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賃貸事例 1508-R-0149
建物賃貸借契約におけるフリーレント期間満了時の解約申入れとフリーレント特約の有効性

 建物賃貸借契約において、1か月間のフリーレント期間を設けた。ところが、借主がそのフリーレント期間満了時に解約を申し入れてきた。
 それに対し貸主は、貸主が解約申入れを認める以上、借主はフリーレント期間中の賃料を支払ってもらいたいと主張し、借主は支払う必要はないと主張している。どちらの主張が正しいか。媒介業者としてどのように対応したらよいか。

事実関係

 当社は賃貸借の媒介業者であるが、先日、すでに当社の媒介で建物賃貸借契約が締結されている契約について、借主が、始期到来後になって解約したいと申し入れてきた。ところが、その建物賃貸借契約は、偶々下図のように、始期到来後から解約申入れのあった日までの1か月分の賃料を免除するといういわゆる「フリーレント」の期間が定められていた。
 そのため借主は、本件の解約申入れにより、契約は将来に向って解約されたので、そのフリーンレントの期間分の賃料は支払わないで解約できるはずだと言ってきた。
 それに対し貸主は、フリーレントの特約はあくまでも借主がフリーレントの期間満了後も建物を借りてくれることを前提に、それを停止条件として特約したものであるから、借主がその期間内に契約を解約するというのであれば、そのフリーレントの特約は効力を生じないと主張した。
 なお、本件の契約においては、借主から契約を解約するには、解約日の1か月前までに貸主に対し解約の申入れをすることになっており、もしすぐに解約をするのであれば、1か月分の賃料相当額を支払うことによって、即時解約をすることができるようになっている。


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質 問

1.  このようなフリーレントの特約付建物賃貸借契約の場合、借主の主張が正しいのか、それとも貸主の主張が正しいのか。
2.  本件のトラブルに対し、媒介業者としてどのように対応したらよいか。なお、借主はまだ本物件に入居していないが、12月15日からの1か月分の前払賃料と賃料の2か月分相当額の敷金を貸主に差し入れている。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― これだけの事実関係のもとにおいては、どちらが正しいという断定的な判断はできないが、当事者の意思解釈としては、貸主の言い分の方が理に適っていると解される。
 質問2.について ― フリーレントの特約については、結論⑴で述べたとおり、貸主の言い分の方が理に適っていると解されるが、かといって、これからその免除した分を借主に請求するというのもあまり現実的でない。したがって、借主もまだ本物件に入居していないわけであるから、すでに効力の生じている建物賃貸借契約の規定に基づいて、貸主が、借主から前払賃料として受け取っている1か月分相当額の金銭を解約申入れ金として受領し、借主の即時解約を認めるとともに、フリーレントに関するトラブルについては、その解決金として賃料の0.5か月分程度の額を敷金から差し引くという方向で話し合うのも1つの解決策といえよう。
2.  理 由
⑵について
 本件の「フリーレント」の特約は、一種の値引きではあるが、貸主の言うように、その特約は契約がフリーレントの期間を経過したあとも引き続き存続するという前提での合意であるという点については、借主も異論のないところであろう。
 とすれば、フリーレントの期間満了時の借主からの解約申入れは、解約権の行使というよりは、一種の違約とも権利の濫用ともいい得る行為であろう。
 したがって、本件のトラブルの解決にあたっては、【回答】の結論⑵で述べたとおり、借主側の事情も考慮したうえで、その敷金返還の中で、借主に対し賃料の2分の1程度のペナルティを考えるという対応が適当なのではないかと考えられるからである。

参照条文

 民法第1条(基本原則)
(略)
権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
権利の濫用は、これを許さない。

監修者のコメント

 フリーレント期間の設定は、フリーレント期間終了後は賃料が支払われる、賃貸借が実質的に開始するという当事者の意思に基づくものであるから、回答のとおり、本ケースは一種の違約ということも可能である。しかし、借主が最初からそのつもりであった場合は、信義則あるいは解約の権利濫用により認められないとしても、やむを得ず解約せざるを得ないという事由があるときは、1か月前の予告による解約が何の留保なしに認められる以上は、解約ができると解することも可能である。言い換えれば、貸主は、フリーレント期間が過ぎたのち一定期間は解約できないと約定しなかった以上、仕方がないという考え方である。
 いずれにせよ、訴訟で決着をつけるほどの争いではないと思われるので、回答の解決方向が最も適切と思われる。

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