HOME > 不動産相談 > 賃貸 > 事業用定期借地権契約の存続期間変更の可否と方法

不動産相談

== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==

 

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1604-R-0158
事業用定期借地権契約の存続期間変更の可否と方法

 当社は、10年前に事業用定期借地契約の媒介をした。期間終了の時期が近づいてきたが、借地権者から5年間の存続期間延長の申出があった。貸主も期間を延長することについては合意しているが、5年後には返還を希望している。事業用定期借地権契約で期間満了後の期間の延長をすることはできるのか。また、延長する場合の手続きは、期間延長の覚書を交わすだけでいいか、それとも公正証書で期間延長を定めたほうがいいのか。

事実関係

 当社は、主に郊外の不動産の売買・賃貸の仲介を営んでおり、ロードサイド向け事業用定期借地権の賃貸借契約の媒介も手掛けている。10年前に存続期間を10年とする事業用定期借地契約を媒介したが、期間満了前に、借主から事業が当初予想したよりも順調なことから5年間の期間延長をしたいとの申し入れがあった。貸主も延長することについては合意しているが、延長した期間が満了する5年後には、確実に土地を返還されることを希望している。

質 問

1.  事業用定期借地権の存続期間の延長は、貸主、借主双方の合意があれば、できるのか。
2.  延長できるのであれば、延長合意の方法はどのようにしたらいいか。覚書でいいのか、それとも公正証書で定める必要があるのか。

回 答

1.   結 論
 質問1.について ― 延長することができる。ただし、当初の設定日から法定期間を超える存続期間の定めはできないため、延長する期間に留意する必要がある。
 質問2.について ― 覚書での延長の合意は必ずしも無効とは言えないが、存続期間の変更は公正証書によるべきと解される。
2.   理 由
について
 事業用定期借地権は、平成4年8月1日施行の改正借地借家法で創設され、施行当初は、存続期間は10年以上20年以下で、ロードサイド店舗等、比較的短期間の出店形態を想定したものであった。その後、定期借地権の活用は、償却期間が長期にわたる建物やショッピングセンター等大型商業施設にも広がっている。一方、当初設定した20年の存続期間の満了時期を迎える事業用定期借地権契約も増えてきており、当初は経営状況を懸念して存続期間を20年に設定したが、事業好調により、引き続きその場所で事業を継続するため、当初の存続期間の延長を望む借地人もでてきた。このような様々な背景、需要により、平成20年1月1日から存続期間の設定が、「10年以上50年未満」の事業用定期借地権に法改正(借地借家法第23条第1項、第2項)された。
 事業用定期借地権は、居住用を含む定期借地権と同様に更新のない契約(注1)である(借地借家法第22条第1項、同法第22条第2項、同法第23条)が、存続期間の延長はできる。延長は当初の存続期間の変更であり、更新と性格が異なり、合意があれば可能である。法務省は事業用借地権設定の登記変更において、「借地借家法の一部を改正する法律の施行前に存続期間を20年として締結した事業用借地権設定契約について、同法施行後に存続期間30年に変更する契約をした場合の登記の可否」につき、「設定日から変更後の存続期間満了までが30年以上50年未満での変更登記が可能」と登記の変更を認めている(後記【参照行政通達】参照)ことからも、存続期間の延長ができると言える。今回のケースである設定当初の存続期間10年を5年延長することについても、借地借家法に規定されている事業用定期借地権の存続期間である最長50年未満までの法定期間内であれば、存続期間変更(延長)は可能と言える。
 なお、事業用定期借地権の存続期間の最短は10年であることから、延長期間を10年以上とするものについては、延長の合意によらず、再契約する方法も考えられる。
について
 事業用定期借地権の設定契約は、借地借家法で公正証書によるとされている(借地借家法第23条第3項)が、存続期間の変更方式については規定がなく、そもそも期間変更についての明文規定もない。規定がない以上は、法に禁止規定のあるものを除き、契約自由の原則により、当事者はその方式を含め自由に取り決めることができる(民法第90条、同法第91条(注2))。従って、期間変更(延長)の合意があれば、覚書で処理することができる。
 しかし、設定の契約は公正証書を義務付けており、存続期間は事業用定期借地権契約の主要な事項であり、期間変更の合意は公正証書により行うことを要請されていると解することもできる。実務では、後々の当事者間の紛争発生に至らないためにも、公証人の確認のもと、公正証書で期間変更の合意形成をしておくことが望ましいであろう。
(注1)存続期間30年以上50年未満は借地借家法第22条第1項で、10年以上30年未満は同法第22条第2項の法文上(同法第5条の不適用)で更新を排除している。
(注2) 民法第90条、同法第91条とも直接的に契約自由の原則を明文化しているものではないが、法文の趣旨から契約の自由の根拠とされている。

参照条文

 借地借家法第5条(借地契約の更新請求等)
 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
  ・③ (略)
 借地借家法第22条(定期借地権)
 存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第1項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
 同法第23条(事業用定期借地権等)
 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
   専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
   前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
 民法第90条(公序良俗)
 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
 同法第91条(任意規定と異なる意思表示)
 法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。

参照行政通達

 法務省通達 平成19年12月28日 民二2828号
 事業用借地権の存続期間の変更は、設定日から変更後の存続期間満了までが30年以上50年未満の範囲内である限り、変更登記をすることが可能(注3)
   (注3) 法定期間内であれば認める主旨と解される。

監修者のコメント

 事業用のものに限らず、定期借地権の存続期間を延長することは、回答のとおり、法定の存続期間内であれば、問題なく可能である。その根拠は、借地借家法の趣旨に反するものではなく、契約自由の原則の範囲内のものだからである。
 なお、事業用定期借地権の設定契約は、必ず公正証書によってしなければならないとしたのは、そのような借地契約であることを当事者とくに借地人に明確に認識してもらうことと、公証人の目をとおして適法性を確保しようとの趣旨であるので、延長合意は必ずしも公正証書による必要はないが、回答のとおり、公正証書で行っておくことが望ましい。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「事業用定期借地」

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-20819:30〜16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

更に詳しい相談を希望される方は、
当センター認定の全国の資格保有者へ

 

過去の事例(年別)

  • 賃貸
  • 売買

ページトップへ