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賃貸事例 1306-R-0119
建物賃貸借契約における敷金と保証金の違い

 建物賃貸借契約の締結に際し授受される敷金と保証金は同じものか。
 保証金は、居住用の建物賃貸借契約を締結する場合にも授受されるのか。
 建物の明渡し時に保証金の一部を償却するという特約をした場合、その償却される保証金はどういう性質の保証金か。契約の更新ごとに保証金の一部を償却し、その償却額を借主が補充するという特約をした場合、その償却される保証金はどういう性質の保証金か。

事実関係

 当社は賃貸の媒介業者であるが、最近の建物賃貸借契約においては、敷金と保証金の違いがよくわからなくなるようなケースがある。その理由は、敷金の償却については、いわゆる「敷引き」ということで比較的わかりやすいが、保証金の償却ということになると、これは業務用の建物の場合に限られるのではないかという感じがするし、それも単に建物の明渡し時に償却するだけでなく、契約の更新時にも償却することもあるので、その保証金の法的性質がよくわからない。

質問

  •  敷金と保証金は同じものか、それとも違うものか。もし同じだとしたら、賃貸借物件が売買された場合、保証金も敷金と同じように、買主にその返還債務が承継されるのか。
  •  保証金は居住用の建物賃貸借契約を締結する場合にも、授受されるのか。
  •  建物賃貸借契約の締結に際し、建物の明渡し時に保証金の一部を償却するという特約をした場合、その償却される保証金はどういう性質の保証金か
  •  契約の更新ごとに保証金の一部を償却し、その償却額を借主が補充するという特約をした場合、その償却される保証金はどういう性質の保証金か。

回答

1.   結 論
 質問1.について ― 最近の保証金は、敷金(借主の債務の担保)として授受されるケースが多く、その限りにおいては同じものである。したがって、そのようなケースにおいては、賃貸借物件が売買された場合には、保証金の返還債務も買主に承継されるが(最判昭和44年7月17日民集23巻8号1610頁=後記【参照判例】参照)、保証金を「建設協力金」として授受するなど、敷金以外の目的で授受したり、敷金以外の目的が混合したものとして授受しているケースの場合には、その敷金部分だけが買主に承継されると解される(最判昭和51年3月4日民集30巻2号25頁=後記【参照判例】参照)。
 質問2.について ― 居住用の賃貸借の場合にも保証金名目で授受されることはあるが、その実質は敷金であることが多い。
 質問3.について ― いわゆる「敷引き」としての性質を有する償却でない限り、「権利金」ないし「礼金」としての性質を有する保証金と解される。
 質問4.について ― 「更新料」としての性質を有する保証金と解される。
2.   理 由
⑵について
 敷金は、賃貸借契約の締結に際し、借主から、賃料債務その他の債務を担保する目的で貸主に交付される金銭で、契約終了の際に、借主に債務不履行があればその額が減額され、債務不履行がなければその全額が借主に返還されるものをいうが、保証金についても、同様の目的で貸主に交付されるケースが多い。したがって、その債務の担保として差し入れられた保証金については、結論で述べたように、賃貸借物件が売買されれば、その返還債務は買主に承継されるというのが判例である(後記【参照判例】参照)。
 そして、それらの敷金や保証金は、建物が居住用のものであると業務用のものであるとを問わず授受されているが、どちらかといえば、居住用のものは敷金名目で授受されることが多く、業務用のものは敷金、保証金の両名目で授受されている。その理由は、従来、借主からの借入金としての法的性質を有していた「建設協力金」名目で授受されていた金銭が、時代の変化とともに、「保証金」名目で授受されるようになったことからきているといわれている。
について
 権利金は、一般に土地の賃貸借の場合と同様に、権利設定の対価、すなわち借家権設定の対価として借主から貸主に支払われるもので、返還されないものと解されているが、建物賃貸借の場合には、そのほかに飲食店などのケースでは、賃借権譲渡の事前承諾の目的で授受されることもある。
 一方、礼金の授受については、借家だけについての戦前からの慣行のようで、これも返還されないものであるが、どのような法的性質を有するものであるかは定かでない。
 しかしいずれにしても、保証金の一部を建物の明渡し時に償却するということは、契約の締結時にその償却分が返還されないことが確定するので、その意味において、権利金ないし礼金と同様の法的性質を有するものと解することができる。
について
 更新料の法的性質については、種々のものが考えられるが、一般的な当事者の意思解釈としては、更新の対価、すなわち更新契約に基づく期間設定の対価と解され、その意味において、借主が契約の更新ごとに一定の償却額を補充するのは、契約の存続を確たるものにするためのものであり、期間を定めた賃貸借の場合には、その償却される保証金はまさに更新料としての法的性質を有するものと考えられる。

参照判例

最判昭和44年7月17日民集23巻8号1610頁(要旨)
 建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務が新賃貸人に承継される。
最判昭和51年3月4日民集30巻2号25頁(要旨)
 賃貸ビルの譲渡に伴い、建設協力金としての保証金を移転せしめる慣習がない場合には、譲受人である新賃貸人と賃借人との間に保証金関係は当然には承継されない。

監修者のコメント

 敷金の法的性格は回答のとおりであるが、保証金とは何かというと、その法的性格は様々である。建設協力金であったり、単なる金銭消費貸借であったり、権利設定の対価であり、また関西地域では敷金のことを保証金と呼ぶことが多い。したがって、「保証金」名目の金銭であっても、それが敷金の性格をもつものであれば、賃貸建物の譲渡により、原則として新貸主にその返還債務が承継される。それゆえ、現実に授受された保証金名目の金銭が敷金の性格をもつのか、それ以外の性格をもつものなのか自体が裁判で争われることもある。その判断は当事者の意思がどうであったかの認定問題であるが、授受された保証金のうち家賃の6か月分だけが敷金だ、とされた裁判例もある。また、敷金の性格をもたない保証金でも償却ということもあり得る。原則的には契約自由の原則の範囲内の問題である。
 なお、「更新料」については、居住用建物におけるその性格を、近次、最高裁は、「一般に、賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するもの」と述べている(最高裁・平成23年7月15日判決)。

より詳しく学ぶための関連リンク

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