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売買事例 0904-B-0099
瑕疵担保責任を負わない特約付売買における引渡し後の隠れた瑕疵の発見

 「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約を付けて、売買契約の締結を媒介した。ところが、買主がリフォームに入ったところ、風呂場の外壁から土台にかけて、雨漏りが原因とみられる木部の腐蝕が発見された。このような場合、瑕疵担保責任を負わないという特約の効力はどうなるか。媒介業者はどのように対応したらよいか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、築後20年経っている戸建住宅の個人間売買で、「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約付きで媒介した。

 ところが、物件の引渡し後、買主が風呂場のリフォームに入ったところ、外壁の下部から土台にかけて、かなりの部分に内部の木部の腐蝕(一部白蟻によるもの)があり、結果として風呂場全体の大規模修繕を余儀なくされた。
 原因は、リフォーム業者によれば、主として過去の雨漏りによるものだということであるが、建物の内外装の状態からは、一部最近行ったと思われる雨漏りの修理跡が見受けられるものの、内部の木部の腐蝕までは予測がつかない状況であったということである。
質問
1.  このような場合、「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約の効力はどうなるか。
2. 買主は、売主に対し、修理にかかった費用の一部でも請求したいと言ってきているが、媒介業者としてどのように対応すべきか。
回答
  1.結 論
(1) 質問1.について — 売主が建物内部の腐蝕(隠れた瑕疵)について知っていた場合以外は、特約は有効である(民法第572条)。
(2) 質問2.について — 本件のようなケースにおいては、媒介業者としても通常の価格査定をしているであろうから、もしそうであれば、できれば当事者の話し合いの中で円満解決ができることが望ましい。しかし、それ以上の対応(たとえば、訴訟等による請求)については、原則として、瑕疵担保責任の問題は当事者の問題であるから、当事者の判断に委ねるべきであろう。
 
2.理由
  (1)(2)について
 売主が瑕疵担保責任を負わないという特約が有効であるためには、売主がその瑕疵のあることを知らないことが必要で、もし知っているのにそのことを買主に告げていないというのであれば、その特約は効力を有しない(民法第572条)。
 しかし、売主がその瑕疵のあることを知っていたことの立証は、買主がしなければならないが、その立証をすることは容易ではなく、たとえば過去の雨漏りの際に、壁の中や床下を点検したところ、売主自身も木部の腐蝕や白蟻被害があったことを確認しているというような事実があればともかく、そうでないとすれば、現状の内外装の状況からは、内部の木部の腐蝕までは判らないということであるから、売主に対し、特約の無効を主張するのはかなり難しいと言わざるを得ない。
 したがって、媒介業者としては、あくまでも当事者の話し合いの中で解決ができるよう協力していくにとどめるということになろう。
 なお、本件の【質問】においては、瑕疵担保の免責特約の効力だけが問題になっているが、このような免責特約がある場合に、買主が売主の債務不履行(不完全履行)(民法第415条)あるいは不法行為(民法第709条)を理由に損害賠償請求をするということも考えられる。しかし、そのような請求をするには、売主の過失(たとえば、売主が雨漏りを長年放置していた、あるいは、そのために外壁内部の木部や土台の腐蝕を予測することができたのに説明しなかった、など)を立証するなど、高度な法的判断を必要とするので、それ以上の対応については、お互いに弁護士などの法律の専門家に相談してもらうよう助言するにとどめるべきであろう。
 
参照条文
  ○ 民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
  売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
 
○ 民法第415条(債務不履行による損害賠償)
  前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
 
○ 民法第709条(不法行為による損害賠償)
  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 
監修者のコメント
 
宅建業者が売主で宅建業者でない者が買主となる売買には、宅建業法40条による瑕疵担保責任の特約の制限があり、また、売主が会社のような事業者で買主が消費者である売買には、消費者契約法8条1項5号による全部免除特約の無効の規定があるが、それらに該当しない一般の売買においては、売主が瑕疵担保責任を一切負わない旨の特約は、回答にあるとおり、売主が知りながら告げなかったときを除き、有効である。有効である以上、その条項の拘束を受けるのは当然であって、買主がその瑕疵を知らなかったとか、知り得なかったというのは買主の主張の根拠にはならない。もし、買主が知っていたとか、知り得たのであれば、それは、そもそも「隠れた瑕疵」ではなく、売主に一切責任追及ができないのである。
 ただ、このようなケースの場合、買主が、その瑕疵担保免責特約の法的効果を知らないまま契約をしてしまったということがある。その場合、民法上の錯誤無効(95条)の主張を買主ができるかという大変難しい問題があり、この点、通説とか確立した判例はない。
 したがって、本ケースのような場合、媒介業者としては瑕疵担保責任を売主が負わないことを買主に十分説明した上で契約締結をすることが紛争防止のために肝要である。

より詳しく学ぶための関連リンク

ザ・ライブラリー 松田先生

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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