権限のない人に説明したとか、説明受領権限の有無も確認せずに説明したということで、あとから媒介責任を問われることになるからだというものである。

質 問

1.  この同業者の言うことは、正しいか。
2.  そもそも一般に、不動産の売買を代理するために買主から「不動産の売買に関する一切の権限」を授与された代理人には、宅建業法上の重要事項説明も受領する権限があると思うが、どうか。
3.  媒介業者が、買主から発行された代理委任状の内容確認をする際に、委任状に宅建業法上の「重要事項説明の受領権限」に関する授権文言がないことを意識も確認もせずに媒介し、その結果、媒介業者と買主との間でトラブルが生じた場合、宅建業法上の重要事項説明義務違反に問われるか。媒介契約上の善管注意義務違反については、どうか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 代理人に対し重要事項説明の受領権限が授与されていないとトラブルになる可能性があるという趣旨の発言は正しいが、媒介業者が、説明受領権限のない人に説明したとか、説明受領権限の有無も確認せずに説明したということで、あとから媒介責任を問われるという発言は、必ずしも正しくない。
 質問2.について ― そのとおり、一般的には「不動産の売買に関する一切の権限」を授与された代理人には宅建業法上の重要事項説明を受領する権限もあると解される。
 質問3.について ― たとえば、取引する物件が特殊な物件であったり、特殊な取引条件で契約するというような場合に、そのための重要事項説明は直接買主本人にした方がよいと考えられるにもかかわらず、その点の配慮もせずに、安易に代理人である買主の家族との間で売買契約を成立させたというようなケースであればともかく、そのような特殊なケース以外の代理人による取引であれば、それを媒介した媒介業者が宅建業法上の重要事項説明義務違反に問われたり、媒介契約上の善管注意義務違反に問われることはないと解される。
2.  理 由
~⑶について
 一般に、不動産の取引に関し、その取引上の「一切の権限」が授与されている代理人には、その前提となっている重要事項説明の受領権限も授与されていると解するのが普通である。なぜならば、その取引の前提となっている取引上の重要な事項についての情報収集や情報受領の権限が代理人に備わっていなければ、代理人としての義務を果たすことができないからである(民法第644条)。
 ただ、その取引する物件が特殊なものであったり、特殊な取引条件で契約するような場合には、いかに代理人が立つといっても、その代理人の能力いかんによっては、本来の代理人としての機能を発揮できないということが考えられるので(代理の制度は、本来本人ができないようなことを代理人によって可能ならしめるための制度であると考えられている)、そのようなことが予測されるようなケースの場合には、媒介業者としての責任問題に発展する可能性がないとはいえないからである。したがって、たとえば【回答】の1.結論⑶にあるようなケースの場合には、媒介業者としては、そのような重要な事項を早目に買主本人に説明し、取引条件を調整するなり、変更するなりして取引の安全を図るか、また、代理人として立つ家族の者に対しても、それらの点の説明を十分してから取引に入るべきであろう。その意味では、確かに同業者が言うように、重要事項説明については、その受領権限の授与文言も委任状に記載されていた方が無難であるということはいえる。

参照条文

 民法第644条(受任者の注意義務)
 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

監修者のコメント

 本件は、「売買に関する一切の権限」の範囲に「重要事項説明の受領権限」が含まれるか否かの問題であるが、回答のとおり、含まれると解される。「一切の権限」は、売買に伴う各種の事実行為、たとえば買主側であれば、現地案内を受ける、条件交渉をする、現地立会いをするなどの行為も、とくに除外しない限り、その権限内の行為である。重説を受けるのもこれに類する行為である。このことが争点となって判断された裁判例は、少なくとも公刊物の中にはないと思われる。
 なお、代理人による契約において、そのことよりも重要な問題は、本人の実印を押した委任状があり、印鑑証明書も代理人から提出を受けたので、安心して媒介したところ、実際には本人はその代理人と称する者に代理権を与えていなかったということがあることである。たとえ、書面のみが揃っていても、それは「無権代理」であって契約の効果は生じない。そこで、これを軽率に信用した媒介業者に対する責任追及が訴訟になり、多くの事例では「本人の意思を確認することが容易にできたにもかかわらず、その一挙手一投足の労を惜しんだためにこのような損害が生じた」として、媒介業者の責任が肯定されている。十分注意する必要がある。

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