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賃貸事例 1004-R-0074
短期の土地賃貸借契約と一時使用目的の土地賃貸借との違い

 借主が、簡単なプレハブ造りの業務用倉庫を建てるということで、2年更新の土地賃貸借契約の仲介をした。ところが、地中に産業廃棄物が埋まっているということで、借主が地代を支払わなくなったが、土地上にはすでに高価なプレハブ造りの建物が建てられ、事務所も併設されている。どのように対応したらよいか。

事実関係
   当社は土地(約100坪)の賃貸借の媒介をし、半年が経過したが、地主から、借主(会社)が3か月前から地代を払ってくれないと言ってきた。その理由は、地中に産業廃棄物が埋まっていたということであるが、借主はすでに土地上にかなり高価なプレハブの建物を建てている。
 なお、土地の使用目的は、賃貸借契約書には「業務用倉庫」と書かれてあるが、現場には社名入りの看板が出された「事務所」もあり、通常の倉庫とは趣が異なるものになっている。そのうえ、賃貸借の期間も2年とは書かれているが、自動更新の規定もあるため、契約当初の話(簡単なプレハブ造りの一時的なもの)とはだいぶ異なっている。
 
 
質問
 このような地主からの申し出に対し、当社としても媒介をした責任があるので、何とかしたいが、どのような対応をとったらよいか。
 
回答
   次の点を確認したうえで、借主の意図が「一時使用目的の賃貸借」(借地借家法第25条)でないと認められる場合には、弁護士などの法律の専門家に相談し、できるだけ早い時期に契約が終了できるよう手を打ってもらうべきであろう。
(1) 地中の産業廃棄物の実態がどのようなものであったか(廃棄物の種類、量、搬出費用の額など — 証拠写真や工事業者、搬出業者からの見積り確認)
(2) 契約書には「業務用倉庫」となっているのに、社名入りの「事務所」が併設されている理由
(3) 当初の話(簡単なプレハブ造り)と異なり、「高価なプレハブ造り」にした理由
(4) 「一時的な土地利用」という当初の話の再確認(予定されている土地利用の期間)
 
理由
  (1)  本件の対応にあたっては、まず、地代の不払いの理由とされている地中埋設物についての事実関係の確認が重要で、その程度いかんによっては、基礎工事費用の増加分や搬出費用を地代と相殺するということも考えられよう。なぜならば、この種の借主に対しては、貸主としても、賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるということで、借主の立場を強くしてしまうことは後日のために得策ではないと考えられるからである。しかし一方、借主としても、当初の話と実際の土地利用にかなりのギャップがあるために、むしろこの地代の不払いが原因で、賃貸借契約の解除問題に発展するのは避けたいと考えているであろうから、貸主としても、相手の言い分だけで地代との相殺を考えるのは避けるべきであろう。
(2)  次に、この問題の対応として重要なのは、何故に借主が当初の話と異なる高価なプレハブ建築を行ったり、事務所を併設したのかということである。
 この点については、【回答】の冒頭で述べたように、借主が、最初は「一時使用目的の賃貸借」であるかの如く装い、賃貸借契約を締結したあとは更新を繰り返すことにより長期の賃貸借であるという事実をつくり、事実上の「建物所有目的の賃貸借」(借地借家法第1条)として、借地借家法上の借主の地位を取得しようとしていることも考えられるので、その点についての事実関係を確認し、少しでも当初の話と違うような話をしたり、そのような話はしていないというようなことを言うようであれば、すぐにでも弁護士等の法律の専門家に相談し、然るべく対応してもらう必要があると考える。
(3)  なお、本件の仲介をした貴社の反省点としては、このような土地の賃貸借を仲介する場合には、必ず借主の借地目的が「建物所有」にあるのか、それとも「一時的な土地利用」にあるのかを確認する必要があるということで、もし、それが前者のものであれば当然借地借家法が適用されるので、たとえばその期間を30年とし、一定の権利金を授受するとか、一定の保証金を預託させたうえで事業用定期借地にするなどの方法をとる必要があり、後者のものであれば、少なくとも契約書に土地の使用目的が一時的なものであることがわかるように記載しておくとか、更新についても自動更新のような規定を設けずに、「協議のうえ更新することができる」というように定めておくことが肝要であろう。
 
参照条文
 
借地借家法第1条(趣旨)
 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
 
○ 同法第25条(一時使用目的の借地権)
 第3条から第8条まで、第13条、第17条、第18条及び第22条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。
 
監修者のコメント
 本ケースは、回答からも分かるように、諸般の事情を詳細に検討しなければ容易に結論が出せない事案である。
 問題は、やはり「一時使用目的」の賃貸借かどうかが重要な争点である。なぜなら、普通借地権は30年未満の契約期間が認められていないというのは、ズブの素人ならともかく、業務用倉庫あるいは事務所として利用するような者は通常知っており、また仮に知らなかったとしたなら、真実短期だけ借りる意思であった可能性がある。
 また、借主の不払いの理由も問題となる。土地の所有権を取得するのではないから、その産業廃棄物の存在が賃借目的達成に支障があるものかどうかである。その点、売買の場合の「瑕疵」とは違った観点から検討する必要がある。
 いずれにせよ、回答が言うように、2年という期間の借地契約を締結させたのであるから、媒介業者にもう少し慎重な配慮が求められたケースということができる。

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