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掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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1502-B-0192
買戻し特約付物件の売却の可否と留意点

 当社(媒介業者)の事務所に、買戻しの登記がなされた物件を買戻し権者が売却して欲しいと依頼してきたが、依頼を受けても法的に問題ないか。
 問題ないとした場合、どのような点に注意して媒介したらよいか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、先日ある売主(法人)が来社し、「当社は今は物件の所有者ではないが、登記事項証明書にもあるとおり、その物件の買戻し権者である。ついては、いずれ所有権を取得するので、その物件を売ってもらいたい。」と依頼してきた。しかし、当社は今までにこのような物件を取り扱ったことがないので、どのようにしたらよいか迷っている。
 なお、その物件の売主(買戻し権者)は、所有権者とともに市内の法人で、いずれも宅建業者ではない。

質 問

1.  当社は、このような物件の売却依頼を受けても、法的に問題ないか。
2.  問題ないとした場合、当社はどのような点に注意をして媒介したらよいか。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 所有者が売却に同意しているのであれば、特に法的に問題はないが、念のため両法人の関係と買戻し特約の登記をした経緯・理由を確認しておく必要がある。
 質問2.について ― まずは売主が、本件の売却に伴う売買契約のどの時点で所有者から所有権を取得するのかということと、その場合の方法として、売主が買い戻し権を行使することにより所有権を取得するのか、それとも別の方法で所有権を取得するのか等の確認である。そのあとのことは、売主が約束どおり買戻しの登記を抹消したうえで、買主に所有権の移転と物件の引渡しをすることを信じるしかない。
2.  理 由
について
 買戻しの登記というのは、不動産の売買契約の当事者が、その契約締結と同時に、10年以内の期間を定めて、その期間内に売主が受領した売買代金と契約の費用を買主に返還してその売買契約を解除することができる旨の特約をし(民法第579条、第580条)、その特約についての第三者対抗要件を具備するために行った登記のことをいう(民法第581条、不動産登記法第96条)。
 したがって、本件の場合は元の所有者である買戻し権者が貴社に売却を依頼してきたものであるから、現在の所有者がその売却に同意しているのであれば、特に法的に問題は生じないと考えてよいといえる。
について
 本件の買戻し登記(付記登記)をした理由は、おそらく両法人に何らかの金銭的な貸借関係があり、その金融のために債務者である物件の所有者(本件の買戻し権者)がその担保として物件を債権者に売り渡したかたちをとったものと考えられる。したがって、そのように考えると、本件の貴社への売却依頼はその債務の弁済を今回の売却代金で行うということで両者が合意し、依頼されたものと考えることができる。
 しかし、売主(買戻し権者)が「いずれ所有権を取得する」と言っているので、それがどのような意味なのか、たとえば売買の途中で中間金を受領し、それを債務の弁済に充当し買い戻し権を行使して所有権を復帰(移転(注))させるのか、それとも通常どおり売主(買戻し権者)が買主から売買代金の全額を受領し、それをもって債務の弁済に充当し、現在の所有者から買主へ直接所有権の移転登記を行い、合わせて買戻しの登記を抹消するということなのかの確認はしておく必要がある。なぜならば、そのことが明確になっていないと、売買契約の約定内容が決められず媒介活動ができないからである。
(注) 買戻し権の行使による登記は、登記原因を「買戻し」とする所有権移転登記になる。

〔買戻権抹消の登記(買戻権の行使があった場合)〕

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参照条文

 民法第579条(買戻しの特約)
 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
 民法第580条(買戻しの期間)
 買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする。
   買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
   買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。
 民法第581条(買戻しの特約の対抗力)
 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対しても、その効力を生ずる。
  (略)
 不動産登記法第96条(買戻しの特約の登記の登記事項)
 買戻しの特約の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、買主が支払った代金及び契約の費用並びに買戻しの期間の定めがあるときはその定めとする。

監修者のコメント

 買戻し特約の付いている物件の所有者は、買戻し権者でなく、その相手方である。したがって、回答のとおり売却できるとしても相談者が行おうとしている売買は、他人物売買(民法第560条)である。そして、買戻し権者は、かつて売却したときの売買代金と契約費用を当時の買主に提供しなければ、その物件の所有権を取得できない。それらの事情を踏まえた上で、媒介をすることが何よりも肝要である。
 なお、買戻し権それ自体は財産権であるので、買戻し権を譲渡(売買)するという方法があり、この場合、相手方(元の売買の買主)の同意とか承諾を要しない。
 また、本件相談のケースは、元の売買により物件の占有が買主に移転し、買戻し権者は占有していないというのが前提である。買戻し特約付売買のほとんどは債権担保の目的で行われており、実質的には支払われる売買代金は融資であるため、売買という形式を採りながら、占有を買主に移転しないものもあるが、占有の移転を伴わない買戻し特約付売買契約は、特段の事情のない限り、「譲渡担保」の目的で締結されたものと推認され、その性質は「譲渡担保契約」と解するのが相当であるとした最近の最高裁判例(平成18年2月7日)があるので注意されたい。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「他人物売買」

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