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賃貸事例 0910-R-0068
公正証書を作成しない事業用定期借地契約の効力

 事業用定期借地契約の予約が完結され、借主が建築工事に着手したが、建物の規模についての意見の対立から、貸主が公正証書の作成に応じない。このような場合、事業用定期借地契約の効力はどうなるか。

事実関係
 
当社の取引先の中に、「事業用定期借地権」を使って事業を展開している業者がいるが、このたび、その業者が、事業用建物の「規模」に関する地主側との意見の対立から、事業用定期借地に関する契約書を「公正証書」にしないまま、事業用建物の建築工事に着手してしまった。

 その理由は、業者側(借主)としては、すでに予約契約の締結段階で、事業内容の説明もし、以後、約定の保証金も支払い、地代の1年分も前払いし、土地の引渡しも受けているからだという。
 なお、事業用定期借地権設定のための予約契約書には、事業用定期借地の期間を20年とし、予約契約締結の日から1か月以内に約定の保証金等を支払い、本契約を締結したうえで、その契約内容を公正証書にするという、いわゆる「一方の予約」条項(予約権者は借主)が定められており、業者(借主)は、すでに予約完結の意思表示を済ませているという。
 
質問
 このような「公正証書」の作成されていない事業用定期借地契約は、有効な契約といえるのか。
 
回答
  1.結論
 事業用定期借地契約としては有効な契約とはいえないが、「普通借地」としては有効に成立している可能性がある。ただし、当事者間に、本件のトラブルの原因となっている「建物の規模」についての合意が、本契約の成立あるいは効力発生の前提となっているというような背景があれば、「普通借地」についても必ずしも有効に成立しているとは限らない。
2.理由
(1)  事業用定期借地契約が有効に成立するためには、その契約内容が「公正証書」により作成されていなければならない(借地借家法第23条第3項)。したがって、本件の場合は、公正証書がまだ作成されていないのであるから、事業用定期借地としては有効に成立していないことになる。つまり、契約は成立しているが、事業用の定期借地、すなわち、借地目的を事業用に限定し、かつ、その借地期間を20年に限定する契約については、まだその効力が生じていない状態の契約になっているということである。ということは、このままの状態で20年が経過しても、事業用定期借地としては効力が生じていないのであるから、20年の経過によって契約が終了することはなく、「普通借地」として存続するものと考えるのが適当であると考えられるからである。
(2)  ただ、本件の場合は、当事者間に、事業用建物の「規模」についての争いがあることから、その規模の合意が、本件の事業用定期借地契約の成立あるいは効力発生の前提となっていると考えられる余地があるので、その点の判定が本件事業用定期借地契約の本契約の有効性を判断する根拠になると考えられる。したがって、その結果、本契約の有効性が確認されれば、本契約に基づく公正証書作成義務違反等を理由に、判決によって、地主に公正証書を作成させることも可能と考えられる。
参照条文
  ○ 借地借家法第23条(事業用定期借地権等)
(1)  専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
(2)  専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
(3)  前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
 
監修者のコメント
 事業用定期借地権設定契約は、公正証書が絶対的成立要件であるから、本件では事業用定期借地契約は有効に成立していない。
 本件では、「事実関係」記載の事実だけでは判断は極めて困難であるが、貸主が公正証書の作成に応じない理由に正当性があるか否かがポイントと思われる。具体的には、建物の規模に関する双方の主張の合理性をめぐる争いとなると考えられるが、予約段階で、事業内容も説明され、保証金も地代額も確定しているようであるから、もし裁判になれば、それらの決定段階における諸事情を総合判断して、いずれの主張に合理性が認められるかが認定されるであろう。

より詳しく学ぶための関連リンク

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