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賃貸事例 1404-R-0133
平成23年の更新料裁判における最高裁の判決の趣旨と法定更新の場合の更新料請求との関係

 建物賃貸借契約における更新料の支払特約が、法定更新の場合にも有効かどうかについては、裁判所の見解が分かれているように見えるが、賃貸管理業者としては、会社としての統一見解を出し、統一した対応をすべきだと思っている。
 ついては、平成23年の更新料裁判における最高裁の判決の趣旨に鑑み、一般的な2年更新の賃貸借契約で、更新料が賃料の1か月分程度の特約であれば、法定更新の場合にもその特約が有効なものとして、借主に対し更新料の支払請求ができると思うが、どうか。

事実関係

 建物賃貸借契約において、更新料の支払特約があるにもかかわらず、法定更新の場合に、更新料の請求が認められない裁判例がある反面(後記【参照判例①】参照)、認める裁判例もあり(後記【参照判例②】参照)、裁判所の見解は必ずしも統一されていないように見える。
 しかし、賃貸借契約の媒介や管理業務を行っている当社としては、このままでは業務の混乱を招くだけであり、この際会社としての統一した見解を出し、統一した対応をしたいと考えている。

質問

  •  平成23年に最高裁判所が出した更新料裁判における判決は、「契約の当事者が、更新料について、支払う旨の明確な合意をし、かつ、その合意の内容、特に借主が貸主に支払う更新料の額が具体的な取引において、客観的に見て暴利的でないなどの合理性がある場合には、その特約は消費者契約法第10条の規定に反しない。」つまり、有効であると判示したものと解釈できるが、そのような理解でよいか。
  •  もしそのような理解でよいとした場合、その最高裁判所の判決の趣旨に鑑み、当社としては、賃貸借の期間が2年で、更新料の額が賃料の額の1か月分程度の特約であれば、法定更新の場合にも、貸主は借主に対し更新料の支払いを請求することができると思うが、そのように考えて問題ないか。
     もちろんその場合、賃料の額が社会的にも経済的にも妥当な額であり、更新料の支払特約の内容が事前の重要事項説明の段階においても書面で説明され、賃貸借契約書の特約欄にも明文で定められていることが前提である。

回答

1. 結 論
 質問1.について ― 原則として、そのような理解でよいと解される。
 質問2.について ― 更新料の支払いについて、当事者間に合意更新の場合にのみ支払うというような特別な事情や取り決めでもない限り、原則として問題ないと解される。
2. 理 由
⑴⑵について
 平成23年の更新料裁判における最高裁の判決の趣旨は、まさしく質問1.にあるような内容のものと解してよく(後記〔平成23年7月15日の更新料裁判における最高裁判所・判決要旨〕参照)、その理由として、更新料の性質について、当事者が明確な取り決めをしていないために、裁判所としては、一般的な更新料授受の実情や賃貸借契約の諸条件等を総合的に検討し、最終的に、「当事者間に明確な支払い合意があるのか」、「その合意の内容、とりわけ更新料の額が暴利的でないなどの合理性があるのか」の2点に絞って、その有効、無効を判断したものと考えられるからである。したがって、その最高裁の判決の趣旨を鑑みた場合、2年更新の賃貸借で、更新料の額が賃料の額の1か月分程度の特約であれば、その特約が不合理なものとは到底考えられず、当事者間にそれを合意更新の場合にのみ支払うというような特別な事情や取り決めでもない限り、法定更新の場合にも有効な特約として、借主に対し、その支払いの請求をすることができると解される。なぜならば、法定更新の場合であっても、借主は、貸主から「正当の事由」を具備した通知がなされない限り、更新が拒絶されることはなく(借地借家法第26条第1項、第28条)そのほとんどの場合、合意更新の場合と同じように賃貸借の目的物を継続使用することができるので、法定更新の場合の更新料についても、少なくとも賃貸借契約を継続することができるそれなりの対価性を有するものと認めることができるからである(後記〔平成23年7月15日の更新料裁判における最高裁判所・判決要旨〕①参照)。

参照条文

借地借家法第26条(建物賃貸借契約の更新等)
 建物の賃貸借について期間がある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
、③ (略)
同法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
 建物の賃貸人による第26条第1項の通知または建物の賃貸借の解約申入れは、(中略)、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

参照判例①

(法定更新の場合に更新料支払特約の適用を否定するもの)
東京高判昭和54年2月9日判時927号200頁
東京高判昭和56年7月15日東高民35巻166頁
東京地判平成2年7月30日判時1385号75頁
東京地判平成3年5月9日判時1407号80頁

参照判例②

(法定更新の場合にも更新料支払特約の適用を肯定するもの)
 東京高判昭和53年7月20日判時904号68頁
 東京地判昭和57年10月20日判時1077号80頁
 東京地判平成2年11月30日判時1395号97頁
〔平成23年7月15日の更新料裁判における最高裁判所・判決要旨〕
 更新料の性質について
 更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払いによって賃借人が円満に物件の使用が継続できることからすると、更新料は、一般に賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。
 消費者契約法第10条の適用について
 本件の賃貸借契約は、消費者契約法第10条にいう「消費者契約」に当たり、本件の更新料条項は、一般的には任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものであるというべきであるが、当該更新料条項を無効とする要件としての当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは、消費者契約法の趣旨、目的に照らし、当該条項の性質、契約が成立に至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきところ、一定の地域において、期間満了の際、賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや、従前の和解手続等においても、これを公序良俗に反するなどとして、当然に無効とする取扱いがなされてこなかったことからすると、更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、当事者間で更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に、当事者間に更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力についての看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
 よって、本件賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が、賃料の額、更新される賃貸借の期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。

監修者のコメント

 更新料支払特約が、消費者契約法第10条に該当し無効か否かに関する最高裁判決の対象事案は3つあり、①月額賃料4万5,000円、契約期間1年、更新料10万円、②月額賃料5万2,000円、契約期間2年、更新料賃料の2か月分、③月額賃料3万8,000円、契約期間1年、更新料賃料の2か月分という3つであったが、最高裁は、いずれも特に高額とはいえないとし、有効な特約と判断している。①は、1年ごとに賃料の2か月分を超える更新料を支払うというものであり、最高裁の考えが窺える。
 なお、消費者契約法の適用がある建物賃貸借は、「個人」が「居住用」の建物を借りる契約であって、法人が借りる場合や個人が業務用(店舗、事務所など)の建物を借りる契約には同法の適用がない。しかし、一般民事法上の問題として、更新料支払特約の有効性が争われる余地がないではないが、やはり当事者が明確な支払合意をし、その額が特に高額でない限り有効と解されるであろう。

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