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賃貸事例 0703-R-0002
敷金返還訴訟における「原状回復特約」についての最高裁の
判断

平成17年12月16日、賃貸マンションの敷金返還訴訟において、最高裁はいわゆる「原状回復特約」の効力についてどのように判断したのか。

事実関係
 
  当社は、建物賃貸借の媒介業務を中心に行っている業者であるが、平成17年の最高裁の判断により、いわゆる「原状回復特約」の効力が否定されたような結果となり、今後特約を入れることができなくなるのではないかと心配で、今後の大家との対応をどうするか迷っている。
質問
 
  1.最高裁の判断というのは、簡単にいうとどういうことなのか。
2.今後は、いわゆる「原状回復特約」は入れられなくなるのか。
3.消費者契約法との関係では、何か判断があったのか。
4.今後、関西で行われている「敷引特約」も無効とされる可能性があるということか。
回答
 
  質問1.について
最高裁の判断は、端的にいえば、賃借人の通常使用に伴う損耗分の補修費用を賃借人に負担させるいわゆる「原状回復特約」については、(当該事件においては)その合意が成立しているとはいえないので、その部分の補修費用は、原則どおり貸主負担であると判断したということである。
 
質問2.について
判決は、原状回復特約そのものを無効といっているわけではなく、要は、特約をするのであれば、賃借人が負担する通常損耗の範囲が具体的に明確に賃借人にわかるように契約書に明記しておくか、口頭で説明し、賃借人がそれを明確に認識し、合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要であるといっているのである。

しかし、どの程度(範囲)の費用を賃借人に負担させるのであれば、特約が有効と認められるのかということについては判断をしていないので、その点については、今後の最高裁の判断を待つしかない。

 
質問3.について
消費者契約法絡みの判断はなされていない。なぜなら、当該事件における賃貸借契約が消費者契約法の施行(平成13年4月1日)より前の契約であったため、争点にはなっていないからである。したがって、消費者契約法との絡みでは、今後「原状回復特約」そのものが無効とされる可能性も残っているわけである。
 
質問4.について
「敷引特約」は、消費者契約法の適用により、一定範囲の敷引きの特約について、すでに関西方面の簡裁や地裁等で無効判決が出ているので、最高裁でも「敷引特約」を無効とする判決が出る可能性はあると考えられる。
参照判例
 
  ○ 最判平成17年12月16日(要旨)
1. 建物の賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるには、少なくとも賃借人が補修費用を負担することとなる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されれているか、仮に契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要である。
 
2.

本件賃貸借契約は、通常損耗補修特約の成立が認められるために必要な内容を具体的に明記した条項はないといわざるを得ず、本件契約の締結前に行った入居説明会においても、通常損耗補修特約の内容を明らかにする説明はなかったといわざるを得ない。

監修者のコメント
 
原状回復費用の負担に関する最高裁の平成17年12月16日判決は、通常損耗にかかる修復費用を賃借人に負担させることはできないとしたものではなく、その事件では、そもそも賃借人が負担する旨の「特約」が成立しているとは認められない、と判示した。

従来、通常損耗の原状回復費用について、その負担範囲が明確になっている特約でも、これを無効とする裁判例が高裁・地裁などの下級審ではあり、有効・無効の判断は区々であった。
しかし、本件の最高裁判決は、有効となる要件を明らかにしたのであり、実務に与える意義は大きい。

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