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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 0806-R-0037
賃料の滞納入居者に対する公正証書の作成

 貸主から、賃料の滞納を繰り返す入居者に対し、賃貸借契約書を公正証書にするよう言われている。そのためには、どのようなことを知っておくべきか。

事実関係
 当社は、賃貸を主業務とする媒介業者であるが、貸主から、滞納を繰り返す入居者に対しては、ある時点から強制執行が可能な公正証書に切り替えて欲しいと言われている。
ついては、次の諸点について、あらかじめ知っておきたい。なお、契約の当事者は、いずれも「個人」である。
 
質問
(1)  借主からは、どのような書類を徴求すれば、貸主側だけで公正証書がつくれるか。両当事者が公証役場に行って作成する場合とどこが違うか。
(2)  費用はどの位かかるのか。
(3)  公証証書を作成しておけば、明渡しの強制執行もできると思うが、どうか。
(4)  保証人に対しても、強制執行ができるか。
(5)  公正証書を作成する場合、その内容については、当初の賃貸借契約書どおりになるのか。
 
回答
 
(1)  質問1.について — 本件の場合は、当事者が「個人」であるから、本人が出頭できるときは、「運転免許証」(本人確認ができるもの=原則は、「印鑑証明書」と「実印」)と「認印」を持参すれば作成できる。しかし本人が出頭できないとき(つまり、今回のように貸主側だけで作成するとき)は、借主本人の印鑑証明書と、その実印を押印した委任状(公正証書を作成するための代理委任状)が必要となる。その場合、委任状は白紙の委任状では受理されないので、あらかじめ公証役場で、公正証書作成用の委任状の用紙を購入したうえで、その所定の箇所に必要事項を記入し、借主の署名押印(捨印も要求される)をしたものを持参することになる。
(2)  質問2.について — 費用は、次のような計算式で計算された金額(法律行為の目的の価額)を基準に、所定の手数料を公証役場に納めることになる。
 なお、敷金や保証金などの額は、計算の対象からは除外されている(以下、「公証人手数料令」による。)。
<計算式>
月額賃料 × 12(ヶ月)× 契約年数((注)) = 法律行為の目的の価額
(注) この契約年数は、当初の契約年数のことをいい、更新後の通算年数のことではない。
<手数料額>
(注)実際の作成費用は、この手数料のほかに、契約書正本(貸主・借主あわせて)2通で3,000円程度の交付手数料が必要になる。
(3)  質問3.について — 明渡しの強制執行はできない。公正証書(執行証書)の場合は、強制執行の認諾約款があっても、執行ができるのは、原則として、金銭執行に限られている(民事執行法第22条第5号)。
(4)  質問4.について — 保証人も一緒に公正証書を作成しているのであれば、保証人に対しても強制執行ができる。
(5)  質問5.について — ならない。公正証書は、原則として公証役場にある書式が使われる。したがって、貸主からの中途解約条項などの無効な条項は、入れてもらえない。しかし、3か月間連続滞納などの場合の無催告解除条項などは入れてもらえることもある。
 
参照条文
  ○ 民事執行法第22条(債務名義)

強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一 確定判決
二 仮執行の宣言を付した判決
三 (略)
四 仮執行の宣言を付した支払督促
四の二 (略)
五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
六 (略)
七 確定判決と同一の効力を有するもの(注)(以下、略)
(注) 裁判所で作成した「和解調書」「調停調書」など

 
監修者のコメント
【回答】のとおり、公正証書に執行認諾約款が付いていれば、賃借人の賃料滞納があった場合、その賃料債権についての強制執行が、ただちできる。要するに、判決などと同じ債務名義となる。ただし、多くの賃貸人が期待する立退きの強制執行の債務名義とはならない。金銭の執行の場合と異なり、万一間違っていたとき、原状への回復が困難であり、債務者の利益をあまりにも害するからである。

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