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賃貸事例 0711-R-0020
建物賃貸借における明渡しの強制執行までの手順と留意点

最近、賃料を滞納する人が多いので、どのような場合に法的に建物の明渡しを求めることができるのか、その手順と留意点を知っておきたい。

事実関係
 当社は、住宅賃貸の媒介・管理を中心に行っている業者であるが、最近、入居者の賃料の滞納が多く、2か月以上の連続滞納となった場合には、当社で直接集金に出向くなど、対応に苦慮することが多い。
 
質問
1.  賃料の滞納が始まった場合、最終的に法的手続で建物の明渡しを求めるには、どのような手順が必要となるか。
2. その際、特に留意しなければならない点は何か。
 
回答
(1)  質問1.について
入居者に法的手続で明渡しを求める場合の通常の手順は、次のとおりである。  
 
支払の催告
契約解除の通知
建物の明渡しと未払賃料等の支払を求める訴えの提起
判決(確定判決)=「債務名義」の取得
明渡しの強制執行の申立(判決正本に「執行文」(注)を付与してもらい、申立てる(民事執行法第25条)。
強制執行
   貸主またはその代理人が「内容証明郵便」等で催告する。
 
 貸主またはその代理人が「内容証明郵便」等で解除の意思表示をする。なお、この場合、上記の支払の催告とともに○月○日までに支払いがされない場合は当然に解除となるという「条件付解除」の方法をとるのが普通である。
 
 訴えの提起は、通常は代理人である弁護士が、被告の住所地か物件の所在地を管轄する地方裁判所に訴状を提出して行うが(民事訴訟法第4条、第5条、第8条、第133条)、本件のような訴訟の場合は、建物の明渡しが主たる請求の目的となるため、その訴額(注)(建物の固定資産税評価額の2分の1相当額)が140万円以下の場合(賃貸の目的物が建物の1室というような場合は、全体の床面積に対する当該目的物の床面積の割合で計算する。)には、簡易裁判所に訴えを提起することができ(裁判所法第33条第1項第1号)、司法書士がその手続を代理して行うこともできる(司法書士法第3条第1項第6号)。
 
(注) 具体的な訴額の算定基準は、最高裁民事局長通知「訴訟物の価格の算定について」(昭和31年12月12日民甲第412号、昭和39年6月18日民ニ第389号)に定められている。
 
「債務名義」には、確定判決以外に、仮執行の宣言(注)を付した判決、確定判決と同一の効力を有する和解調書などがあるが(民事執行法第22条、民事訴訟法第267条)、本件のような裁判における判決の場合には、通常その判決が確定しなければ、次の段階の明渡しの強制執行の手続には入れないとされている。(注)
 
(注) 通常の裁判においては、判決の中で、仮執行の宣言を付した判決が得られれば、その判決の確定を待たずに強制執行の申立ができるのであるが、建物の明渡しのような強制執行については、上訴審で覆えされたときに原状回復が難しいという面もあることから、通常は仮執行宣言は付されない。しかし、本質的に付されないというものではなく、建物の明渡し請求に付された例として、京都地判昭和61年2月4日判時1199号131頁がある。
 
 執行官が一定の期限(1か月)を定め、明渡しの催告を行い、その期限までに明渡しがなされない場合は、執行官が実力で占有者を排除する。もしその間に、債務者以外の者に占有が移転しても、執行官はその者に対し、強制執行をなすことができる(民事執行法第168条の2第1項、第2項、第6項)。
 
(注) 「執行文」は、その事件の記録を保管する裁判所の書記官が付与する(民事執行法第26条)。
(2)  質問2.について
 明渡しの強制執行を求める手順の中で、特に留意すべき点は、契約解除の通知(意思表示)をするタイミングである。
 賃貸借契約は、もともと契約の期間が長期にわたることを前提とした契約であるために、その間に入居者の経済状態が悪化することも考えられるので、そのような賃貸借契約を解除するためには、当事者間において相互の信頼関係が破壊されたといえるだけの状況が必要である、というのが裁判所の考え方である(最判昭和39年7月28日民集18巻6号1220頁、判時382号23頁)。
 したがって、借主の勤務先の事情により、借主に何回かの滞納があり、その滞納もすぐに解消されているような経過を辿っている場合には、たとえ解除通知前の滞納が3か月以上続いていたとしても、必ずしも解除が認められるとは限らない。そして、その解除の有効性の判断は、建物明渡し訴訟の中で審理されるので、その間に滞納賃料の供託などが行われた場合には、解除の無効判決が出されることも十分考えられる。
 
参照条文
○  民事執行法第22条(債務名義)
強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
確定判決
仮執行の宣言を付した判決
三〜六 (略)
確定判決と同一の効力を有するもの(以下、略)
○  同法第25条(強制執行の実施)
 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
 
監修者のコメント
 賃料滞納による強制執行の法律に基づく手順としては、もちろん【回答】のとおりであるが、判決をとって強制執行という時間と手間と費用を考えて、訴えの提起をした上で、滞納賃料の大幅な免除の代わりに、できるだけ早期の期限を決めて任意の明渡しをするという「訴訟上の和解」をすることも多い。その場合に作成される「和解調書」は、万一のときでも、確定判決と同じ債務名義となる。大局にみて、強制執行より、和解による任意明渡しのほうが貸主のメリットが大きいケースも多い。

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