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売買事例 1404-B-0177
保留地予定地の転売とその法律上の諸問題

 土地区画整理事業地内の保留地予定地を購入した会社から、換地処分前にその土地を転売したという申し入れを受けたが、そのようなことができるのか。そもそも保留地予定地の売買というのは、どのような売買なのか。保留地予定地の売買にも、清算金の問題が生じるのか。保留地の所有権移転登記は、いつ、どのように行われるのか。それまでは、保留地についても従前地について所有権移転登記がなされるのか。

事実関係

 当社は不動産取引の媒介業者であるが、このたび県が施行者になっている土地区画整理事業地内の保留地予定地を購入した会社から、その土地を売却して欲しいという依頼を受けた。

質問

  •  このような保留地予定地を購入した会社が、換地処分前に、その保留地予定地を第三者に転売することはできるのか。
  •  そもそもこの保留地予定地の売買というのは、どのような売買なのか。
  •  この保留地予定地というのは、面積が確定しているのか。換地処分後に「清算金」が授受されるというようなことはないのか。
  •  保留地予定地の買主への所有権移転登記は、いつ、どのように行われるのか。それまでは、従前地についての所有権移転登記がなされるのか。
  •  聞くところによると、大規模な土地区画整理事業地の場合には、工区ごとに換地処分がなされることもあるというが、本当か。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 施行者との間に転売禁止の特約がない限り、施行者に届け出るか、その承認あるいは許可を得て転売することができる。なお、保留地の処分方法については、施行規程に細目が定められているので、その規程に反しないことが前提となる(土地区画整理法第53条第2項第6号、第108条)。
 ちなみに判例は、「保留地の買受人が、その処分について土地区画整理組合の承認を要する旨の規約に違反して譲渡したときは、その所有権移転の効力は生じない。」としている(東京地判昭和30年12月2日下民集6巻12号2553頁)
 質問2.について ― 保留地は、換地処分の公告の日の翌日に施行者が所有権を取得することになっており(土地区画整理法第104条第11項)、その間は施行者は使用収益権のみを有している(土地区画整理法第100条の2)。したがって、換地処分前の保留地予定地の売買は、その使用収益権の譲渡と、換地処分の公告がなされることを停止条件とする一種の「他人物売買」(民法第560条)との複合契約と解される。
 質問3.について ― 保留地予定地については、仮換地と同様、売買契約の締結時に必ずしも面積が確定しているとは限らないが(換地処分前に最終測量を行う。)、かといって「清算金」が授受されることはない。なぜならば、保留地は「換地」として定められるものではないからである(土地区画整理法第96条、第94条)。
 なお、再測量の結果、売買された保留地予定地の面積に増減が生じたときは、売買契約書の約定に従い、売買代金そのものを清算するようになっているのが普通である。
 質問4.について ― 保留地予定地の所有権移転登記は、換地処分後に施行者が法務局に一括登記申請を行い、施行者への保留地としての所有権保存登記がなされたのちに、買主への移転登記がなされる(土地区画整理法第107条、第104条第11項)。したがって、仮換地の売買の場合のように、その間は従前地についての所有権移転登記がなされるというようなことはない。
 質問5.について ― 本当である(土地区画整理法第86条第3項)。しかし、実際に工区ごとに換地処分がなされるケースは少ない(東京都都市整備局)。

参照条文

 土地区画整理法第53条(施行規程)
 前条第1項の施行規程は、当該都道府県又は市町村の条例で定める。
 前項の施行規程には、左の各号に掲げる次項を記載しなければならない。
一~五 (略)
六 保留地を定めようとする場合においては、保留地の処分方法に関する事項
七、八 (略)
 同法第86条(換地計画の決定及び認可)
、② (略)
 施行地区が工区に分かれている場合においては、第1項の換地計画は、工区ごとに定めることができる。
、⑤ (略)
 同法第94条(清算金)
 換地又は換地について権利(中略)の目的となるべき宅地若しくはその部分を定め、又は定めない場合において、不均衡が生ずると認められるときは、(中略)、金銭により清算するものとし、換地計画においてその額を定めなければならない。(以下、略)。
 同法第96条(保留地)
 (中略)土地区画整理事業の換地計画においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、(中略)、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる。
、③ (略)
 同法第100条の2(仮換地に指定されない土地の管理)
 (中略)従前の宅地若しくはその部分について使用し、若しくは収益することを停止させた場合において、それらの処分に因り使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地又はその部分については、当該処分に因り当該宅地又はその部分を使用し、又は収益することができる者のなくなったときから第103条第4項の公告(注1)がある日までは、施行者がこれを管理(注2)するものとする。
(注1) 第103条第4項の公告とは、「換地処分があった旨の公告」のことである。
(注2) ここでいう「管理」とは、保留地予定地については、換地処分の公告がある日まで、当該予定地を第三者に使用収益せしめて、これを事業費に充当して、事業を進めていくことをいう。
 同法第103条(換地処分)
 換地処分は、関係権利者に換地計画において定められた関係事項を通知してするものとする。
 換地処分は、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において、遅滞なく、しなければならない。ただし、規準、規約、定款又は施行規程に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。
 (略)
 国土交通大臣は、換地処分をした場合においては、その旨を公告しなければならない。都道府県知事は、都道府県が換地処分をした場合又は前項の届出があった場合においては、換地処分があった旨を公告しなければならない。
、⑥ (略)
 同法第104条(換地処分の効果)
〜⑩ (略)
 第96条第1項又は第2項の規定により換地計画において定められた保留地は、前条第4項の公告があった日の翌日において、施行者が取得する。
 同法第107条(換地処分に伴う登記等)
 施行者は、第103条第4項の公告があった場合においては、直ちに、その旨を換地計画に係る区域を管轄する登記所に通知しなければならない。
 施行者は、第103条第4項の公告があった場合において、施行地区内の土地及び建物について土地区画整理事業の施行に因り変動があったときは、政令で定めるところにより、遅滞なくその変動に係る登記を申請し、又は嘱託しなければならない。
、④ (略)
 同法第108条(保留地等の処分)
 (中略)施行者は、第104条第11項の規定により取得した保留地を、当該保留地を定めた目的のために、当該保留地を定めた目的に適合し、かつ、施行規程で定める方法に従って処分しなければならない。(以下、略)
 (略)

監修者のコメント

 保留地予定地は、回答のとおり、換地処分の公告の日の翌日に施行者が所有権を取得するので、それまでは施行者は管理権を持つのみで、所有権を有しないので登記もできない。そのため保留地予定地の買主の使用収益権の内容をめぐって、売買契約の法的性質について学説上争いがある。いずれにせよ、保留地ないしその予定地については施行者がその取扱いについて規則や要領を定めていることが多いので、契約前に十分その調査をしておく必要がある。

より詳しく学ぶための関連リンク

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