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掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1010-B-0124
水道管の口径についての説明ミスとその責任問題

 当社(宅地建物取引業者)は社有の宅地を一般の個人に売却した。その際、重要事項説明において現在埋設されている水道管の口径(13mm)を説明したが、東京都区内の場合は、宅地内は20mm管以上でないと水道を引き込むことができないことが判った。買主は「違約」だと言い、「違約金」の請求をしてきた。どのように対応したらよいか。

事実関係
 当社(宅地建物取引業者)は社有の宅地を一般の個人に売却した。その際、買主は通常の戸建住宅を建てるということだったので、重要事項説明において、水道管の口径について現状の敷地内配管の口径(13mm)を説明し、手付金を受領した。
 ところが、その後買主が建物の設計打合せを進める過程で、東京都23区の場合は宅地内配管は20mm管以上でないと水道を引き込むことができないことが判ったため、当社に対し20mm管への変更が可能かどうかの確認を求めてきた。それに対し、当社の担当者が当局への確認もせずに「できる」と回答したことが買主に判ったため、買主は「違約だ」と言って、当社に対し「違約金」の請求をしてきた。
質問
  1.  当社は、「違約」をしたことになるのか。
2.  当社は、重要事項説明義務違反をしたことになるのか。
3.  当社は白紙解除に応じようと思っているが、買主が納得しない。どのように対応したらよいか。
4.  今回は当社みずからが直接売却したものであるが、もし媒介業者に頼んで売却した場合に、媒介業者が同じようなミスを犯したときは、その責任問題はどうなるか。
回答
  1.結論
(1)  質問1.について — 貴社には「違約」というより、売主業者としての不法行為(説明義務違反)による損害賠償義務があるというべきである。
(2)  質問2.について — 貴社には売主業者としての注意義務違反はあるが、現状の口径について説明はしているわけであるから、重要事項説明義務違反をしたということにはならない。
(3)  質問3.について — 貴社が、道路境界からメーター部分までの宅地内引込管を20mm管に変更する費用を負担することにより、解決を図るのが適当と考えられる。
(4)  質問4.について — 貴社と媒介業者との連帯責任(不真正連帯債務)になる(後記【参照判例】参照)。
 
2.理由
(1)〜(3)について
 一般に「違約」というのは、「契約に違反すること」をいうのであるが、本件の場合の買主の言っている「違約」や「違約金」の意味は、(理論的には売主の不完全履行という債務不履行も考えられるが、)いわゆる債務の履行をしないというような契約違反ではなく、売主業者としての水道管についての事前・事後の説明(重要事項説明)が不十分で不誠実なものであったために、買主に「不測の損害が生じた。どうしてくれるのか」ということであるから、これを売主の不法行為(注意義務違反)として捉え、その解決方法としては、売主業者として、【回答】の結論に述べたような部分の費用を負担することにより、円満解決を図るのが適当であると考える。
 なお、【回答】の結論で述べた、売主業者が「道路境界からメーター部分までの宅地内引込管を20mm管に変更する費用を負担する」という理由は、道路内本管から宅地までの道路内配管については、東京都23区の場合にはすでに20mm管が埋設されているので(東京都水道局)、変更の必要がないと考えられるからである。
(4)について
 (後記【参照判例】参照)
 
参照条文
  ○ 民法第709条(不法行為による損害賠償)
   故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 
参照判例
  ○ 大阪高判昭和58年7月19日(要旨)
   買主が、売主である宅地建物取引業者から媒介業者の媒介で土地を買い受けたところ、当該土地に建築規制が存在していたために購入目的である建物の建築ができなくなった事案において、判例は、建築規制の説明義務は土地売買に付随する売主としての当然の義務であり、買主は売主(業者)に対し説明義務の不履行を理由として売買契約を解除し、損害賠償を請求することができるとともに、媒介業者に対し重要事項説明義務違反による不法行為により損害賠償を請求することができるのであって、両者はいわゆる「不真正連帯債務(注)」の関係にあるとしている。
  (注) たとえば、友人同士2人が賃貸マンションを借りたとする。この場合、2人には共同賃借という主観的関連があるので、このような主観的関連のある債務(この場合、「賃料債務」など)を「連帯債務」という。これに対し、本件の判例のような場合には、売主の損害賠償債務と媒介業者の損害賠償債務は偶然に発生したものに過ぎず、両者の間には主観的関連がない。このような主観的関連のない債務を「不真正連帯債務」といい、この2人の間には連帯債務者間にはある「負担部分」というものがなく、それを前提とする「求償権」もないので(民法第442条第1項)、それぞれが債務の全額を負担する責任が生じ、そのうえで当事者間で負担割合を話し合うことになる。
 
監修者のコメント
 本ケースは、宅地内の水道管口径が20mm以上でないと水道を引き込むことができないというのであるから、宅地の「瑕疵」というべき問題と解され、瑕疵担保責任の損害賠償に代えて、20mm管への変更工事の費用を売主業者が負担するという解決が適切と考える。
 媒介業者が同じミスをしたという場合は、重要事項説明違反というより、媒介契約の受任者として負う善管注意義務の一内容である「調査義務」の違反になり、売主の負う瑕疵担保責任と共同してその責任を負うことになる。

より詳しく学ぶための関連リンク

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