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賃貸事例 0705-R-0008
オフィスビル等の賃貸における保証金についての特約

 

事実関係
  オフィスビルなどの商業用賃貸ビルの媒介に進出するが、保証金の取扱いについて、あらかじめ法的な問題点を知っておきたい。
質問
  1. 保証金と敷金の両方を預っても問題ないか。
  2. 保証金を何年間か据え置いて、その後に何年間かで返還していく特約をしても問題ないか。
  3. 保証金の据え置き期間中に中途解約をした場合、その据え置き期間中は、一切返還しないとする特約をしても問題ないか。
  4. 保証金の据え置き期間中の中途解約者に対し、保証金の何%かの違約金を課す(償却する)特約をしても問題ないか。
  5. 契約期間を2年間とし、自動更新条項を設けたうえで、更新ごとに保証金の何%かの償却をとり、かつ、その償却額を補充させる特約をしても問題ないか。
回答
  1.結論
 
(1) 質問1.について
問題はない。
  (2) 質問2.について
据え置き期間や返還期間が妥当であれば、問題はない。
  (3) 質問3.について
据え置き期間が妥当であれば、特約すること自体は問題はない。
  (4) 質問4.について
違約金(償却)の額(パーセント)が妥当であれば、問題はない。
  (5) 質問5.について
償却額(パーセント)が妥当であれば、問題はない。
     
 
2.理由

(1)について
保証金と敷金は、多くはその法律上の性格が異なるものであり、両方を預かることは「契約自由の原則」の範囲内のことである。

(2)について
本問に関連する裁判例として、建設協力金の件で、「10年据え置き」、「11年目から15年返還」とする約定を有効と認めたものがある(大阪高判昭和62年3月31日金商判例780号30頁)。

 
(注) 最近は、「建設協力金」名目での金銭の授受は少なくなっているが、それでも、ビルの建築中に募集を開始するようなケースでは、「保証金」の名目であっても、「建設協力金」として預かることもできるし、また、単に「保証金」として預かったとしても、この裁判例のような特約をする限り、同様の趣旨で預かったものと解される余地はある。
 
(3)について
本問に関連する裁判例として、上記(1)の裁判の中で、裁判所は、その解約が当事者の合意解約であるにもかかわらず、「10年据え置き」の合意をしていたことを重視し、賃借人からの建設協力金の返還請求を認めなかった。したがって、本問の場合に、特約すること自体は問題はないと考えられる。

(4)について
本問に関連する裁判例として、「3年以内の解約は30%」、「5年以内は20%」を償却すると定めることにより、中途解約について「違約金」を課す特約をした事案の裁判例がある(東京地判昭和46年2月26日判時637号51頁<ただし、この事案では「償却」は争点になっていない。>)。また、賃借人が半年後に解約した事案で、「10年以内の解約の場合には、保証金1,500万円の全額を賃貸人が取得する」旨の特約を、「損害賠償額の予定」の趣旨を含んでいるとして、有効と認めた裁判例がある(浦和地判昭和59年1月31日判時1124号202頁)。

(5)について
更新ごとに償却をとり、かつ、その償却額を補充させることは、その分だけ実質賃料を上昇させるが、その償却額(パーセント)が妥当である限り、「契約自由の原則」の範囲内のことである。

 
(1) 質問1.について
問題はない。
  (2) 質問2.について
据え置き期間や返還期間が妥当であれば、問題はない。
  (3) 質問3.について
据え置き期間が妥当であれば、特約すること自体は問題はない。
  (4) 質問4.について
違約金(償却)の額(パーセント)が妥当であれば、問題はない。
  (5) 質問5.について
償却額(パーセント)が妥当であれば、問題はない。
     
監修者のコメント
 保証金の据え置き、分割返還、中途解約時の違約金の定めなどビルの保証金に関する特約の有効性に関しては、ケースごとに判断をせざるを得ない。似たような争点でも裁判の結論が異なるものもある。
 しかし、本件の質問にある特約をすること自体はでき、その内容が不当・不公平なケースでは無効とされるが、一律の基準があるわけではない。

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