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賃貸事例 0706-R-0011
(1)当事者の死亡、(2)賃料の常習滞納、(3)夜逃げの場合の対応

 

事実関係
   当社は住宅賃貸の媒介を主業務としているが、時として、契約の当事者が死亡したり、賃料の滞納や夜逃げなどが発生し、対応に苦慮することがある。
 ついては、この際そういった事態に対処するためのマニュアルづくりをしようと考えているが、それらの場合の法的な考え方を確認しておきたい。
質問
  1. 貸主が死亡し、複数の相続人がいる場合の対応
  2. 借主が死亡し、複数の相続人がいる場合の対応
  3. 賃料の滞納が繰り返される場合の契約解除に向けての対応
  4. 借主が夜逃げし、部屋に残置物がある場合の対応
回答
  1.結論
 
(1) 質問1.について
賃貸物件について貸主に相続が発生すれば、一旦は相続人全員による「共同相続」ということになり、原則として、法定相続分(民法第900条)に基づく「共有」ということになる。したがって、遺産の分割協議が完了するまでは、「相続人全員」が貸主ということになる。
 しかし、だからといって、すぐに契約書を書き替える必要はなく、遺産分割協議完了後の「新たな貸主」が決まってから書き替えても、法的には何ら問題はない。ただ、毎月の賃料等の受け皿だけは新たに設けておかなければならないので、暫定的な措置であっても、とりあえずの代表者に入金口座を開設してもらうなり、従来の口座にそのまま振り込んでもらうなりということで、借主に対し相続があったということだけは「相続人全員」の名前で通知しておく必要がある。
  (2) 質問2.について
 借主が死亡した場合、借家権も相続される。
 しかし、店舗やオフィスなどの業務用の建物ならともかく、一般の住宅の場合には、同居の家族がそのまま居住を継続することが多いので、そうであれば、その家族のうちの最も借主としてふさわしい資力等のある者の名義に切り替えてもらうという対応で十分ではないかと考えられる。
 なお、店舗などの財産権としての価値のある借家権の場合には、(逆ではあるが)前述の貸主が死亡した場合と同様の対応が必要となる。ただ、この場合の賃料の請求については、法的には、判例で相続人各人がその全額についての債務を負うものとされているので(大判大正11年2月24日民集1巻670頁)、とりあえず相続人のうちの誰か1人を代表者に定めてもらい、以後その代表者に請求書を送るという対応をとることとし、あとは早く遺産分割協議を進めてもらうよう要請することで、当面の対応としては十分ではないかと考えられる。
  (3) 質問3.について
 賃料の滞納については、特段の事情がない限り、滞納の結果、貸主との間の信頼関係が破壊されたと判断される程度に至るまでは、契約の解除を認めないとするのが判例である(最判昭和39年7月28日民集18巻6号1220頁)。したがって、単に2〜3回程度の滞納があったというだけでは、契約を解除するということは難しく、あとはどの程度の頻度で、何ヶ月分位の滞納を繰り返しているのかということが判断の基準になる。過去の判例では、少なくとも1度は3ヶ月分以上の滞納があるというのが1つの目安になっているようである。したがって、賃貸管理を行う者の立場からすれば、賃貸人が2ヶ月連続して滞納した場合には黄色信号として、1回でも3ヶ月分以上の滞納があったときは、契約の解除も視野に入れながら、連帯保証人とも連絡をとりつつ、弁護士などの専門家の意見も聞いたうえで、対応していくことが望ましいといえる。
  (4) 質問4.について
 借主が夜逃げした場合の対応としては、まず、この借主との間の契約を「解除」する手続が必要となる。
 この「解除」の手続としては、通常であれば、相手方(借主)に対し賃料の支払の「催告」をし、それでも支払がない場合に契約を「解除」するという内容の通知(内容証明郵便等による通知)をして行うことになるのであるが、本件の場合は相手方(借主)が行方不明ということであるから、その通知は公示手続(民法第98条)で行うことになる。
 問題は、そのあとの残置物であるが、その処理については、仮に契約書に「残置物については、貸主において自由に処分してもよい」という定めがあったとしても、それに基づいて現実に行うことは、「自力救済の禁止」に触れ、場合によっては、不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償責任の問題になる。したがって、このあとの手続として、まず裁判所に対し借主に滞納賃料の支払と物件の明渡しを命ずる判決を求め、そのあとで残置物の差押えと競売という手続を踏むことになるので、これらの一連の手続は弁護士と相談したうえで進めることが望ましい。ただ、この残置物の処理について、あらかじめ「契約書」の中に連帯保証人が引き取る旨を定めている場合には、連帯保証人に連絡し引き取ってもらってよいが、いわゆる差し入れ方式の「連帯保証書」の場合には、あとでトラブルになることも考えられるので、弁護士ともよく相談し対応することが必要である。
監修者のコメント
 【質問】4.のケースは、たとえ契約書中に「残置物については、貸主において自由に処分してもよい」旨の条項があったとしても、その条文自体が有効ではない。近代法の下にあっては、自ら権利のある者であっても、自らの実力で権利を実現すること(これを「自力救済」という。)は、社会秩序の混乱をもたらすからである。たとえ、遠回りでも、【回答】のような手段・方法で進めなければならない。

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