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2601-B-0352
使用目的を資材置場として賃貸した土地の一部に賃借人所有の建物がある場合の借地権の成否。

資材置場として賃貸借された土地上の一部に賃借人が建築した簡易な建物が存在する。賃貸人が期間満了による契約終了を告げたが、賃借人が借地権を主張し、契約継続を要求して土地を売却することができない。

事実関係

当社は、不動産の媒介業者である。付き合いのある地主から土地の売却を依頼された。その土地は、10年前から賃借人である地元の建築会社に資材置場として賃貸しているものである。賃借人の土地の賃貸借契約条件として資材管理のためのプレハブ構造の簡易な事務所を賃貸借対象土地の一部に設置したいとの希望があった。賃貸人と賃借人との賃貸借契約書に土地の使用目的を資材置場とし、敷地の一部に仮設事務所の構築を認めるが、保存登記はしない旨の約定をした。
 賃貸人は、賃借人に対し、10年の約定期間満了により契約の終了と退去を通知したところ、賃借人は、建物が存在することにより借地権の存在を主張し、更新が可能であると言い、退去には応じられないと回答してきた。

質 問

資材置場として賃貸借した土地上に賃借人の建物がある場合、賃借人は借地権を主張することができるか。

回 答

1.  結 論
  契約締結の経緯や、土地の広さ、建物の種類・構造・規模などの具体的事情によるが、使用目的が資材置場とされ、資材管理のためのプレハブ構造の簡易な事務所を、賃貸借対象土地の一部に設置したにとどまるということであれば、通常は、建物所有を主たる目的とする契約ではないと評価され、借地借家法上の借地権は成立しない。
2.  理 由
土地の賃貸借契約には、借地借家法の適用を受けるものと適用外がある。借地借家法の適用を受ける借地契約は、賃借人の土地使用目的が、建物の所有を目的とする賃貸借や地上権に限られる(借地借家法第1条、同法第2条第1号)。同法において借地権の存続期間(同法第3条)、更新の要件(同法第4条他)、効力(同法第10条)等の規定を定め、借地人の権利を保護している。これに対して、駐車場や資材置場など、建物所有を目的にしない土地賃貸借は、民法が適用され、賃貸借の期間が50年を超えない限り、自由に期間設定ができるが、合意による更新をしなければ約定した期間で契約は終了する(民法第604条)。
  土地の賃貸借契約において、ときとして借地権の適否が問題になるのは、借地上に賃借人所有の建物が存在する場合である。中古自動車の展示販売用地目的の賃貸借で事務所用の仮設建物があった借地契約で借地権の存在で争いになった裁判例で「解体が容易な簡易な建物であること、本件建物等の敷地面積は本件土地の面積の極一部を占めるにすぎないことが認められるから、本件土地の賃貸借契約は、本件土地を中古自動車展示販売の用地として使用することを主たる目的として締結されたもので、建物の所有は従たる目的にすぎないものというべきである」と建物所有が従たる目的の場合は借地権に該当しないとしたものがある(【参照判例①】参照)。借地権が成立するには、土地の賃借の主たる目的が建物所有目的でなければならないのである。同様の裁判例として、ゴルフ場用地として土地を賃借していた賃借人の賃料減額要求に対し、「本件契約においては、ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎないし、また、本件土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないから、本件契約につき借地借家法11条の類推適用をする余地はない」と、借地借家法に基づく借地人の権利である減額請求権を否定したものがある(【参照判例②】参照)。ゴルフ場の建物(クラブハウス)でも建物所有目的が認められなかったものである。
  その他、借地に建物があり、建物と一体利用していたものの、主目的が建物所有であることを認められなかった裁判例として、隣接土地の幼稚園の運動場(最高裁平成7年6月29日)などがある。
  一方、「自動車運転教習コースのみならず、自動車学校経営に必要な建物所有をも主たる目的として本件賃貸借契約を締結したことが明らかであり、かつ、自動車学校の運営上、運転技術の実地練習のための教習コースとして相当規模の土地が必要であると同時に、交通法規等を教習するための校舎、事務室等の建物が不可欠であり、その両者が一体となってはじめて自動車学校経営の目的を達しうるのであるから、自動車学校経営のための本件賃貸借は借地法1条(現行、借地借家法第2条第1号)にいわゆる建物の所有を目的とするものにあたる」とした裁判例がある(【参照判例③】参照)。
  土地賃貸借において借地借家法が適用(借地権)になるためには、賃貸借の主たる目的が建物所有であり、契約書に明確に記載することが必要であるが、適用の有無に関して争いとなった場合は、契約締結の経緯、契約書文言、建物構造等により判断されることになる。賃借人の契約条件に、建物を建築する要望があるときは、土地賃貸借契約にあたり、事前に賃借人から建築予定建物の構造や面積、建築位置、利用目的等を明確にしてもらい、これを契約書に記載して遵守してもらうことが肝要であり、必要に応じて借地借家法の適用の有無を弁護士等に確認しておくことも必要であろう。

参照条文

民法第601条(賃貸借)
  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
 同法第604条(賃貸借の存続期間)
  ① 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。

② 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。
 借地借家法第1条(趣旨)
  この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

同法第2条(定義)
  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
二~五 (略)
同法第3条(借地権の存続期間)
  借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

二~五 (略)
同法第4条(借地権の更新後の期間)
  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

二~五 (略)
同法第4条(借地権の対抗力)
  ① 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

② (略)
同法第11条(地代等増減請求権)
  ① 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

②・③ (略)

参照判例①

 東京地裁平成7年7月26日 判タ912号184頁(要旨) 
  借地法1条(現行、借地借家法第2条第1号)にいう「建物の所有を目的とする」とは、借地人の借地使用の主たる目的がその地上に建物を築造し、これを所有することにある場合を指し、借地人がその地上に建物を築造し、所有しようとする場合であっても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、これに当たらないものというべきところ、右に認定した事実によれば、本件土地の賃貸借契約の目的は中古自動車展示販売の用地とされ、右契約上、事務所用の仮設建物の構築だけが認められ、敷金、権利金の授受はなかったものであり、また、本件土地上の本件建物等は展示販売場用の事務所と整備工場等であるところ、これらは解体が容易な簡易な建物であること、本件建物等の敷地面積は本件土地の面積の極一部を占めるにすぎないことが認められるから、本件土地の賃貸借契約は、本件土地を中古自動車展示販売の用地として使用することを主たる目的として締結されたもので、建物の所有は従たる目的にすぎないものというべきである。(中略)
他人の土地の継続的な用益という外形的な事実が存し、これが賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときに賃借権を時効取得することができ、建物所有を目的とする借地権の時効取得をするについても、賃借権の目的が建物所有目的であることが、その外形的な事実から客観的に表現されていることを要するところ、これを本件についてみるに、本件土地の賃貸借契約の目的は中古自動車展示販売の用地であり、本件土地の使用状況等に照らしても、本件土地の賃貸借契約の主たる目的は中古自動車展示販売の用地であって、建物の所有は従たる目的にすぎないものであることは前記認定のとおりであるから、被告の本件土地の占有使用の継続により、建物所有を目的とする借地権を時効取得したものということはできない。

参照判例②

 最高裁平成25年1月22日 判タ1388号105頁(要旨)  
 借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権に関し特別の定めをするものであり(同法1条)、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しており(同法2条1号)、同法の借地に関する規定は、建物の保護に配慮して、建物の所有を目的とする土地の利用関係を長期にわたって安定的に維持するために設けられたものと解される。同法11条の規定も、単に長期にわたる土地の利用関係における事情の変更に対応することを可能にするというものではなく、上記の趣旨により土地の利用に制約を受ける借地権設定者に地代等を変更する権利を与え、また、これに対応した権利を借地権者に与えるとともに、裁判確定までの当事者間の権利関係の安定を図ろうとするもので、これを建物の所有を目的としない地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではない。本件契約においては、ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎないし、また、本件土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないから、本件契約につき借地借家法11条の類推適用をする余地はないというべきである。

参照判例③

 最高裁昭和58年9月9日 判タ609号119頁(要旨)
 契約当事者は単に自動車運転教習コースのみならず、自動車学校経営に必要な建物所有をも主たる目的として本件賃貸借契約を締結したことが明らかであり、かつ、自動車学校の運営上、運転技術の実地練習のための教習コースとして相当規模の土地が必要であると同時に、交通法規等を教習するための校舎、事務室等の建物が不可欠であり、その両者が一体となってはじめて自動車学校経営の目的を達しうるのであるから、自動車学校経営のための本件賃貸借は借地法1条(現行、借地借家法第2条第1号)にいわゆる建物の所有を目的とするものにあたり、本件土地全体について借地法の適用があるとした原審の判断は、正当として是認することができる。

監修者のコメント

契約当事者は単に自動車運転教習コースのみならず、自動車学校経営に必要な建物所有をも主たる目的として本件賃貸借契約を締結したことが明らかであり、かつ、自動車学校の運営上、運転技術の実地練習のための教習コースとして相当規模の土地が必要であると同時に、交通法規等を教習するための校舎、事務室等の建物が不可欠であり、その両者が一体となってはじめて自動車学校経営の目的を達しうるのであるから、自動車学校経営のための本件賃貸借は借地法1条(現行、借地借家法第2条第1号)にいわゆる建物の所有を目的とするものにあたり、本件土地全体について借地法の適用があるとした原審の判断は、正当として是認することができる。

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◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

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