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売買事例 1010-B-0125
土壌汚染の可能性のある土地の売却方法

 宅建業者が、土壌汚染の可能性のある自社の土地を売却するにあたり、事前に表土の調査をし、その結果を買主に告知することにより、「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約付で、同じ宅建業者に売却したい。このような売り方をすれば、売主業者は瑕疵担保責任を免れることができるか。

事実関係
 当社(宅地建物取引業者)は全国にかなりの土地を保有しているが、その中には土壌汚染対策法上の環境基準を超える土地もあるのではないかと心配である。
 そこで、それらの土地を売却する場合に、できるだけ宅建業者という不動産取引のプロに売却し、問題を後に残さないようにしたいとい考えている。
質問
  1.  当社(宅建業者)がそのような汚染の可能性のある土地を宅建業者に売却するにあたり、事前に5mないし10mメッシュで表土の調査を行い、その調査の結果を買主に明示・説明したうえで、「当社は瑕疵担保責任を負わない」という特約を付けて売却する場合、調査の結果が汚染の基準値を超えるケースと超えないケースとでは、当社の責任に差異が生じるか。
2.  仮に差異が生じるとしても、買主も宅建業者である以上、「瑕疵担保責任を負わない」という特約は有効だと思うが、どうか。
3.  完全に瑕疵担保責任を負わない売却方法はあるか。
4.  当社が、事前の調査を一切しないで、売主の瑕疵担保責任を免責する特約付で売却した場合、当社にはどのような責任が生じるか。
回答
  1.結論
(1)  質問1.について — 差異が生じる可能性もある。
(2)  質問2.について — 必ずしも有効だとはいえないケースもあり得る。
(3)  質問3.について — 「完全」という方法はないと考えるべきである。
(4)  質問4.について — 貴社が土壌の汚染を予測し得たにもかかわらず、その旨を告知しないで売却した場合には、貴社の債務不履行や不法行為による損害賠償責任が考えられる。
 
2.理由
(1)  貴社が「瑕疵担保責任を負わない」という特約を付けて売却し得る相手方は宅建業者以外にない。なぜなら、宅建業者が売主となり、宅建業者以外の者が買主となる宅地建物の売買においては、宅建業法第40条の規定により、売主である宅建業者が瑕疵担保責任について特約をする場合には、買主に対し物件の引渡しの日から2年以上瑕疵担保責任を負うとする場合を除き、民法570条において準用する同法第566条第3項に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされているのであるが、宅建業者同士の売買であれば、宅建業法第78条第2項の規定により、同法第40条の規定の適用はないとされているからである。その意味において、貴社の売却先の選択は正しいのであるが、問題は、貴社の行う事前の調査が「表層土」だけであるということである。
 たとえば、貴社の「表層土」の調査結果が基準値を超えていないケースの場合に、買主にとっては「基準値を超えていないので購入した」のであるが、あとで買主が詳しく深層土までのボーリング調査をしたところ、基準値を超える有害物質が大量に混入していることが判ったというようなケースの場合には、「特約」そのものが錯誤により「無効」と判断される可能性もあり(民法第95条)、その意味において、「特約」が必ずしも有効だとはいえないケースもあると言わざるを得ない。このことは、基準値を超えているケースであっても、買主が深層土までの調査をしたところ、はるかに高い濃度の汚染物質が混入していることが判ったために、土壌改良のための費用が数倍かかったというような場合には、同じようなことがいえると考えられる。
(2)  したがって、売主が瑕疵担保責任を負わないようにするためには、少なくとも深層土までの調査をするとか、できることなら土壌改良をしたうえで売却する、あるいは引渡すといった方法が適当と考えられるが、それでも「完全」といえるかどうかについては、あくまでもケースバイケースであり、断定することはできないと言わざるを得ない。
 因みに、マンション用地として取引された土地の汚染状況が基準値以下であったとしても、マンション用地としての取引通念上有すべき品質・性能を欠いているとして、「隠れた瑕疵」にあたるとされた事例として、平成14年9月27日の東京地裁の裁判例がある(後記【参照判例】参照)。
(3)  なお、貴社が事前の調査を一切せずに瑕疵担保責任についての免責特約を付けて売却した場合、貴社にどのような責任が生じるかについては、貴社がその土地について汚染を予測し得た場合には貴社の債務不履行(民法第415条)や不法行為(民法709条)による損害賠償責任が考えられるが、予測し得ない土地であったとしても、その被害額が極端に大きい場合には、上記?と同じように、瑕疵担保責任の免責特約が錯誤により「無効」と判断される可能性も全くないとはいえないであろう。
 
参照条文
  ○ 宅地建物取引業法第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限)
(1)  宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法(明治29年法律第89号)第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
(2)  前項の規定に反する特約は、無効とする。
 
○ 宅地建物取引業法第78条(適用の除外)
(1)  この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
(2)  第33条の2及び第37条の2から第43条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
 
○ 民法第95条(錯誤)
 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
 
○ 民法第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
 
○ 民法第709条(不法行為による損害賠償)
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 
参照判例
  ○ 東京地判平成14年9月27日財団法人不動産適正取引推進機構発行RETIO56号(要旨)
 瑕疵の存在の有無は、瑕疵の除去する買主の法的義務の有無ではなく、対象物が取引通念上有すべき性状を欠くか否かによって判断すべきである。
 本件土地における汚染土壌は、浅い位置において、多量のオイル類を含有し、しかも容易に悪臭を発生しうるような状態にあったのであるから、マンション用地として、取引通念上有すべき品質、性能を欠くというべきであり、その存在は、本件土地の瑕疵にあたる。
 
監修者のコメント
 言うまでもなく、宅建業者が宅建業者に売る場合は、宅建業法の瑕疵担保責任の特約の制限の規定(同法第40条)の適用はなく(同法第78条第2項)、免責特約も有効である。ただし、その場合でも売主が知りながら告げなかったときは責任を免れず(民法第572条)、また、理論上、売主が知らなかったとしても重過失があった場合は、知っていた(故意)のと同視すべきものと判断される場合がある。
 土壌汚染の問題は、事がらの重大性から、実務上従来の単なる瑕疵担保の問題として単純に処理できない性質をもつので慎重に対応されたい。
 なお、土壌汚染対策法の対象でもある特定有害物質(25種類)に該当しない土壌汚染(重油、ダイオキシン等)も、レヴェルにより、「瑕疵」となるので注意する必要がある。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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