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賃貸事例 1502-R-0143
借地権譲渡の承諾の意味、条件と承諾料との関係

 当社は、借地権付建物の売買の媒介をしたが、残金決済前に地主が、「借地権の譲渡は約束どおり認めるが、そのためには地代の値上げが条件だ」と言ってきた。そのため残金決済ができず、買主は売主に対し、約定の違約金を請求してきた。
 このような場合、そもそも地主が借地権の譲渡を認めるということは、現行の賃貸条件と同一の条件で譲渡を認めるということではないのか。承諾料というのはそのためのものではないのか。このような場合、媒介業者としてどのように対応したらよいか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、このたび借地権付建物売買の媒介をした。その際、売主(借地権者)が事前に地主から借地権譲渡の承諾をとっているということだったので、地主からは、単に「○○氏への借地権譲渡を認める」という文書を取り付けただけで、「現行の賃貸条件と同一条件で借地権譲渡を認める」という文言にはしなかった。ただ、地主への承諾料の支払いについては、具体的に、「売買契約締結後、残金決済の期日までに現行の借地人から地主に対し、借地権価額の10%相当額を承諾料として支払う」旨の文書を借地人から地主に差し入れている。
 ところが、その残金決済の間近になって、地主が急に、「今の地代は安すぎる。新しい借地人との地代は、相場に合わせて固定資産税額の3倍にする。それが借地権譲渡の条件だ」と言ってきた。
 そのため、当社はそのことを買主に伝えたところ、それでは契約違反だということで、買主は売主に対し、約定の違約金(借地権および建物の各代価の20%相当額)を支払うよう請求してきた。

質 問

1.  このような場合、そもそもの借地権譲渡の承諾というのは、特段の定めがない限り、現行の賃貸条件と同一の条件で譲渡することを認めるということだと思うが、どうか。
2.  本件の承諾料の額は、現行の借地権をもとに算出されたものであり、地主がその借地人が差し入れた文書の内容に異議を述べていないということは、地主が現行の賃貸条件での譲渡を認めたものと解釈できるが、どうか。
3.  本件のトラブルに対し、媒介業者としてどのように対応したらよいか。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 原則的にはそのとおりであると解されるが、本件の【事実関係】のもとにおいては、必ずしもそうとはいい切れない。
 質問2.について ― 原則的にはそのように解されるが、本件の【事実関係】のもとにおいては、必ずしもそのように解釈できるとは限らない。
 質問3.について ― 本件のトラブルの原因は、売主(借地権者)と貴社(媒介業者)が、それぞれの立場において事前に本件の借地権譲渡の条件を地主に確認していなかったことにあるので、これを話し合いで解決するということであれば、1つの方法としては、現行の地代と固定資産税額の3倍との差額を調整するために、地主に支払う譲渡承諾料の額を増額する等の方法により解決し、その増額分の一部を貴社が媒介手数料を減額する等の方法により分担するということであろう。
 なお、この場合の話し合いにおける留意点としては、現行の地代がいくら安いといっても、法的手続で改定する場合には、そう簡単に値上げが認められるものではないということと、実際にはその差額のあいだをとって決まることが多いということを地主によく説明し、今後のことは、次の更新時において新しい借地人との間で話し合ってもらうことであろう。
2.  理 由
⑴〜⑶について
 質問の1・2は、いずれも原則的には質問者のいうとおりであると解されるが、本件の【事実関係】においては、現実の問題として、地主が「地代については同じ条件での譲渡を認めない」と言っており、それもその「承諾料」の受領前に言っているわけであるから、今回のトラブルの原因は、結論で述べたとおり、売主および媒介業者の事前の確認もれによって生じたものであると言わざるを得ず、したがってその対応としては、結論⑶で述べたような対応が、当事者間の話し合いによって解決する場合には適当であると考えられる。
 なぜならば、通常地主は不動産取引の素人であり、借地権の譲渡を認めた場合には、その新しい借地人と契約をし直すというような誤解をしている地主もあるので、本件の貴社(媒介業者)が地主から受領した「譲渡を認める」という文書が、その文書だけで現行の賃貸条件と同一条件での譲渡を認めるという文書であると解釈するには、何か別の、たとえば同一条件と推定できるような文言や承諾料の計算方法等が記載されているものを、地主から別途に取り付けているというような補強材料が必要ではないかと考えられるからである。その意味で、貴社の文書の取り付け方に非がないとはいえない。
 そのように考えてくると、本件の質問2.に関連する「承諾料」の支払に関する文書についても、その文書は、借地権者が、地主に承諾を求めるために、あるいは地主から承諾があったときに、その対価として支払う旨の文書として差し入れているものと解され、その文書が、地主との間で同一条件での譲渡を認める合意が成立した後に差し入れられた文書であるとか、同一条件での譲渡を認める趣旨の文書であることが何らかのかたちで推定できるものがない限り、質問1.の場合と同様に、その「承諾料」の額について地主から異議がないからといって、現行の賃貸条件との同一の条件で譲渡を認めるという解釈は必ずしもできないということになるからである。
 なお、質問3.の本件トラブルに対する媒介業者としての対応として、もし当事者が法的な手続で解決を図るとした場合、その当事者が同一条件での承諾の有無を争うにしても、借地借家法に基づく地主の承諾に代わる許可の裁判を求めるにしても(借地借家法第19条)、そのようなことをすればおそらく本件の取引は流れてしまい、媒介業者にとっては何のメリットもなくなってしまうからである。

参照条文

 借地借家法第19条(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
  ~⑦ (略)

監修者のコメント

 借地権の譲渡というのは、理論的に言えば借地権の内容や条件について同一性を保ったまま、借地権者が交替することであるから、何らの留保なく「○○氏への譲渡を承諾する」ということは、契約条件もそのまま移転することを認めたとみるのが妥当である。したがって、地代値上げが条件であるという主張を譲渡承認のあとに言い出すのはおかしいとの理解はもっともである。しかし、法律の素人が借地権者の交替によって借地条件の変更も可能と考えることをあながち責めることもできない。
 本件トラブルの原因は、地主の承諾を求めるに当たって、新借地人との契約はどうなるのかを明確に地主に示さなかったからである。
 回答のような解決法が現実的である。

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