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売買事例 0708-B-0029
「履行の着手」の有無を媒介業者が判断することの是非

買主の建築確認の先行取得を停止条件とする土地売買契約において、買主が建築資金まで含めた資金手当てを完了している段階で、売主の手付倍返しによる契約解除は認められるか。

事実関係
 当社は、非業者間の土地の売買の媒介をした。その媒介の際に、買主は、「土地の購入後、すぐに家を建てたいので、先に建築確認申請をさせて欲しい。もし売主が、土地の売買を先行させたいと言うのなら、その建築確認が下りることを停止条件にしたい。」と言ってきた。
 そこで、当社が売主にかけ合ったところ、売主の了解が得られたので、売買代金を4,000万円、手付金を200万円、違約金を400万円とすることで双方合意し、直ちに売買契約締結の手続に入った。そして、買主は、建築確認も取得し、土地代金のほか、建築資金についての銀行借入れの手続も完了し、その旨を売主にも伝えた。
 ところが、売主は、その3日後に手付倍返しによる契約解除を申し入れてきた。なお本件の場合、手付解除の期限については双方の希望により定めていない。
質問
1.   買主は、「自分はすでに建築確認を取得しており、建築資金までの手当ても完了し、その旨を売主に通知しているので、履行に着手している。したがって、売主の手付倍返しによる契約解除は認められない」と主張している。この主張は正しいか。
2.  当社(媒介業者)は、このような場合どのように対応したらよいか。
3.  当社は、契約当事者に対し、媒介手数料を請求することはできるか。
回答
1.結論
(1)  質問1.について
 (今までの判例の考え方によれば)微妙であるが、買主の主張は正しいとはいえない。
(2)  質問2.について
 媒介業者としては、売主・買主双方に、「買主の履行の着手」についての解釈の基準を示した判例を例示するにとどめ、あとは弁護士などの専門家に相談してもらった方がよい。
(3)  質問3.について
 請求することができる。
2.理由
 売主および買主にどのような行為があれば履行の着手になるかについては、一般に「単なる履行の準備だけでは足りず、客観的に外部から認識しうるかたちで債務の内容たる給付(売主は「土地の引渡し」「所有権の移転登記」、買主は「代金の支払」)の実行に着手すること、すなわち、債務の履行行為の一部をなし、または、履行の提供(たとえば、代金の受領と引き換えに土地の引渡し、所有権移転登記手続をとるよう催告するなど)をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す。」といわれている(最大判昭和40年11月24日民集19巻8号2019頁)。
 そして、買主における履行の着手の基準を示す一つの判例として、最高裁は「(代金を調達しただけでは足りず)家屋の買主が売主に対して再三家屋の明渡しを求め、それが実行されれば、いつでも代金を払える状態にあった場合の買主」について履行の着手があったものとしている(最判昭和26年11月15日民集5巻735頁)。
 しかし、いずれにしても、この履行の着手の問題は個別の事案ごとに判断されるので、一律に基準を示すことは難しい。
 したがって、本件において、売主の手付倍返しによる契約の解除が認められるかというのは、最終的には裁判所が判断する問題となるので、貴社としては、媒介業者としての判断を示すのは危険であり、【結論】(2)のごとく対応するのが適切であると考える。
 なお、貴社の媒介手数料については、すでに停止条件(買主の建築確認の取得)が成就しているので、契約は有効に成立しており、売主・買主いずれに対してもできる。
監修者のコメント
 手付解除ができるか否かの基準である相手方の「履行の着手」の意義については、【回答】「2.理由」欄にある昭和40年11月24日付の最高裁判例が、その後の下級審の判断基準とされているが、それでも、やや抽象的で具体的なケースへのあてはめは、かなり難しい。
 本事案では、おそらく【回答】のとおり、買主の履行の着手はまだない、といえるであろうが、裁判になった場合は、あらゆる事情を総合判断して、結局は「公平」の観点から判断されるので、具体的事案について法律専門家に相談するのも一方法である。

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