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掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1004-R-0075
重要事項説明後の重要事項説明(告知)義務違反

 
賃貸の媒介に際し、事前の重要事項説明段階で登記記録を確認したところ、「抵当権」の登記だけであったが、契約締結時には競売開始決定による「差押え」の登記がなされていた。このような場合、そのことを契約締結段階においても説明しなかったら、重要事項説明義務違反になるのか。それとも告知義務違反になるのか。

事実関係
   
当社は賃貸の媒介業者であるが、このたび媒介した賃貸物件に「抵当権」の登記がなされていたために、当社は入居申込者に対し、「競売がなされた場合は、競落人が所有権を取得した後6か月以内に建物を明け渡さなければなりません。」と事前説明をした。

 ところが、その後の契約締結時(貸主が署名押印した賃貸借契約書の交付時)に再度登記記録を確認したところ、この物件にはその抵当権に基づく競売開始決定の登記がなされていた。
 
質問
1.  このようなケースで、当社が再確認した登記記録の内容を入居者に説明しなかったら、当社は重要事項説明義務違反になるのか。それとも、第47条の告知義務違反になるのか。
2.  最近、早い時期の重要事項説明ということが盛んに言われているが、このようなケースもあるので、できるだけ遅い時期に説明した方が、事故が少ないようにも思えるが、どうか。
 
回答
  1. 結 論
(1) 質問1.について — 【事実関係】を見る限りにおいては、重要事項説明義務違反になると考えられる。
(2) 質問2.について — 説明する事項による。しかし、一般論としては、消費者にとってはできるだけ早い時期の説明の方が理解を深めることができるという意味では望ましいといえるが、それだけで説明義務を果たしたということにはならない。
 
  2. 理由
(1)について
 宅地建物取引業法第35条の重要事項説明義務は、契約締結時までに確認し得る重要な事項について説明する義務があるということであって、事前に説明をしたからといって、それだけで説明義務を果たしたことにはならない。したがって、本件のような権利変動の考えられる登記事項などについては、契約直前に説明した方が望ましいのではあるが、だからと言って、すべての事項について契約直前に説明した方がよいということにはならない。なぜならば、契約直前に説明した場合には、一般の消費者が十分な理解のないまま契約を締結してしまうおそれがないとはいえないからである。
 ところで、本件の場合になぜ重要事項説明義務違反になり、告知義務違反にはならないのかというと、本件の競売開始決定の登記は、重要事項の事前説明後、契約締結時までの間になされたものと考えられるので、本件のケースは媒介業者の過失によって登記の変化を見抜けなかった(重要事項説明義務違反)と考えられるからであり、故意にその変化を告知しなかった(告知義務違反)とは考えられないからである。
(2)について
 重要事項説明の制度は、本来消費者保護のための制度であるから、この問題は消費者にとってどのようなタイミングで説明するのが最も望ましいのかという観点で考えなければならない。したがって、本件のような登記事項の中でも入居者の権利を剥奪してしまうような権利(抵当権)が付いていたりする場合には、契約直前まで権利変動がないか(抵当権が実行されることはないか)どうかを調査し、消費者を保護すべきことは言うまでもないことである。
 
参照条文
 
宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明等)
(1)宅地建物取引業者は、(中略)、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、(中略)説明させなければならない。
一 〜 十四 (略)
(2)〜(5)(略)
 

同法第47条(業務に関する禁止事項)
 
宅地建物取引業者は、その業務に関して、(中略)、次に掲げる行為をしてはならない。
一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、(中略)、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
  イ 第35条第1項各号又は第2項各号に掲げる事項
ロ 第35条の2各号に掲げる事項
ハ 第37条第1項各号又は第2項各号(第1号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、(中略)、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
二 〜 三 (略)
 
監修者のコメント
 最近、早い時期の説明ということが議論されているのは、契約締結の当日、契約締結の直前に重要事項説明書を交付して説明するという実態についての消費者サイドの不満がその背景にある。しかし、そのことと本ケースのような登記記録の確認は、重要事項説明義務とは次元の異なる媒介業者の「調査義務」の問題である。すなわち、調査義務違反かどうかが問題となり、具体的にはその「差押え」の登記がいつなされたか、業者として競売の可能性を認識できたかどうかがその判断の重要な要素となる。したがって、本ケースもすべての事情が明らかにならなければ判断は困難である。
 なお、業法47条の告知義務は、「故意に」すなわち「知りながら、認識しながら」というのが適用要件であるから、本ケースでは告知義務違反にはならないように思われる。35条の重要事項説明は、故意過失を問わず、ウッカリミスも含まれるので、その違反にはなる。しかし、そのような宅建業法違反の問題もさることながら、それが原因で借主に損害が生じた場合は、調査義務違反という媒介契約上の債務不履行の問題になることが重要である。

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