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賃貸事例 1008-R-0080
借地借家法の適用のある土地賃貸借と民法による土地賃貸借

 農業用の耕作機械を置くために土地の賃貸借をするが、その格納のための工作物として、簡素な柱と屋根はあるが、周りはビニールで覆う仕様のものをつくる。このような土地の賃貸借にも借地借家法の適用はあるか。その際、貸主も借主も中途解約権を留保しておきたいが、その解約のための申入れ期間は、民法第618条の「1年前」ということになるか。

事実関係
   当社は不動産の媒介業者であるが、このたび知人からの紹介で、ある地主の土地を農業用のトラクターなどの耕作機械を置くだけの目的で賃貸借する。
 その際、借主はその土地に、いわゆる格納庫はつくらないが、簡素な柱と屋根だけの雨除け用の工作物はつくるので、周りをビニールで覆うような仕様になると言ってきた。
 
質問
1.  このような土地の賃貸借は、借地借家法の適用を受けないと考えてよいか。
2.  賃貸借の期間をあまり長くしたくないので、2年更新の契約にしたいが、その場合、いわゆる自動更新特約を入れても問題ないか。
3.  中途解約権は、貸主も借主も留保する特約を入れたいが、その場合はお互いに民法第618条の規定による「1年前」の申入れが必要になるか。
 
回答
  (1)  質問1.について — 考えてよい。ただし、その工作物の仕様について、賃貸借契約書に明記しておくことが重要である。
(2)  質問2.について — 問題ない。
(3)  質問3.について — 異なる特約をすれば、必要にはならない。
 
理由
  (1)(2)について
 本件の賃貸借は、借地借家法の適用を受ける、いわゆる「建物」所有を目的とする賃貸借とはいえないと考えられるので(後記【参照判例】【参照学説】参照)、賃貸借の期間を2年間とし、かつ、自動更新の定めをすることについて問題はない(民法第604条)。
(3)について
 期間の定めのある(民法上の)賃貸借を中途解約する権利を留保する場合の民法第618条の規定は、強行規定ではなく任意規定であるから、契約の当事者がその規定と異なる定めをした場合には、その定めが優先することになる。したがって、【回答】の結論にあるとおり、当事者が解約を申入れるための期間の設定をしなければ民法第618条の「1年前」という規定の適用を受けるが、それと異なる、たとえば「2か月前」とか「3か月前」という期間設定をすれば、その定めが優先することになる。
 
参照条文
  ○ 民法第604条(賃貸借の存続期間)
(1)  賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。
(2)  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
 
○ 民法第618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
 
○ 民法第617条(期間の定めのない賃貸借の解約申入れ)
(1)  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 1年
二 建物の賃貸借 3か月
三(略)
(2) (略)
 
参照判例
  ○ 最判昭和28年12月24日民集7巻13号1633頁(要旨)
 借地法にいう「建物」の意義は一般通念に従って定めるべきであり、これを正規の手続を経て建築し家屋台帳など公の帳簿に登録され、課税の対象になっているものに限定すべき理由はない。
 
参照学説
  ○ 鈴木禄弥(借地法[改訂版]125頁、ほか)
 ここでいう「建物」とは、「工作物」(民法第265条)よりは狭く、住居・営業・物の貯蔵などの目的に使用される独立性のある建造物を意味する。ある物がここにいう「建物」にあたるか否かは、その物を借地法の対象にすべきかどうかという考慮によって定まる。
 
監修者のコメント
 借地借家法(旧借地法)の適用を受ける「建物」に該当するか否かは、当事者双方の法的利害に大きく影響するため、そのグレーンゾーンに属するものについてしばしば裁判になる。
 現在における「建物」の概念としては、社会通念と立法の趣旨(借地借家法の保護の対象とすべきかどうかという考慮)によって決められ、大変難しい問題である。
 本ケースの結論としては、回答のとおりでよいと思われるが、具体的事例において周りをビニールで覆うようなものはすべて建物ではないと即断してはならない。

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