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賃貸事例 0802-R-0028
商業ビルにおけるテナント運営の方法(賃貸権限の委譲)

 商業ビルのテナント運営を行うため、子会社との間で業務委託契約を締結し、子会社にテナントとの間の賃貸借契約を締結させているが、この賃貸借契約は、代理行為になるのか。他人物賃貸で、業法上問題となることはないか。

事実関係

 当社は、商業ビルのオーナーであるが、この商業ビルの運営にあたっては、運営のための子会社をつくり、その子会社に業務一切を任せている。

 
 
質問
1. この子会社が行うテナントとの賃貸借契約は、当社の代理行為ということになるのか。
  なお、子会社が行う契約は、子会社が「子会社の名」で直接賃貸借契約を結ぶかたちになっている。
2. 前記1.の「なお書き」のような契約を締結した場合、子会社は、他人物賃貸を行うようなかたちになるが、宅建業法上の問題はないのか。
3. 当社と子会社との間の契約は賃貸借契約ではなく、「業務委託契約」となっているが、何か法的に問題になるようなことはないか。また、業務委託契約においては、どのような事項が重要な取り決め事項になるか。
 
回答
1.結 論
  (1)質問1.について — 業務委託契約の内容いかんによる。
(2)質問2.について — 業法上の問題はない。
(3)質問3.について —
業務委託契約となっていても、テナントへの賃貸権限が親会社から子会社に委譲されていれば、原則として、問題となることはない。
なお、業務委託契約における重要な取り決め事項は、子会社とテナントとの間の賃貸借契約上の問題についての取り決め事項である。
 
 
2.理由
(1)について
 代理行為は、通常、代理人が「本人の名」において行うのが普通であるから(たとえば、貸主○○○○、右代理人○○○○)、本件子会社の行為は、一見、代理行為とはならないように見える(民法第99条第1項)。
 しかし、本件の場合、たとえばその業務委託契約において、親会社から子会社に代理権が授与されているにもかかわらず、親会社が子会社に対し、あえて親会社(本人)の名を示さないで、直接テナントとの賃貸借契約を締結するよう義務づけていたり、借主(テナント)も貸主(当該子会社)に代理権があることを知っているような場合には、賃貸借契約書の外形いかんにかかわらず、子会社は代理行為を行ったことになる(民法第100条、商法第504条)。つまり、代理行為になるか否かは賃貸借契約書の外形からだけではわからないということである。
(2)について
 本件の子会社が行う賃貸借契約は、確かに一見、他人物賃貸のようなかたちになるが、厳密に言えば、民法(第560条、第559条)が規定しているような他人物賃貸ではない。
なぜなら、本件の場合は、賃貸する子会社には、業務委託の内容として、最初から代理権なり賃貸権限が親会社から授与されているので、民法が定めているような、これから賃貸権限を取得して賃貸するわけではないからである。
 しかし、いずれにしても、本件の場合は、子会社自らが賃貸人として賃貸借契約を締結するわけであるから、子会社に業法上の免許の取得も必要なく、また、仮に子会社が宅建業者であったとしても、そもそも業法が他人物の取引を制限しているのは、「売買」であって、「賃貸借」については何らの制限もしていないので、その点についても業法上の問題はない(宅地建物取引業法第33条の2)。
(3) について
 契約の名称が「業務委託契約」となっていても、委託者である親会社から受託者である子会社に対し、商業ビルの賃貸権限が委譲(法的には「委任」)されていれば、受託者である子会社が、その受託権限に基づいて、自己の名で賃貸借契約を締結することは、法的に何ら問題はない。
 ただ、問題は、その賃貸権限との関係で、その受託業務の範囲がどこまであるのか、たとえば、ビルの修繕や改装、賃料の改定問題など、ビルのオーナーにとっては、事業収支に影響を与えるようなことまで一任されているのかといったことが問題となる。
 その点については、親子会社の間で、あらかじめ委任する業務の内容と、それに伴う子会社の権限、協議事項、報告事項などの細目を定め、事後のテナントとの関係が円滑にいくように定めておくことが、運営上最も重要な点である。
 
参照条文
  ○  民法第99条(代理行為の要件及び効果)
(1) 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
(2) (略)
 
○  民法第100条(本人のためにすることを示さない意思表示)
   代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
○  商法第504条(商行為の代理)
  商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。
○  民法第560条(他人の権利の売買における売主の義務)
  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
○  民法第559条(有償契約への準用)
  この節(第3節売買)の規定は、売買以外の有償契約について準用する。(以下(略))。
○  民法第643条
   委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
 
監修者のコメント
 本ケースが代理行為となるのかどうかは、その業務委託契約の内容として、賃貸借契約の代理権の授与があるかどうかという実質で決まることである。契約書の表示がどうかという形式で決まることではない。なぜなら、本ケースのオーナーである親会社が子会社に賃貸の代理権を与えながら、親会社の名前を出さない、すなわち「顕名」しない代理もあり得るからである。
 子会社が親会社を代理することはもちろん、代理ではなく直接賃貸人になること、すなわち他人物の賃貸も問題なく可能である。
 なお、宅建業法との関係は、【回答】のとおり、まったく心配する必要はない。

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