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賃貸事例 0704-R-0005
入居者のいることを知って新家主になった者の明渡しの「正当事由」

マンション用地の買収や競売物件の取得などで事業用地の取りまとめをする宅建業者が、入居者がいることを知りながら賃貸アパートなどを取得し、新家主となった場合、入居者の明渡しを求めるための「正当の事由」は認められるか。

事実関係
  最近は超高層マンションがよく売れ、また、ファンドからの要請もあって用地の取りまとめを依頼されることがよくある。このような状況の中で、良い物件の場合には当社みずからが土地・建物を取得し、入居者との明渡し交渉も行っていきたい。
今までは、事前に即決和解などの手続を経て買収に入っていたので、比較的スムーズにいったが、今後は、場合によってはそのような手続を経ずに土地・建物を先行取得することもあると思われる。
質問
  このような場合、(入居者のいることを知って)新家主となる当社に、賃借人の明渡しを求める「正当の事由」が認められることもあるのだろうか。
回答
  1.結論
(賃貸建物の取得時の状況いかんによっては)認められることもあると考えられる。
 
2.理由
借地借家法は、家主は「正当の事由」があると認められる場合のみ更新拒絶または解約の申入れをして賃貸借を終了させることができる、としている(借地借家法第28条)。

ところで、新家主からの解約申入れが問題になるのは、今までに旧家主との間では明渡しの話はなかったが、新家主になってから明渡しの話が出てきた、という場合である。

この点について判例は、≪本件のような用地買収の事案ではないが≫「新家主からの解約申入れについての正当事由の有無の判断は、新家主の賃貸建物買取り前後の事情一切を参酌し、借家人側の居住の安定と新家主の自己使用の必要との双方の利害を比較考量して判断することになるものであるが、必ずしも新家主からの解約申入れの事由が賃貸建物取得後の事情の変化に基づく場合にのみ正当事由が具備するとするものではない」としている(最判昭和30年6月7日民集9巻7号865頁)。

つまり、家主の交代によって家主側に正当の事由が具備するようになったような場合(旧家主には明渡しを求める事由はなかったが、新家主には明渡しを求める事由がある場合)には、旧家主当時の事情も考慮し正当の事由の存否が判断されるので、新家主の事情だけの判断ではその存否が否定されることもありうるが、他方、新家主が事前の旧家主や借家人との交渉において相当程度の根拠をもって明渡しが受けられるものと信じて賃貸建物を取得したような場合には、正当の事由があると判断されることもありうるということである。

したがって、新家主(用地買収等を行う者)が借家人の存在を知って賃貸建物を取得したという一事をもって解約申入れについての「正当の事由」が具備しなくなるということではない。

参照条文
  ○借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第26条第1項の通知(更新拒絶の通知)又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引き換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
監修者のコメント
「正当事由」の存否についての裁判実務では、借地借家法第28条の定める要素のうち、「賃借人に対する財産上の給付」すなわち立退料の提供が大きな要素を占めるのが現実である。そして、入居者がいることを知って、しかも新家主が入居者を退去させることを予定して売買する場合は、通常そのことが売買価額に反映することが多いため、立退料の判断にその事実が考慮される例が多い。

旧家主が「正当事由」を主張するときと、新家主がそれを主張するときとでは、理論的には同じであるが、その意味で一般的には新家主が主張するときのほうが、正当事由の認定が厳しくなる傾向があることは否定できない。

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