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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 0906-R-0063
相続人の存否が不明の賃借人の死亡と賃貸借契約の後処理

 賃借人が死亡した場合の後処理は、相続人がいれば相続人との間で行うことになると思うが、相続人がいるかどうかはっきりしなかったら、どうなるのか。

事実関係
 当社は賃貸の媒介兼管理業者であるが、先日賃貸マンションの入居者が死亡し、遺族との間で賃貸借契約を終了させ、中の荷物も引き取ってもらったが、それが正しい処理の仕方であったかのかどうか甚だ心許ない。
 
質問
1.  借主が死亡した場合は、相続人がいれば、その相続人との間で契約を終了させることになると思うが、それでよいか。
2.  相続人がいるかどうか分からないときは、どうなるのか。
 
回答
  (1)  質問1.について — それでよい。ただし、店舗の賃貸借などのように、財産的価値(賃借権、営業権などの価値)の高いものについては、相続人の代表者との間で合意解約等の取り決めをするにしても、あとで問題が生じないよう、他の相続人からも合意解約等に関する委任状を取り付けておいてもらうなどの慎重な対応が必要である。
(2)  質問2.について — 相続人がいるかが明らかでないときは、民法によって、賃借権や営業権などの財産は法人として扱われ、その財産法人を管理する管理人(通常は弁護士)が、利害関係人(本件のような場合は、通常貸主)等の請求に基づいて家庭裁判所から選任される(民法第951条、第952条第1項)。

 そして、財産管理人が選任されたあとは、家庭裁判所による管理人が選任されたことの公告(民法第952条第2項)や相続人の捜索の公告(民法第958条)などの手続を経て、それでも相続人が現われなかったときは、家庭裁判所は、特別縁故者か(注)らの請求によって、それらの者に対し、相続財産の全部または一部を与えることができることになっている(民法第958条の3)。

 なお、相続債権者や受遺者が権利を行使したあと、特別縁故者に配分し、それでもなお処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する(民法第957条、第959条)。
(注) 特別縁故者がいわゆる内縁の夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者である場合には、居住用の建物賃貸借については、その同居者が1か月以内に反対の意思表示をしない限り、同居者が建物賃借人の権利義務を承継する(借地借家法第36条)。
 
参照条文
  ○ 民法第951条(相続財産法人の成立)
  相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
 
○ 民法第952条(相続財産の管理人の選任)
(1)  前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
(2)  前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
 
○ 民法第957条(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
(1) 第952条第2項の公告があった後2箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
(2) (略)
 
○ 民法第958条(相続人の捜索の公告)
  前条第1項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。
 
○ 民法第958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)
(1)  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
(2)  前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
 
○ 民法第959条(残余財産の国庫への帰属)
 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第956条第2項の規定を準用する。
 
○ 借地借家法第36条(居住用建物の賃貸借の承継)
(1)  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者がいるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
(2)
 
 前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。
 
監修者のコメント
 賃借人が死亡したが、その相続人がいるのかどうかが分からないというケースが稀にあるが、それゆえに保証人、連帯保証人が重要な存在であることを改めて認識されたい。
 
 どうしても分からないときは、住民票→戸籍等をたどりながら調査するしかないが、そうなったときは司法書士等の専門家に頼らざるを得ない。

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