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賃貸事例 0707-R-0012
「事業用借地」における貸主からの中途解約

定期借地(事業用借地)の契約で、貸主からも中途解約ができるようにするには、どのような方法があるか。

事実関係
  最近、地主から「事業用借地」であれば土地を貸してもよいが、その代わり、貸主の方からも中途解約ができるようにしてもらいたいという無理な要請がある。
質問
  この地主からの要請に応えられる方法はあるか。
回答
 
1.結論
 この地主からの要請に応えられる方法はない。しかし、それに代わる方法として、次の2つの方法が考えられる。
(1) 一定期間(たとえば、10年)経過後に、話し合いで「合意解約」ができる途を開いてお方法
(2) 最初は短期(たとえば、10年)の契約にして、期間満了後、「再契約」ができる途を開いておく方法
2.理由
(1)  賃貸借契約において、期間を定めたときは、その期間内は解約することができないのが、原則である。この原則は、「定期借地」の場合はもとより、「普通借地」の場合においても、同様である。
 しかし、何10年という長期の契約をするのに、当事者双方がともに契約を途中で終了させることができないというのも、いささか実情にそぐわないという面も否定できない。そこで、法は、借主からの中途解約(解約権留保特約)は認めるが、貸主からの中途解約(解約権留保特約)は、借主に著しい不利益を与えるということで、これを「無効」としている(借地借家法第9条)。
 そして、この貸主からの中途解約(解約権留保特約)を「無効」とする借地借家法第9条の規定は、「事業用借地」の場合にも適用されるので(同法第24条第1項)、【質問】にあるような本件地主(貸主)からの要請に応えるには、借主が、契約の途中で賃料を滞納するなり、土地の使用方法を逸脱するなど、当事者の信頼関係を破壊するような違反行為をしない限り、できないといわざるを得ない。
(2)  他方、法の定めとは別に、(契約が長期にわたるだけに)貸主にとっても、借主にとっても、契約の途中で事情が変わり、何とか話し合いで契約を終了させたいという不可避的な事態が発生する可能性があることも、また事実である。したがって、当事者間に、そのような事情が発生する可能性がある場合の契約方法として考えられるのが、【結論】に記載したような2つの方法だということである。
(【結論】(1)の方法)
 たとえば、期間が「20年」の事業用借地の場合には、業種によっては、契約書にあらかじめ「10年(あるいは15年)経過後において、双方合意のうえ、この契約を終了させることができる。」と定めておくことにより、真に「合意解約」の途が開けることもあるので、このような「合意解約条項」を事前に定めておくこともあながち無駄にはならないと考えられる。
 しかし、この場合、当事者間で別段の定めをしていない限り、解約の申し出をした方に、それなりのペナルティなり、投下資本あるいは予定賃料等に対する補償問題が生じるので、この問題に対処するため、たとえば、あらかじめ契約書に「この場合、15年経過後の解約申入れに対しては、6か月前の申入れを条件に、互いにペナルティなしで合意解約をなすことができる。」と定めておくという方法もある(もっとも、この場合においても、双方が解約に合意しない限り、合意解約そのものが成立しないということは、当然である)。
(【結論】(2)の方法)
 もう1つの方法は、たとえば、最初の借地期間を「10年」とし、期間満了6か月前までに双方が合意すれば、期間満了後、あらためて期間「10年」の再契約をすることができる旨をあらかじめ特約しておくことにより、結果として、最低10年から最高20年までの「事業用借地」を選択することができるので、このメニューあるいは上記【結論】(1)の方法との組み合わせの中から地主が最も望むものを選択してもらうという方法である。
参照条文
 
○ 借地借家法第9条(強行規定)
この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。
○ 同法第24条第1項(事業用借地権)
第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上20年以下として借地権を設定する場合には、適用しない。
監修者のコメント
 普通借地でも、定期借地でも、借主からの中途解約を認める特約は有効であるが、貸主からの中途解約を認める特約は無効である。一見、不公平のようではあるが、借地権を保障しようという法の趣旨からやむを得ない。

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